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パラブーツ ミカエルを30年履いてみた感想・レビュー / メンテナンスと長持ちの秘訣

パラブーツは丈夫な靴だ。防水性もある。ラバーソールで独特の履き心地がいい。扁平足でもなんなく履ける。

最近では、雑誌で紹介されたり、セレクトショップでも置いているので、お洒落なイメージもある。
やはり、なんといっても、カッコすぎない感じのコケティッシュなかたちがいい。

いいことばかりのパラブーツだが、履き方を間違えるととんでもないことになる。

このエントリーでは、パラブーツを30年履いてみての失敗談とそこから得られたメンテナンスと長持ちの秘訣を紹介したいと思う。

目次

 

パラブーツを30年履いた感想・レビュー 

パラブーツはものすごく高くなってしまった。最初に買った時は3万円台だったと思うし、二足目、三足目は4万円だった。今でも7万円台で売っているが、価格も落ち着き、ネットでは4万円台も出てきているので、購入チャンスの到来と言える。

適切にメンテナンスすれば、10年どころか、一生履ける靴なので、チープシック主義者や足の形の悪い人にもおすすめしたい靴である。

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購入の前におさえておきたいのが、パラブーツべからず集だ。

これを知っておくことで、パラブーツは一生履ける友だちのような靴となる。パラブーツは捨てたりしなければずっと自分の元に留まっている。

前置きがかなり長くなってしまったが、パラブーツを30年履いた感想を語りたいと思う。

パラブーツを30年履いた感想

一番左の30年前に買った初代は、インドに履いていったりしたこともあり、ボロボロになってしまったので、三代目を履くときに捨ててしまった。収納に便利なので、箱だけが残っている。

古い箱は、側面にパラブーツと書いてある。右2つは新しい箱だが、現行品の箱は、ぜんぶ緑になっているようだ。

30年前はどこでも売っているような靴でもなかったので、神戸の高架下で買った。その時はパラブーツという知識もなかったので、靴屋のおっさんと、これはええくつやでえと、互いにあいづちをうちあいながら買った。

10年ぐらい履いて、これはいい靴だと高架下にスペアを買いに行くと、阪神間に大きな震災があったりしたせいか、その店は消えていた。違う靴屋のかたすみにミカエルが置いてあるのを発見すると、違う靴屋のおっさんは、これはええくつやでえと同じことを言ったので笑ってしまった。

エルメスがパラブーツに別注しているのを知ったのは、だいぶ後の話である。

 

真ん中の二代目は20年履いているが、これもメコン河に行ったりフィリピンで履き続けたこともありボロボロになっている。

一番右の三代目は、香港や沖縄程度の行き先に留めているが、経験からだんだんと履き方を学んできているので、わりとキープできている。フランスがこの靴の母国なので、ヨーロッパに履いていくことはまるで問題がない。

 

二代目と三代目を拡大して見てみよう。

パラブーツ ミカエル

 左側の二代目は、履き方もメンテナンスも悪く表面がカピカピにひびわれている。靴の内側もボロボロになっている。

右側の三代目は、表面の一部に劣化がはじまっているが、10年ぐらい履いた人の通常レベルの劣化だろう。

靴を履きこんでいった時には、いわゆる味だしのエイジングと劣化があるが、エイジングはいいが、劣化はぜひ避けたいものである。

 

そうした劣化の見本として、この二代目をよく観察してみたい。こうした状態のパラブーツが今後でないための参考になれば幸いである。

まず、パラブーツ ミカエルの新品の姿を確認しておこう。

、パラブーツ ミカエルの新品

 出典:MICHAEL/MARCHE II | Paraboot

新品なので、カタチは崩れていないし、表面は滑らかで、内部が美しいベージュである。

高級旅館に行くと、靴を脱いだ時に靴の中貼りを見られてしまうらしいが、それに耐えられるだけの美しい仕上げとなっている。

 現在は、ネットでも簡単に買える。

パラブーツ Paraboot ミカエル MICHAEL チロリアン【送料無料】

 

