リーバイス501はわかりやすい面とわかりにくい面があります。
わかりやすい面というのはすべてのジーンズのオリジナルであり原点であるという点ですね。わかりにくい面というのは、リーバイス501自体がひとつのジャンルとなっていて、その全体的な分類やカテゴライズがあまり語られてこなかった点にあるのではないかと思います。
このエントリーではリーバイス501をはじめて履いてみようという方になるべく客観的かつ冷静にリーバイス501を紹介してみたいと思います。
目次
リーバイス501の分かりやすい分類
リーバイス501が生まれた日
まず客観的な事実として、リーバイス501は1873年5月20日にアメリカで生まれました。
ジーンズというのはひとつのカルチャー(文化)で、シビリゼーション(文明)がいくら進歩しようと廃れることはないんですね。それはカルチャーの担い手がいつでもあらわれるということにあります。
リーバイス501が誕生したという客観的な事実にリーバイス501に関わる人たちの主観が重なっていきます。
ゴールドラッシュでもワークウェアとして着られたりして生まれた時から濃厚だったんですね。だからデータ的なものよりも実際のモノに即して見ていかないと完全には理解できないということになります。
別の言い方をしますと、リーバイス501を本当に理解するためには履いてみないと分からないということになります。
大きな特徴のひとつとして、フロント部分がジッパーではなくて、ボタン留めであることがありますが、はじめてボタンでフロントを留めた瞬間に、留めにくいなと思いつつもリーバイス501の世界が頭の中に電流が走るようにインストールされます。
リーバイス501の分類
まず、リーバイス501を分かりにくくしているものとして、その分類があります。
501は古着・ヴィンテージ、現行品、復刻品(レプリカ)の3つに大きく分かれます。
それぞれの分野がそれぞれの分野を尊重しているためにその境界線は外から見てよく分からないものとなっています。
境界線はあるのだけれども、その境界線ははっきりさせない。これがリーバイス501を分かりにくいものにしています。
では実際に見てみましょう。
左から古着、現行品、復刻品になります。古着はノーマルな古着とヴィンテージに分かれるなど、それぞれの分野も幾つかのカテゴリーに分かれます。
それぞれの分野をやや主観を交えながら簡単に説明してみたいと思います。
501の古着・ヴィンテージ
古着はユーズドとか少し前はオールドと呼んでいました。そのうち1960年中頃までのものはヴィンテージと言われます。ヴィンテージの幅も個人によって考え方が違っています。
この古着・ヴィンテージもざくっと3つぐらいに分けられます。
では、実際に見てみましょう。
1980年代以降の古着と赤耳のスモールeとビッグEのヴィンテージです。*1
スモールeとかビッグEというのは、バックポケットについている赤タブのLevi'sのeの表記になります。現在はスモールeです。(追記:2018年、一部の製品にビッグEが復活しています。)
こうした区分がかなりざっくりした501の古着の見方になります。
古着やヴィンテージは1点ものになりますので、古着屋さんやヴィンテージショップを実際にめぐって入手することになります。
最近ではネットでも比較的簡単に買えますが、復刻品もヴィンテージとして売ってる場合もありますので注意が必要になります。(クオリティからしてヴィンテージと言っていい復刻品もあるのは事実になりますが。)
古着屋さんでの501チェックポイント
- サイドシームが赤耳(セルビッジ)かそうではないか
- 赤タブがスモールeかラージEか
- ラージEならXX(ダブルエックス)かそうでないか
実際のチェックポイントは、年代やヴィンテージにこだわらず、試着してみて自分に似合うものを買うことでいいのではないかと思います。
どういったウエスト、どういったレングスが自分に似合っているかは、ひとそれぞれ体形は違いますので、ひとそれぞれによって違うんですね。
基本的な知識として、リーバイス501の書籍が複数販売されています。
リーバイスが監修したヴィンテージショップの本が有名ですが、比較的、安価で入手しやすい本はこちらになります。リーバイスだけではなく、ヴィンテージデニム全般の内容になります。
別冊ライトニングVol.180 ヴィンテージデニムの教科書 (エイムック 4014 別冊Lightning vol. 180)
- 作者: ライトニング編集部
- 出版社/メーカー: エイ出版社
