リーバイス501はジャストサイズのものと、オーバーサイズのものがありますと着こなしの幅はぐっとひろがります。オーバーサイズの場合は、リジッドのジャストより2インチアップしたサイズを選ぶのがおすすめです。
このエントリーでは、LVC(リーバイス・ビンテージ・クロージング)1966モデルの501を使って、リジッドからオーバーサイズの501をうまくつくれるのか検証してみたいと思います。
目次
リーバイス501LVC1966モデル(W34×L32)
リーバイス501LVC1966モデルのリジッドW34×L32です。通常は、W32を履いていますので、2サイズアップです。サイズ的には2インチアップです。
2サイズアップしますと、ウエストラインを下げて履くことができます。腰履きですね。
リジッドは、通常シュリンク・トゥ・フィットのために選ばれますので、オーバーサイズはある意味、掟破りのセットアップになります。
オーバーサイズの501を履く場合は通常は、古着を買うか、LVCの加工製品を買っていますので、個人的には、オーバーサイズのリジッドは実験的な試みになります。
フラッシャー類を丁寧に外し、 バックポケットに入っているお手紙にも軽く目を通します。
手紙の内容自体は、公式サイトの1966モデルの説明に類似したものです。
最後のワンセンテンスが目を引きます。
"A legend does not come apart at the seams(伝説はほころびることはない)" seam(縫い目)とかけてあるんですね。
こちらのモデルです。
LEVI'S® VINTAGE CLOTHING 1966 501 ジーンズ ORGANIC リジッド - リーバイス公式ストア
1966モデルの特徴
1966モデルはジャストフィットで履くとスリムで全体的にテーパードしていますので、モダンな印象になります。
この手紙の説明では、このモデルの製造年は1966年から1971年となっていますので、ダブルエックス表示が消え、ダブルネーム、タイプものぐらいのモデルを復刻しているのだろうと思われます。(パッチはダブルネームモデル)
この時期につくられた501は1966モデルということになりますが、その特徴を実際のモデルを比較して確認してみましょう。
30年前ぐらいに梅田のラピーヌで買ったユーズドですが、左は、ダブルエックスの最終型(ビッグE最初期型)になります。右は、タイプもののSタイプです。
ほぼ同時代のものですが、各モデルの左のレッグに1966モデルの特徴があらわれています。左のモデルは、膝下テーパードのため柔らかなカーブを描いていますが、右のモデルは、全体的にテーパードがかかっています。
LVCのモデルで言いますと、左のモデルに近いものが、1955モデルとなり、右のモデルに近いものが、1966モデルになります。
LVC1966モデルの生地は12オンスで、水通しで縮み14オンスまで目がつまります。重量を測った結果では、1947モデルよりは厚いですが、1955モデルよりは薄いです。
今後、問題となりそうな豆知識です。
LVCでのホワイトオーク工場生地の見分け方
いずれホワイトオーク工場で織られた生地はなくなっていくと思いますが、その見分け方です。
2018年春より前のモデルには、内ポケットにLVCとスタンプが押してあります。
2018年春以降に製造されたLVCモデルでは、スタンプがなくなります。
2018年LVCモデルも引き続きホワイトオーク工場の生地ですが、次第に違う場所で製造された生地が入ってくると思います。(リーバイスのセルビッジは、日本のカイハラが手掛けるという話もあります。)
2018年春以降のモデルは、違いが分からなくする可能性もありますが、アメリカ製モデルでスタンプの押してあるモデルはホワイトオーク工場製の生地と言うことはできそうです。
では、リジッドのまま履いてみましょう。
リジッドのまま履いてみた
かなりのオーバーサイズです。LVCリジッド特有の高級感ある光沢も確認できます。
同時代のリーバイス501のSタイプと大きさを比べてみましょう。少しきつめですがジャストで履いています。
1966類似モデルの古着との比較
1966の上に古着のSタイプを重ねてみました。