この美しい靴が、過酷な履き方を20年続けるとどうなるか。

パラブーツ ミカエル二代目の現在 

パラブーツ ミカエル二代目の現在

 写真に撮る前に一応磨いたがこういう感じである。

あろうことか、パラブーツの緑色のタグもちぎれてしまっている。どこをどう歩いたらタグがちぎれてしまったのかは覚えていない。

 

劣化しやすい部分をみていこう。つまり、劣化してる部分を特に気をつけてメンテナンスする必要があるのだ。(ミカエルユーザーは参考になると思う。)

 

パラブーツ ミカエル二代目の現在

東南アジア特有のスコールでずぶ濡れになり、灼熱の太陽で急速乾燥するというサイクルを繰り返したために表面がカピカピになっている。メコン河につかってしまったり、フィリピンのジャングルを縦断したこともあったかもしれない。いろんな国で、靴磨きもしてしまったので、強烈な靴墨も表面に付着している。

アジアに何度か旅行して帰ってきたらこうなっていたというのが真相だ。しかし、足はパーフェクトに保護されていた。これが一番大事だ。

見たくはないヴィジュアルであるが、劣化しやすい部分は一目瞭然である。フロントのサイド部分が劣化しやすいので、ここを特に念入りにメンテナンスする必要がある。

 

パラブーツ ミカエル二代目

内側のかかと部分も劣化しやすい。実は、この部分の対策が難しい。

旅行中にかかとがとれてしまうこともあったので、応急処理的に釘を内側から打ったりしている。

東南アジアの気候で劣化したというよりも、単にめちゃくちゃ履いたということなのかもしれない。それでもフロント部分の革の破けがないので、ものすごく丈夫な革ということは言える。

 

三代目の現在も見てみよう。

パラブーツ ミカエル三代目の現在 

パラブーツ ミカエル三代目の現在

三代目は、初代や二代目の経験から丁寧に履いているので、10年履いたわりにはきれいである。

とはいっても、香港、台湾、沖縄に履いていって、一週間以上履き続けることもあるためか、表面のカピカピが一部はじまっている。

パラブーツ ミカエル三代目の現在

内部のかかとに当たる部分も、10年履くと、さすがに皮がはげてくるので、この部分や廻りの縁にも油を補った方がいいと思う。 

パラブーツは濡れてもある程度平気なのだが、その後のメンテが鉄則なのである。

 

パラブーツのサイズ選び

足がかなり扁平でほとんどの革靴は足が入らない。無理して履くと、足の指の方が強いので、皮が破けてしまう。そのため、革靴はワイズがある種類を買っている。

しかし、パラブーツ ミカエルはスッと履けてしまうのだ。足のかたちに皮が追随するんだろうと思う。その分、靴が広がりぎみになるが、許容範囲内である。

男女両方のサイズが用意されている。(女子用には、黒の艶ありミカエルもあったりする。)

 

パラブーツ ミカエル 

 

 ブラウンやマロンもかっこいい。 

 

 

 

 

 ここからが本論であるが、3足のパラブーツ ミカエルを履いてきて、これはやってはいけないというべからず集とおすすめのメンテナンスを紹介したい。

  

失敗から学ぶパラブーツのメンテナンスと長持ちの秘訣

 パラブーツべからず集 

靴磨きに気をつける

特にアジアでの靴磨きは気をつけた方がいい。インドでは靴磨きの人がたくさんいることもあり、変な靴墨を塗られてしまうと、皮が劣化してカピカピになる原因となる。

こうした経験から、靴に塗る種類はできるだけ少なくしている。いろんな成分が化合してしまうかもしれないのである。

スコールとゲリラ豪雨に気をつける

アジアではスコールが突然やってくるので注意が必要だ。日本でもゲリラ豪雨がある。パラブーツは雨に濡れるぐらいはぜんぜん大丈夫なのだが、これはヨーロッパの雨だ。スコールレベルになると、靴の内側まで水がたまるので、内側まで濡らしてしまうと、靴の変形の原因にもなる。