- 発売日: 2018/03/08
- メディア: ムック
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こちらの本でも現行品や復刻品にふれているわけありませんので、リーバイス501がはじめての場合は、よくわからない世界がひろがっているように見えるのではないかと思います。
リーバイス501の世界
一般的に、リーバイス501XX(ダブルエックス)が価値が高いとされています。厚手の生地がバシッとしていて濃淡のある独特の色落ちをします。たくさんあるレプリカメーカーのモデルとなっています。
リーバイス501をエベレストにたとえると、ダブルエックスは頂上のようなもので、頂上に行くためには経済的なリスクもともないます。
エベレストは山なので全体を見た方が壮大というのもありますし、中腹ぐらいを縦断するのが一番楽しいということもあります。人里近いふもとでは様々な花が咲いていたりしてなごみの雰囲気さえあります。
これは本当にひとそれぞれで、ひとそれぞれの好みや嗜好を許容するのが501の世界とも言えます。
こちらの記事で、1950年代のダブルエックスのウエスト別のシルエットを紹介しています。
また、古い501は、ワークウエアとしてデザインされているため、デニムジャケットとセットアップで着るような傾向があります。
こちらの記事で、ファーストのサイズ感を紹介しています。
また、501にはデッドストックもある程度の量が残っており、この分野に親和性の高い位置づけになります。
次は、501の現行品です。
501の現行品
現行品というのは、現在、通常に売られている501ということになりますが、この現行品にも様々な種類があります。
まず、スタンダードなモデルがあります。このスタンダードなモデルに加えブラックやカスタイズなど様々なバリエーションがあります。
時代によって最新のシルエットに微調整されていますが、骨子となる部分はオリジナルのDNAを継承し続けています。
スタンダードなリーバイス501
スタンダードなものにも、日本で売っているものや並行輸入ものなどいくつかの種類があります。一般には、レギュラーという言い方をしています。
リピーターがよく利用するのが並行輸入の501です。価格が安いということと、裾上げなしでも履ける短いレングスが揃っていることが理由になります。
ただ、リジッド(生デニム)になりますので、縮み寸法を計算して購入する必要があり、多少の経験を必要とします。
この並行輸入の501は、製造国(メキシコなど)を最適な場所に変えていくなど、リーバイスがある限りいつでも供給できる体制をつくっていていつでも入手できる安心感があります。
生産国やロットによっては多少品質にバラつきがあることがありますので、それを味とみるかそうでないのかは見解のわかれるところです。
裾はシングルステッチとなります。
もっともスタンダードな米国流通モデルのリジッドのレビューです。
現時点でおすすめのリーバイスはアメリカで製造されたMaid in USAシリーズになります。
現時点でおすすめの501はMade in USAもの
現時点でといったのは、リーバイスに生地を供給し続けてきたコーンミルズ社のホワイトオーク工場が2017年末で閉じてしまい、この工場でつくられるコーンデニムにも限りがあるからです。
リーバイスがどのくらいコーンデニムをストックしてるかにもよりますが、いずれなくなってしまうことが予想されます。
それまでにチェックしておきたいアイテムになっています。
Maid in USAにも、ノーマルでクオリティを上げたものと、リジッド(生デニム)のものがあります。
ノーマルなタイプは裾上げなしで履けるレングス(L30)のものも現時点では残っていますので、おすすめの501になります。
このノーマルタイプのMaid in USAは、ワンウォッシュされているため、影響が出るほどの縮みはありませんので、はじめてとしてもおすすめのタイプになります。
リーバイスストアやライトオンで売っていますが、アマゾンの平行輸入ものは短いレングス(L30)も揃っています。(現在は販売終了)
製品のリンス表示は、糊を落としたワンウォッシュのことで、色もしっかりと残っています。それほど厚い生地ではありませんが、ノーマルの平行輸入ものにくらべると丁寧につくられています。裾もチェーンステッチです。
