旧ドゥニームの代表モデルが30周年特別企画として復刻されるということなので、18年前に買った旧ドゥニームXX(ダブルエックス)をレビューしてみたいと思う。
レプリカという表現が適切かどうか分からないが、レプリカのレプリカがつくられるという面白いケースだと思う。
工場に残っていたレシピで完全復刻されたドゥニーム・オリジナルライン。
DENIME XX TYPE ドゥニーム 30周年記念 ORIGINAL LINE オリジナルライン
DENIME 66 TYPE ドゥニーム 30周年記念 ORIGINAL LINE オリジナルライン
ドゥニームは現在も存続しているが、旧ドゥニームのDNAは、1インチピッチのウエストとレングスを揃え、フィッティングまでしてくれるリゾルトというブランドに純化している。
目次
旧ドゥニームXX(ダブルエックス)2005年型
アメ村の三角公園前にエルパソという喫茶店があった頃から、ドゥニームはチェックしていた。
すごい色落ちのサンプルがたくさん置かれていたのだ。あれが全部ダブルエックスだと言われれば、世のヴィンテージ好きは気絶するか悶絶するか腰を抜かしていただろう。
ただ、買うことはなかった。リーバイスと書いた赤タブがついているだけでうれしいリーバイス主義者だったのだ。
アロハやホワイトのダブルエックスタイプを買いながら、一度は履いてみたい気はおさえられずダブルエックスタイプを買った。
当時のドゥニームは、LVC(リーバイス・ビンテージ・クロージング)で言うと、1955モデルと1976モデルが代表的なモデルだった。
1955モデルがXXで、1976モデルが66XXということだった。
足腰のしっかりした労働者体型はダブルエックスの方が似合うし、スタイルがいい細身の体型は66モデルの方が似合うと個人的には考えている。
体型的に足腰がしっかりしていたので、ダブルエックスタイプを選んだ。
買ったのはこのXX。
確か革パッチがダブルエックスで、紙パッチが66モデルだったと思う。
パッチにはモデル名ではなく、ロット番号が印字されている。
平置きして見てみよう。
そんなに長い間、履いた記憶がないのだが、とにかくよく色落ちした。
膝が白いのは、膝をついた履き方をしたのかもしれないが、膝骨が大きいのでそこだけ擦れてしまったこの方が要因としては大きい。
しかし、これは旧ドゥニーム直球の履き方はしていない。旧ドゥニーム本来の履き方をすると、もう少し色が薄いし、アウトシームや裾のアタリがぐりぐりに出ているだろう。
この頃は、バックポケットに財布を入れていたので、右側の尻だけ白くなってしまった。ハチの巣を意識したことはなかったが、うっすらと出ている。
東南アジアにも履いていってないし、ポールダンスをした記憶はないが、股のあたりがダメージで白くなっている。
旧ドゥニームは、その人の身体的特徴や動作を露骨に反映してしまうジーンズと言える。
ちなみに、旧ドゥニームか新ドゥニームかどうかは、バックポケットの中のタグに、オリゾンティと書いてあることで見分けられるそうだ。
オリゾンティと英字で書いてある。ポケット裏がシングルステッチなのもうれしい。
旧ドゥニームXXは1950年代のリーバイスに迫れたのかという問題がある。
旧ドゥニームXXは1950年代のリーバイス501に近いのか
色落ちもそうだが、個人的に気になるのはシルエットだ。
では、履いてみよう。
501のようにウエストがキュッとしまっている。だからベルトがいらない。ウエストラインを下げなくても腰骨にのっかかるようにつくられている。
旧ドゥニームのXXモデルは、裾を少し折り返して履くとラインがきれいに出て、66XXモデルは、折り返さずにシングルで履く感じかなと思う。
裾を折り返す場合は、生地が厚いので、裾がグリッと折れる。リーバイスでもなかなかこうは折れない。
洗濯機は数えるほどしか使っていないが、レッグ部分のねじれが出ている。リーバイス501はレッグが時計回りにねじれることで、501らしさがでる。これが重要だ。
そのためには、洗濯機と乾燥機をガンガンかけた方がいいのだが、そのかわり全体的な濃い色は残らない。
重要なのはモノとしての信頼性
1950年代のダブルエックスに似ているかよりも、重要なのは、モノとしての信頼性だ。間違いなく旧ドゥニームには、モノとしての信頼性があった。そうでなければ、色落ちするまでは履けない。
生地は、実際のリーバイス501よりはるかに厚い感じがする。
1950年代のリーバイス501ダブルエックス1955モデルが、リジッド状態で12.52OZに対し、旧ドゥニームは14.5OZある。
生地だけ見てしまうとリーバイスと旧ドゥニームは別物である。個人的にはリジッドで、14.5OZの厚さは限界の厚さではないかと思う。