特にレングスの長さが違いますね。
ウエストもかなり違います。
レングスは、80.5㎝あります。1インチは正確には2.54㎝なので、32インチで81㎝となり、ゆるんでいる分を考慮しますと正確に32インチになっていると思われます。
では、セットアップです。
リーバイス501LVC1966モデルのセットアップ
あまり縮めすぎますと、オーバーサイズの意味がなくなりますので、乾燥機は使わない方針とします。水に浸けて乾かすだけです。(LVCの生地を触っていますと、生もの感が強いので、初期段階は乾燥機にかけない方がいいかなという感じがします。)
では、水通ししましょう。
1947モデルよりも水をはじくような感じです。糊の種類なども変えているのでしょう。全体を濡らすのに2分ぐらいはかかりますね。
水が行き渡りましたら、素早く脱水機にかけて取り出します。
あの見事なLVCがとんでもない姿に変わりはてています。ひるまずにひろげて履いてシワを伸ばします。
履いたまましゃがんだりして、適度にシワをいれます。
このまま履いて乾かしてもいいのですが、何となく気持ち悪いので、シワをこわさないようにそろーっと脱いで天日で乾かします。(最初なので日にあてても大丈夫です。)
オーバーサイズなので、もものつけ根の部分にはきれいなシワが入りにくいですね。逆に、太ももの内側には、きれいに入っています。このまま30分程乾かします。手にはインディゴがほんのりとついています。1947モデルよりも青みが強い感じです。1944とか1947は黒っぽい感じです。
一応、気温と湿度を記録しておきましょう。
気温は24.4℃、湿度は41%の快晴に近い天気です。昼からは風が止まりますので、午前中の方が乾かしやすい傾向があります。ストップウォッチで時間の経過を見ながらセットアップします。乾かしてる間はビールなども飲む時間はあります。
ひっくり返しましょう。
ウエストが34インチになると、バックポケットがけっこう大きく感じます。
後ろもある程度水分が飛びましたら、もう一度、履いてシワを伸ばしたり、つけたりして、後は完全に水分が飛ぶまで、ハンガー干しします。
完全に乾きました。糊を残していますのでバリっとしていますが、1947モデルの方がバリカタな感じがしました。
どのぐらい縮んだか見てみましょう。重ねてみましょう。
レングスは明らかに縮んでいますね。
ウエストも1インチは縮んでいます。
股下寸法は、80.5㎝から75.5㎝になっています。5㎝(2インチ)縮みました。1947モデルは一発で7.5㎝(3インチ)縮みましたので、モデルによっても縮み方が違うそうな感じです。ただ、LVCの説明書では、5㎝が縮むとされている寸法です。
ファースト水通し&乾燥後の着用
では履いてみましょう。ベルトをしています。
ウエストラインを2インチ(5㎝)ほど下げています。
太ももにはアホみたいにきれいなシワが入っています。太もものつけ根にはきれいに入らない感じです。
横です。
ひざの部分にだいぶレングスがあまっています。もう少し縮めたい感じもします。
後ろです。
パッと履いた時に、裾部分の納まりが悪い感じです。
1947モデルと違って一発でセットアップが終了とはなりませんでした。1966モデルは多少手を入れる必要がありそうです。
とりあえず、調整を入れることにしましたので、この後にやれることをやっておきます。
若干の調整:裾の糊落としとアウトシームほぐし
ウエストラインを3~5㎝下げて履くため、裾はロールアップする必要があります。そのため、裾部分の糊はある程度落としておきます。そうした方がロールアップした時の折り目の傷みはやや少なくなります。
乾いたばかりの66501の裾を洗面器につけます。
糊が溶け出るのを待ちます。糊が溶けると水が黄色になりますが、なかなか溶けません。夏だと溶けますが、水温が低くなってきてるんでしょうね。
あんまりつけてもなんですので、糊があまり溶けないままで水から出し、再び乾かします。
次に、アウトシームのアタリをだすために、アウトシームに沿って熱湯をさましたぐらいの感じのお湯をかけます。
これで、アウトシームが多少ほぐれます。
