リーバイス・ビンテージ・クロージングの赤タブは、ほとんどがビッグEだが、スモールeの501もある。ビームスが創業40周年を記念して、リーバイスに別注したモデルだ。
以前は、1978年というモデルだったが、1978年は廃止され、1976年創業に合わせたビームス40周年記念モデルがLVCの正式なラインナップとなり、現在でも買える。
これは驚嘆すべき事実だ。
このエントリーでは、ビームス40周年記念モデルLVC76501を考察してみたいと思う。
目次
1976年のリーバイス501とはどんなモデルか
ビームスが創業40周年を迎えたのは2016年であり、ビームス各店舗でこの1976は販売された。
現在はお取り寄せ商品となっているが、リーバイスでは普通に買える。最近もドカッと新しいロットが出たばかりだ。
コーンデニムの1976はこれで最後か
2017年末にホワイトオーク工場が閉鎖され、どこでコーンデニムが切れるのかが気になるところであるが、現在の表記はまだコーンデニムだ。
メイド・イン・USAシリーズの501は、ホワイトオークのコーデニムが切れてしまったようで、順次、輸入したプレミアムデニムに変わっている。
UKのアメカジショップとかは、純然たるアメリカ製のLVCは間もなくなくなるだろうとインスタによく投稿している。
いきなり脱線してしまったが、1976年のリーバイス501を見てみよう。
1976年のリーバイス501・ビームス40周年記念モデル
ビームス40周年モデルとは、どこにも書いていないし、リーバイスのサイトにも書かれていない。1978から1976に切り替えるのは、普遍性があったということだろう。
このモデルの経緯や詳細は、ビームスの公式サイトに詳しく書かれている。
1976年創業のBEAMS 40周年を記念した「501®」1976年モデル|BEAMS
ビームス別注モデルがLVCの正式モデルになったのは、リーバイスへの深いリスペクトがあったからだと思われる。
アジアに旅行する時にジーンズでは暑いので、ビームスでアジアに適した素材のジーンズをよくかった。
このモデルを見てわかる通り白タグである。赤タグにするとデニムはかっこよくなるので、いろんなメーカーがやってしまうのだが、リーバイスが他のジーンズと区別するためにつけたタグなので、リーバイスにとっては赤だと面白くないということはある。
ビームスのデニムは赤タグではなく白タグだった。ビームスはリーバイスと信頼関係を築き、創立40周年で501のヘリテージラインを別注し、グローバルなモデルとなった。
1976モデルは、元々人気が高いモデルであることと、こうした特殊な意味合いを持つモデルなので、将来的にも人気が高まっていくだろう。
リーバイスLVCだといつでも購入できる。コーンデニム製はおそらく今だけとなる。
リジッド以外の色も揃っている。
LEVI'S(R) VINTAGE CLOTHING/1976モデル/501(R)/リジッド/CONEDENIM/MADEINUSA/セルビッジ/13OZ - リーバイス公式ストア
(少し前までリジッドは全サイズ購入できたが、レングスの短いものから品切れになっている。)
ここで、少し1976年がどういう年だったかをふりかえってみたい。
1976年はどんな年だったのか
1976年はビームスが創業した年ということなんだが、簡単に言ってしまうと、1975年にベトナム戦争が終結した次の年ということになる。世界にのしかかっていた重い空気感が一気に抜けたような年である。
この時代に流行した音楽を確認することでだいたいのイメージがつかめる。
UKではパンクが出現した。破いた服やスリムなパンツで60年代的なヒッピーやサイケとは一線を画した。
アメリカでは、1975年にブルース・スプリングスティーンが明日なき暴走を異常なテンションでシャウトしクラレンス・クレモンズのサックスが60年代から続く闇を切り裂いた。西海岸では、1976年にイーグルスがホテルカルフォルニアを出し、哀愁の12弦ギターで60年代をひきずってみせた。1977年にジャクソンブラウンが孤独なランナーで、個人の苦悩をどこまでも爽やかなサウンドで歌い上げた。
その頃、日本ではキャンディーズの解散コンサートに熱狂し、ピンクレディーがパフォーマンスする阿久悠・都倉サウンドに子どもから大人まで酔いしれていた。
そして、光と影が交錯する70年代は終わり、ピンク・フロイドが歌うアナザー・ブリック・イン・ザ・ウオールとともにカンブリア紀のような80年代の幕があいた。
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こうした1970年代の雰囲気をまとった501を66(ロクロク)と呼んだ。