オイル切れは厳禁

特に注意すべきはオイル切れだ。雨に濡れた後はオイルが飛びやすい。履き始めはけっこう持つが、気をつける必要がある。濡れた後は、特にオイルが切れやすくなるので、栄養クリームやミンクオイルを補う。

直射日光に気をつける

沖縄のビーチでよく素潜りをしたので、パラブーツをビーチに置きっぱなしにしてしまったことがよくあった。パラブーツは日影に隠して海遊びはしたい。フランスの日差しは沖縄のように強くはないのだ。

とにかく休ませる

丈夫な靴といえど履き続けてはいけない。理想を言えば、同じ靴を2足買って、一日置きに交互に履くことだ。靴は休ませながら使うことで寿命が格段に伸びる。

旅行で1週間以上履き続けることがあるが、これはもう目をつぶっている。亜熱帯以南の1週間以上の旅行は避けた方がいいだろう。できれば、靴のメンテナンスグッズを持って行くのがいいだろう。 

ソールの張替えは純正

今では、パラブーツの公式店ができたので、ソールの張替えは容易になったが、むかしはどこに頼んでいいかわからなかった。

近所の靴屋で、純正でないソールに貼りかえると履き心地は、完全に別物だった。ゴムのソールがパラブーツの本質なのである。純正ソールの張替えは、15000円程度である。

かかとも純正に限る

かかとぐらいいいかなと思って、純正でないかかとに付け替えたことがあったが、別物の履き心地になってしまった。かかとも純正でないとパラブーツにならない。

買い置きはダメ

今後、入手できなくなることも想定されたので、二代目と三代目は、同時期に買った。三代目は買ってから10年近くなってから初履きしたところ、ソールが本体から一部はがれかかっていた。つまり、接着剤が劣化していたのだ。本体の皮もゴム底も問題なかったが、接着剤の劣化があるので、買い置きはやめた方がいいのだろう。

最近は、どこでも手に入る靴なので、買い置きする必要もないだろう。

  

パラブーツのメンテンナンス方法

 基本は、栄養クリームを塗りこむことだけになる。いろいろな塗料をつけない方がいいと思うので、顔料の入った艶だしもやめている。

メンテナンスに必要なものを整理してみよう。

 

メンテナンスに必要なもの

  • 栄養クリーム(透明)
  • 栄養クリーム(靴色)
  • シューキーパー
  • ブラシ(均一塗り用)
  • (ミンクオイル)

 栄養クリームとシューキーパーは必ず必要なものである。

栄養クリームは、透明なものと靴色の2種があると便利である。透明色のニュートラルタイプは、簡単な汚れ落としにも使ったりする。色がないので汚れがとれたか確認しやすいのだ。

栄養クリームは、パラブーツ純正もあるが、イタリアのモゥブレィとイギリスのビーズリッチがおすすめだ。

パラブーツのメンテンナンス方法

右側のビーズリッチの方が、パラブーツっぽい鈍く重量感ある輝きとなるので、最近はビーズリッチを使っている。 これを使えば艶出しの必要性は感じないだろう。

 ジョンロブやチャーチにも供給しているメーカーなので品質はまったく問題ないだろう。30年履いた先にたどりついたクリームだ。

 透明色も他の色も同じリンクから買える。

たっぷり塗ってしまいたくなるが、少しの量を薄く均一に伸ばすのが基本ということである。

 

モゥブレィでは、植物系のニュートラル色を出していて、これはスエード等以外はなんでも使えるクリームになっているので、ベルトや財布のメンテにも使える。 

 