縮みは1、2回水洗いして、ウエストはほぼ変わらず、レングスは1㎝といったところです。ワンウォッシュの段階でしっかり水につかっていますので、今のところそれほど縮まないとみています。上品で履きやすい501です。
リーバイス501のレングスやジャストサイズについて書いたこの記事でもMade in USAの501を紹介しています。
同じMade in USAのシリーズで赤耳のリジッドタイプもありますが、短いレングスは品切れになりはじめています。
バリエーションが現行品の主力になっています。いろいろな種類がありますが中心的アイテムであるテーパーを見てみましょう。
501T(旧501CT)&501スキニー
一躍主役に躍り出たのが、裾にかけてテーパードさせたリーバイス501T(テーパー)になります。スキニータイプもかなりの人気です。
T(テーパー)は少し前までCT(カスタマイズドテーパード)と呼んでいましたが、正式なラインナップとしてカスタマイズドが名称から消えました。
リーバイス501Tです。
セレブやアメリカ女子が501をカスタマイズしてきたカルチャーを受けて製品化されました。左の女子のビジュアルはカスタマイズドテーパードを知りつくしたようなヴィジュアルになっています。いわゆるセレブ履きです。
こちらの記事でもそのあたりの事情について考察しています。
参考:ユニクロのスリムフィットジーンズの正統性を論じようと思う / パンクと1980sとリーバイス501CTの考現学
501の最新のバリエーションについても見てみましょう。
501の復刻品(レプリカ)
現在はリーバイス・ビンテージ・クロージング(LVC)という名称ですが、30年以上の歴史があります。
左からジッパー版の502ですが日本リーバイスがつくった黎明期のもの、LVCとしてオーソライズされた頃のもの、そして現在のLVCになります。
このリーバイスの復刻品についてはこちらの記事でも書いています。
入手する場合には、現在のLVCということになります。現在のLVCもアメリカのホワイトオーク工場のコーンデニムを使っており、いずれなくなる可能性があります。
501については、年代ごとに様々なモデルをつくっています。
左上から時計回りに、1947年モデル、1954年モデル、1955年モデル、1966年モデルです。
それぞれ、生地の厚さもシルエットもかなり違っています。
実際に着用してみたシルエットと感想の記事です。
このMade in USA(ホワイトオーク)のLVCもだんだんとストックが少なくなっており、品切れになって完売するものや再入荷するものがあります。
現在、短いレングスのL32が揃っているのが、1947年モデルになります。
目安的なことで言いますと、身長が170㎝内外の場合、ワンウォッシュのレングスはL30が裾上げなしで履けるレングスで、リジッド(生デニム)の場合は縮みますのでL32が裾上げなしで履けるレングスとなります。
501(1947年モデル)
戦争が終わってリーバイス501の完成度が高まったモデルが1947年型になります。
LVCで見た場合、1950年代のモデルより生地は薄手の印象がありますが、リジッドでも糊がかたくなく、未洗いのままストレスなく履けるような感じです。
糊がついたまま履き続けますと一般にはアタリがつきやすくなります。最初はロールアップして履いてアタリが出て限界のところで水洗いして縮めます。
リジッドの履き方についてはいろいろなやり方があります。
後ろです。
現在のジーンズのようにひざ下がテーパードすることなくストレートです。
左のポケットにはリーバイスからのお手紙が入っています。
LEVI'S(R) VINTAGE CLOTHING 1947モデル/501XX/リジッド/CONE DENIM/WHITE OAK/MADE IN USA/セルビッジ/12.25oz
この1947モデルを実際にセットアップしたレビュー記事です。
LVCは、値段もそれなりにしますので、上物も欲しくなるところです。
色目的には、セカンドの色目が近いです。
こちらのセカンドのLVCもXS以外のサイズはまだあります。
LEVI'S(R) VINTAGE CLOTHING 1953モデル/TYPE II トラッカージャケット/リジッド/CONE DENIM/WHITE OAK/MADE IN USA/13.7oz
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*1:スモールe・赤耳でも、66前期と呼ばれるモデルは、公式でも復刻されていることからヴィンテージとしての価値が現在確定しています。