洗濯機にかけますと、アウトシームが激しくほぐれ、キャタピラと呼ばれるアウトシームのアタリが出るのを助けます。個人的には、初期段階に洗濯機で洗うことは、ほとんどないため、違う手段を場合によってはとってるんですね。
ジャストフィットさせたLVC1947モデルは、アウトシームのアタリが出ても出なくてもどちらでもいいんですが、サイズアップしたものは、アウトシームのラインが入ってる方が、布地の見つけが分割されて見えすっきりします。オーバーサイズではアウトシームのアタリはあった方がいいということになります。
しばらくこの状態で履きこんで、再度、水通しを行うか決めたいと思います。
2回目のセットアップ
セットアップしてから2、3日履いてみまして、ある問題が気になって2回目のセットアップを行うことにしました。実際はやり直しです。
オーバーサイズのリジッド問題
オーバーサイズのリジッドを履く場合、かなり細かいことですが、ひとつの問題が発生することが分かりました。縮んでジャストサイズになるリジッドの場合、太もものつけねのシワはほぼ水平に入ると思いますが、オーバーサイズの場合、生地があまって、斜め45度に入ります。
北野武監督が若いころ、コマネチというギャグをやっていたのですが、そのふりさげ角度でシワが入るのです。シワの確度がおかしいと指摘されれば、コマネチッ!とポーズを決めてごまかせばいいのですが、やはり気になってきました。
生地があまるという問題点がわかりましたので、生地を調整するという奇策にでることにでました。
シンチバックの位置で5㎝調整
具体的には、シンチバックの位置で、5㎝調整することにしました。
センターループの位置で、プリーツをつけました。シワが固定されるまでは、ウエストをジャストで履こうという戦法です。
よく分らないと思うので内側です。
このように黒い糸で縫っています。糸は長く放置するわけではないので、仮縫い程度です。
この状態で、水通し、脱水、天日乾燥を再び行います。
ウエストを調整したら、腰履きができないのでは? と思うかもしれませんが、そうなのです。オーバーサイズをリジッドからつくる場合は、初期段階で、ウエストをジャストにしておく必要があるのです。シワが気になる場合だけですけどね。
2回目のセットアップ後の着用
では、履いてみましょう。
ウエストを調整していますので、渡りの太い印象のデニムパンツになりました。
太もも付近にはほぼ水平にしわが入ってますので、一応は成功です。
丈も思った以上には縮まなく、ロールアップ確定です。ロールアップは確定しましたので、ロールアップにかかる部分の糊をもう一回落として終了です。
糊をつけたままロールアップし続けると生地の傷みがかなりはやくなります。
わりと印象深いジーンズになりそうです。
約1年着用後に糊付け(実質は6ヶ月程度)
LVCの1966モデルは、生地の質感もよく、色もブルーがかってきれいなんですが、やはり、リジッドから2サイズアップで履いているため、同時期にリジッドから履いた1947モデル、1955モデルと比べて、フロント部のシワ(ヒゲ)が入りにくいという問題がありました。
この場合、長期で履くと、ヌメッとした感じになることが予想されたため、実質6ヶ月程度着用後糊付けをしてみることにしてみました。
こちらの記事で糊付けした方法を紹介しています。
確かに、有効性はある感じですが、デニム生地の質感が完全に変わりますので、個人的には、応急処置的な手段と考えたいと思います。
糊付け後の写真です。
糊でバシッと固まっています。実質約半年履いたシワは生きてる感じですね。
色が濃くなったことで、LVC506XXと似た系統の色になっています。
写真なので正確な色は出せませんが、上下の色の違いがあまりない感じです。
こちらの506XXファーストのセットアップ方法はこちらの記事で紹介しています。
1966モデルは、ホワイトオーク生地は終了し、現在はカイハラ生地に切り替わっています。
LEVI'S® VINTAGE CLOTHING 1966 501 ジーンズ ORGANIC リジッド - リーバイス公式ストア
楽天でも売っています。
カイハラ生地の1966モデルは、こちらの記事で紹介しています。
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