シューキーパーは、昔から使っているギルコを使っている。

パラブーツのメンテンナンス方法

履いているとフロントにしわができるので、しわが固定化しないようシューキーパーを入れて軽く伸ばす。

 

パラブーツのメンテンナンス方法

きつく伸ばすと革が伸びてしまうので軽く伸ばす程度となる。

ギルコはもうヴィンテージと呼べる代物かもしれない。現在のシューキーパーは、もっと進化している。

 

シューキーパーはパラブーツの純正を買うか、純正に近いかたちを買うのがベターである。2000円台でかなり評価の高いモデルもある。

サイズがあるので購入時は気をつけたい。 

 

ブラシは、汚れ落としのブラシ(馬毛)と栄養クリームを均一に塗るためのブラシ(豚毛)とフィニッシュで輝きを出すためのブラシがあるが、クリームを均一に塗るためのブラシが必要となる。

クリームを塗ったり拭き取ったりする布は着古した着古した下着やTシャツで代用もできる。

 

ミンクオイルは、アジアへの旅行などで雨に降られたりハードな履き方をした場合に、一度湿気を抜いてから、たっぷり塗り込んでしばらく置くことにしている。

[エムモゥブレィ] M.MOWBRAY ピュアミンクオイル 2032 (マルチカラー)

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リキッドの簡単に濡れるタイプもあり、旅行にも携帯しやすい。個人的には必須のアイテムである。 

  

メンテナンスにあった方がいいもの

  • リムーバー
  • ブラシ(汚れ落とし用)
  • ブラシ(フィニッシュ艶だし用)

リムーバーは、汚れや古いクリームをとるためのものだが、1年に1回するかしないかの程度でいいのではないだろうか。

クリームタイプよりも水性タイプの方が使いやすい。 

[エム・モゥブレィ] 汚れ落とし M.モゥブレィ ステインリムーバー    60ml

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ミカエル以外のおすすめパラブーツ

ミカエル以外のパラブーツでは、シャンボードが有名である。 

 ミカエルよりもシャンボードが代表モデルのようだが、一見して、偏平足では履けない感じがする。ワイズが広がると別物になるだろう。

足の形がかっこいい人が履くと最高にかっこいい靴。

むかしから欲しい靴はたくさんあったが、偏平足で履けないので、経済的にはものすごくたすかっている。

ミカエルは、偏平足でも履けるが、だんだんと横にひろがってくるので、履かない時はシューキーパーを入れて靴ひもをしめて置いておくとわりと元通りになる。

 

 パラブーツにもローファーがある。

これはコバのないタイプ。

 コインローファーが大好きなのだが、足が扁平なので、ワイズを選べばいいんだが、プロポーションがなんか違うので、最近はローファーは履いていない。

 

パラブーツのローファーなら、履けそうな気がする。

これは、Reimsというタイプのローファー。

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出典:REIMS/MARCHE | Paraboot

濃いネイビーがあったりしていい感じである。

 

パラブーツ ミカエルを30年履いてみた感想

ジーンズはどんなに履いても人みたいな感じはしないが、靴は履き続けると、ひとつの性格を持った人格みたいに感じる時がある。デニムは皮膚のような自分自身といってもいいかもしれないものだが、靴にはつきあい方がある。

そのため、同じモデルを履く時は、Jソウルブラザーズのように二代目、三代目と呼んでいる。

僕にとっては、パラブーツのミカエルがその血統にあたる。
パラブーツ ミカエルを三代に渡り、30年ほど履いてきて、かなり失敗してきているので、本来は語るべきことでもないが、避けられる失敗は避けるべきと考えるので、あえて実例とともに紹介した。

一方、靴は道具でもあり、靴の履き方は、人の経験や体験にも関わることなので、自分のエクスペリエンスを優先した方がよく、避けられない場合もあるのだが、靴に望ましくない環境をできるだけ避けることで、パラブーツはその人にとって、かなり長く履ける唯一無二の靴になると思う。

 

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