ビームス40周年記念モデルは66前期モデル
ところが、この66、人によって指しているモデルが違う時がある。
66と呼ばれるモデルはおおまかに4種類ある
- 1966年に最終型となるリーバイスXXとその直後のダブルネーム
- 1970-1973年のビッグE最終モデル
- 1974-1977年のスモールe(66前期・ポケット裏シングル)
- 1978-1981年のスモールe(66後期・ポケット裏チェーン)
ビームスの記念モデルは、3の66前期である。
フラッシャーに66と書いてあったから66という説がある。
フラッシャーの一番下に小さく©1966と書いてある。
そうなると、フラッシャーに1966と書いてある1966年から1981年までの501はほとんど66ということになってしまう。
スモールeの66が一般的なロクロクでいいのではと思うが、1の66を意味している場合もある。
話の文脈でどの66なのかを判断する必要があるが、どの66にも個性がある。
好みも色々で、3が人気のあるモデルだが、1のシルエットにこだわる人もいるし、個人的には、4の66後期が好きだったりする。
個人的には、66前期と66後期の違いが大きいと思う。66前期は、前の時代のイメージが残っているような感じがするが、66後期は、それ以降の時代を志向している。要するに、66後期は、80年代以降の501の設計図のようになっている。
LVCが1976年モデルを復刻したことから、66前期はヴィンテージとしてリーバイスに正式認定されたことも重要である。
LVCでもダブルネームの66を出しているので並べて見てみよう。
1966モデルと1976モデルの比較
色がかなり違う。表面も1976の方が少し毛羽立っている。ビッグEのLVCとスモールeのLVCを明確に変えている。1976の実物を手にすると、得も言われぬ引力を感じる。
もしかすると、実物の1976をこえているかもしれない。というのは、1976の実物は一番よく履いてきたからだ。
ユーズドではあるが実物の1976と比較してみよう。
66前期・1976モデルの古着とLVCを比較
内側のタグを確認すると、1977年製と1976年製の66前期であることがわかった。
66前期の見分け方は簡単である。赤タブがスモールeで、バックポケット裏のステッチがシングルであればそうである。
ユーズドとリジッドの違いはあるが、シルエットも比較してみよう。
ユーズドのサイズがW32×L34で、右側のLVCの方がW32×L32なので、履きこんだらだいたいこんな感じになるんだなというイメージになる。
ちょっとよくわからない感じもするので、66前期の古着とLVCを履いてみたいと思う。
その前に、1970年代の501は、ワーカーウェアテイストが少ないこともあり、スタイルがいい人が履いた方が似合うということがある。ビームスの公式ページでかっこいいスタッフの着用例の方が確認できる。
BEAMS(ビームス)LEVI’S VINTAGE CLOTHING / 1976 501(R)(パンツ デニムパンツ)通販|BEAMS
以下は、申し訳ないがメタボ入ったおっさんの着用例。
66前期501の古着とLVC76501を履いたイメージ
66前期501の古着1(1976年製501W32×L34)
私見であるが、80年代のリーバイスは足腰がしっかりした体型の方が似合いやすいが、70年代のリーバイスは足が細い体型の方が似合うのではないかと思う。
そのへんもあって、ロクロクモデルの人気が高いこともあるのではないだろうか。
66前期501の古着2(1977年製501W32×L34)
太ももが66前期のテーパードラインに対して主張しすぎてしまっている。
66前期はメインで履いてきた501であるが、その当時はもう少しふとももが細かった。
現在のこのおっさんのような足腰のしっかりした体型には80年代の501の方が似合うと言える。
40周年記念モデルを履いてみよう。
66前期LVCビームス40周年記念モデル(2018年製W32×L32)
縮める前の状態であるが、これはいいジーンズになりそうな予感がする。サイズはリジッドでW32×L32で、身長170㎝、体重65㎏程度が着用している。
ものすごく上品な感じのするLVCだったので、靴もアランエドモンズのモンクストラップに変えてみた。
1976年のリーバイス501は、かなり特別なLVCだということが肌感覚でも分かった。直観的には、実物と同等もしくは実物をこえた可能性のあるLVCだ。
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