生地が厚いので、色が残っている状態では、かなり上品に見え、お出かけ用に履いていたつもりが、いつの間にかこんな色落ちになってしまっていたという感じだ。
丁寧に履いていたつもりでも、味がしっかり出てしまうのが旧ドゥニームだ。
リーバイス501XXとドゥニームXXの色落ちを比較
実際にダブルエックスとドゥニームXXの色落ちを比較してみた。
確かに、当時の反響の高さをあらためて感じることができた。
↓こちらの記事
なぜ、この色落ちやアタリが旧ドゥニーム本流でないのか、旧ドゥニームのセットアップ方法から検証してみたいと思う。
旧ドゥニームXX(ダブルエックス)のセットアップ方法
まず、旧ドゥニームを買った時にもらえる説明書を見てみよう。
それが旧ドゥニームの推奨するセットアップ方法ということになる。
旧ドゥニームの生デニムの洗い方
旧ドゥニームのリジッドのセットアップ方法の最大の特徴は、ファーストウォッシュで糊を落として、天日ではなく乾燥機で完全に乾燥させて、1回目で完全に縮ませる方法をとっている。
このリジッドのセットアップ方法から分かるように、ジーパンは汚れたら洗い乾燥機で乾燥させるというアメリカ的なクリーニング方法になる。
こうしたアメリカで実際に行われた方法がとられるため、旧ドゥニームはリーバイス501の古着にそっくりなサンプルが量産されたのではないかと思う。(そもそも、欧米は、洗濯に不向きな硬水で、洗濯に適した日本とはかなり条件が違うということはある。)
実際のリーバイス501の古着も、当時はデイリーウェアとして扱われていたはずなので、ガンガンに洗濯機や乾燥機にかけられていた感じがする。
そうではないと、アウトシームや裾の十分なアタリは出ないと思う。
これはリーバイス501だが、こういうサンプルが旧ドゥニーム店舗には山積みされていた。
旧ドゥニームXXを買った時は、ファーストウォッシュはドゥニームでやってもらった。裾は長めに仕上げているので、しばらく履いて縮めてから再度ドゥニームに持ち込むという感じだったと記憶している。
だが、それ以後については、どうしても、洗濯機や乾燥機にガンガンかけることができなかった。モノゲンユニやお洒落洗いのエマールで、しこしこ手洗いしていたのだ。
それで色が残っているというわけだ。本当は、ジーパンなので、汚れれば洗濯機で洗えばいいんですけどね。
後は、旧ドゥニームは生地が厚いので、こうしたセットアップができるということがある。
リーバイスの個人的なセットアップ方法
例えば、リーバイス・ビンテージ・クロージングで同じことをやってしまうと目もあてられない結果になるだろう。旧式の織機で昔の生地を再現してるので、生地が国産レプリカ系に比べると薄いからだ。
個人的には、乾燥機は使わずにサッと水通しだけして、糊を残したままレングスを2~3インチ縮めている。
現行の米国流通モデルについては、当然、乾燥機を使うことを想定した仕様になっており、縮めを調整するために、乾燥機を一部使っている。
次にメンテナンスも見てみよう。
旧ドゥニームのメンテナンス方法
先ほどの「生デニムの洗い方について」の裏がメンテナンス方法になっている。
書かれているのは、裾上げも含めて、リペア全般も、ドゥニームでやってくれるという内容だ。右が会員証になっており、この会員証を提示すると、リペア料金が安くなる。
会員証の裏は購入履歴になっており、一杯になると新しいものをもらえたと思う。会員証の印刷は艶消しであり、細かい部分にまでコストをかけていることがわかる。
ドゥニームの生地は、色落ちやエイジングに優れているが、他のデニム生地と同程度の耐久性だ。
ポケット部分のリペア
ポケットに財布を入れ続けると角があたって穴が開いてしまった。
股部分のリペア
股のつけ根の部分が薄くなり一部破けてしまった。
破けたのでリペアしてもらうかと、会員証を握りしめて近くのドゥニームに行ってみると、店舗がきれいさっぱりなくなっていた。あの見事なサンプルたちはどこに消えてしまったというのか。
しかたなく、他のリペアショップで直してもらった。
風の噂では、ドゥニームは親会社が変わったり色々な事情があったみたいではあるが、2018年10月に、昔の製品を旧ドゥニームとして復刻するということになったという経緯である。(2023年現在は、ウエアハウスが復刻)
このXXモデル。
DENIME XX TYPE ドゥニーム 30周年記念 ORIGINAL LINE オリジナルライン
もうひとつ候補をあげると、リゾルトの711。
リゾルトは、レングスが豊富にあり、裾上げせずに履けるメリットがある。
↓リゾルト711はこちらの記事で紹介
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