アーキペラゴを探して

デニム、ヴィンテージ、旅、レビューのブログ

2014-01-01から1年間の記事一覧

残波岬で海と空の彼方へバナナを投げた

今週のお題「2014年のお別れ」〈2014年をふりかえる 3〉 群青色の海が見えてきた。冬の残波だ。今年、突然死んでしまった友(とも)を弔いに来たのだ。しばらく会っていなかったとはいえ唐突すぎて気持ちが整理できない。繰り返しあらわれる本当に死んだのかと…

LGBT対応のジェンダーフリー更衣室は必要か

Orgullo LGBT 2013 | Flickr - Photo Sharing! LGBT ーーレズ、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの頭文字を取った総称。 数年前にあるホテルのフィットネス施設を利用したときのこと。男性更衣室で、女性下着を上下ともつけた人が恥ずかしそうに更…

本物よりも花らしい造花の真実 / 僕が『ゴーン・ガール』を見た理由

『ゴーン・ガール』のエンディングが流れても誰も席から動けなかった。感動したというよりも、見づかれてぐったりしてしまったのだ。なかには始終クスクスと笑い続けていた宇宙人のような女子もいたが……。来年の流行語は宇宙人女子とか猛者の女といったとこ…

テイラー・スウィフトが流れる共有空間は可能か / ゲストハウスの歴史とシェアハウスの未来

日本でのゲストハウス、シェアハウスの通史を整理。そこにあらわれる共有空間の認識の変遷。高齢者の住居問題とシェアハウスの未来を考える。

状況に関わらず支配的であり続ける / ジョルジュ・バタイユ「非‐知―閉じざる思考」

12月に入り、法事が続いた。彼らの人生と重なる幾分かの時間を思い出した。彼らの笑った顔しか思い浮かばない。違った表情を思い出そうとすればできるのだけれども、なぜ、彼らの笑った顔しか思い浮かばないのか考えてみた。 ジョルジュ・バタイユ。岡本太郎…

京都駅前ソウルフード案内 / 新福菜館・第一旭・山本まんぼ・あらた・はやし

京都駅から少し歩けば、東寺や水族館があるものの、京都駅直近には、これといった見どころがない。そのため、新幹線の出発時間まで、巨大な京都駅ビルや近鉄名店街で時間をつぶすことになる。しかし、B級グルメこてこて愛好家であれば、京都駅周辺を歩いてみ…

闇は深いほど光を放つと思う

今月のポパイの特集に影響されて、街中から離れた山あいをトレッキングしていた。道すがら、印象的な二つの風景に出会った。ひとつは、トンネル。ひとつは、淵。 僕はトンネルの出口で立ち止まり考えた。普通、僕たちは、トンネルを抜ければ、そこは光なんだ…

高倉健さんの指定席 / イノダコーヒ三条店

新しい景色を見たいと思う場合もあれば、そうでない場合もある。喫茶店は、後者である。同じ景色を見るために、同じ店に通い続ける。シアトル系とかスペシャリティの店にも行くが、どちらかというと、昔ながらの喫茶店の方が好きだ。京都ではイノダコーヒ三…

異物が排除される社会の再編集は可能か

1.消え去った異物、妖怪たちの展覧会 現在、妖怪幻獣百物語という展覧会を大阪でやっていて、二部構成の展示になっている。第1章が「妖怪世界へのいざない」ということで、室町からはじまる百鬼夜行の絵巻や江戸期の妖怪錦絵がふんだんに見れる。第2章は…

京都人の心の隅をつくデザイン / ポール・スミス

三条通りを歩くと、ポール・スミスがある。町屋を改造した店舗であるが、ひねりの利いたデザインとなっている。ポール・スミスのディレクションによるリノベということだ。外見からでも、かなりつくりこんだインテリアの本気度が分かる。 奇抜かと言うと、そ…

続・僕がマッサンを見続ける理由 / エア飲み会の夜

あさイチ見ていると、今日の「ちなんでFAX」のテーマは、「”マッサン”受け 私ならこう受ける」だった。朝ドラの「受け」を今後どうしたらいいのかとも、言っていたようにも聞こえる。いくら面白いとはいえ、これは自意識過剰だろう。いや、そうじゃない。朝…

2013年9月 辺野古の海へ-peace of life

2013年12月に辺野古埋め立て承認がされる前の風景。 2013年の9月は、辺野古関係のニュースが沈静化していたこともあり、辺野古の海を見に行った。 那覇から77番のバスに乗り、辺野古までは3時間弱。辺野古のバス停から集落を抜けると、前方に海が見えてくる…

ウィトゲンシュタインは究極のミニマリストか /「ウィトゲンシュタインの建築」

1. ウィトゲンシュタインの建築とは 90年代後半には閉店していたと思うが、西部美術館の横に「アール・ヴィヴァン」というアート系書店があり、アール・ヴィヴァン叢書というB4版の冊子を出していた。各冊子は決まったアーティストやムーブメントを特集し、1…

僕がマッサンを見る理由 / フロム・ザ・バレルと音楽CD

NHKの朝ドラは世間で言われるほど面白いものだろうか。あまちゃんの放映時は、話題について行ってるように見せるため、ピンクのベストを着てみたりした。実は、朝から、オラ、オラ、オラと、二日酔いの頭に響くものがあった。ひそかに、朝オラと呼んでいた。…

北欧デザインをどう認識するべきか

アジアを旅するものからすれば、ヨーロッパは遠い。北欧となると更に遠く思える。しかし、インターネットのおかげで、北欧の話題であっても近くのことのように聞こえる。10月初旬に発表されたノルウェーの新紙幣がネットで話題になっていた。 CNN.co.jp : ノ…

囚われたままで生きる方法

人生の契機で、何度脱獄をしても、結局は檻の中に収監されてしまうように感じる時がある。その場合は、脱獄をあきらめて、囚われたままの状態で有効に生きる方法を模索することになる。これは、今の僕の考え方というか心境に近い。 『レッド・ドラコン』のエ…

グリコ世紀OSAKA / 裏なんばからの実況

秋の新グリコ。グリコの看板前がやたらと混雑している。聞けば、何日か前にグリコの看板がリニューアルしたという。今度のグリコは背景がぐるぐると変わる。古代ローマを走るグリコにーさんは、走れメロスのようだ。タイガースの優勝気分もあり、なにわっ子…

人生をジグザグに歩く

人間には二種類ある。海派と山派だ。海が好きな人と山が好きな人。僕はどちらかというと海派である。 沖縄に行っても、今は酒が飲めないので、山に行ってみる。山は酒場や居酒屋がないイメージなので。ビーチや離島に向かう船で、泡盛とオリオンビールが飲め…

ボーカロイドはエーテルを体現するか

ヴォーカル。神がつくった至高の楽器。その座がしばらく前から脅かされているらような気がする。音声合成システム、ボーカロイドの影響は、だんだんと拡がり、看過できないレベルになっている。ヴォーカルと聞くと、この二曲が思い浮かぶ。 マーラーの交響曲…

物足りなさの美学 / いつもの香港

何度目かの香港で撮った写真を見ると、自分で撮った写真なのに、何も伝わってこない。どこにピントが合っているのか良く分からない写真もある。どうしてこのような写真を撮ったのだろう。 アジアを旅する人達は『深夜特急』 の冒頭部のように、早い段階で、…

オール・アバウト・ユア・キャット

外国の街並みを撮っている時、異国の猫にファインダーを向けてしまう時がある。知っている猫にあまりにも似ているからだ。新宮に向かう列車の中で『ネコはどうしてわがままか 』という本を読んだ。白浜を越えた所で本を閉じ、昔あった猫たちについて考えてみ…

冥界に続く酒場 / 京橋奇譚-「記憶に残る風景」 #地元発見伝

「記憶に残る風景」 #地元発見伝 大阪市, 大阪府 地元の魅力を発見しよう!特別企画「地元発見伝」 dancyu11月号の東京旅行という特集が目に入り、買った。ユニオンジャックの怪物に致命傷を負わされ、東京には暫く行っていない。スカイツリーも見ていない。…

永遠のMONSTER / ハンガンの川辺にて

ハンガンの川辺にある売店はユニークな形をしている。売店のほか、野球グラウンド、遊覧船乗り場や打ち捨てられたモノ達が川辺にはあった。10年間以上前の話。 最近、ハンガンを新しい韓流ロケ地にするという記事を読んだ。売店はすでになくしてしまってたよ…

楽園 / ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』

ヴィンロンかサデックに向かう船の中で読んだと思う。ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』という本の内容を思い返していた。 集団のなかに働く力学は、小さな友人関係から国家規模までどれも似ている。愛とか平和もあるだろうが、繰り返し発現する集合・…

自由に生命が泳ぐ柵へ / 『若者よ、マルクスを読もう』

倉敷国際ホテルのロビー吹き抜けに、棟方志功の大きな板画が掛けられている。この板画の横のチェアで『若者よ、マルクスを読もう 20歳代の模索と情熱 』(以後、若マル)を読んだ。前作から続いて、内田樹氏と石川康弘氏によるマルクスの頭脳への憧れが綴られ…

スカイブルーのゼロ 「風立ちぬ」 / 上高地帝国ホテルの図書室

映画『風立ちぬ』で、主人公が山の避暑地に行き、山小屋を大きくしたようなホテルに滞在する。このホテルのモデルは上高地帝国ホテルだろうと思った。 宮崎アニメには、現実の場所や建物をモデルにしたイメージが度々登場する。千と千尋の道後温泉やポニョの…

サンタ・マリア・ノヴェッラ・ティサネリーア京都

本屋のレジ前のワゴンに、内田樹氏の『疲れすぎて眠れぬ夜のために 』という文庫本が積まれているのを見た。大分前の本だと思うが、時節柄、売れているのだろう。ポップに「ワンランク下の自分に」と書いてある。中身はまだ読んでいないが、このコピーだけで…

エクリチュールと旅2 / バルト『零度のエクリチュール』

(9月15日エントリーのメモ) ベトナムエアラインの中で、バルトの『零度のエクリチュール』を読んだ。字面を追うことはできるが理解は難しい。デュラスの小説はすらすらと頭に入る。デュラスはバルトを嫌っていたという。デュラスの本心は分からない。バルト…

エクリチュールと旅 / マルグリッド・デュラス『愛人 ラマン』

書くこと。フランス語でエクリチュール。エクリチュールと聞いて、思い出すのは、『エクリチュールの零度』を書いたR.バルトと、書くことが生きることであったM.デュラス。 『エクリチュールの零度』は何度か読んでみたが、歯が立たなかった。内田樹氏のブロ…

Leica R4

iPhoneのカメラの性能がいいのか、最近はコンデジも持ち歩くことは少ない。ましてや、一眼レフはクローゼットに入ったままだ。だけど、レンズを通して見た世界を確認するために、時々取り出してみる。ライカR4。死んだ父親が借金と一緒に残したカメラ。ライ…