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ジーンズ・デニムの裾にアタリを出す方法 / ユニオンスペシャルで裾上げ後の秘術

デニムの裾にダメージがひどい状態や不測の事態で裾上げをして、そこだけ真新しくなってしまう場合があります。
このエントリーでは、裾にパッカリングとアタリをセルフでつくる方法を紹介したいと思います。
なんとなく履かなくなっていたジーンズもこのように手を加えるだけで、息を吹き返すという効果もあります。
目次

 

まず、裾アタリしの前提条件と注意点です。

裾アタリしの前提条件と注意点 

前提条件は、ユニオンスペシャルというミシンで裾上げすることです。それもブラックが望ましいです。ユニオンスペシャルで裾上げすることによりパッカリングといううねうねが入ります。

ユニオンスペシャルで裾上げできる店は、「(お住まいの都道府県) ユニオンスペシャル」で検索すると出ています。メールオーダー可能なお店も多いです。

こちらの記事でも、ユニオンスペシャルで裾上げできる全国のお店をリストアップしています。 

ユニオンスペシャルで裾上げができるジーンズ・デニムショップリスト【全国対応版】

 

次は、注意点です。

どのジーンズでも適用可能な方法ですが、ストレッチジーンズはできません。ストレッチの生地ですと、ユニオンスペシャルで縫うことができないのです。チェーンステッチでストレッチの生地を縫うとビヨーンと伸びてしまうんですね。

 

また、リーバイス等では、アタリのついた裾をはりつけるという技にも対応していますが、今回は、あくまで昔ながらの裾上げを行うケースになります。 

 

いきなりユニオンスペシャルで裾上げした状態から始まります。

LVC1955年モデルリーバイス501を裾上げした状態

アジアに履いて行って、履きつぶして帰ってきましたリーバイス・ビンテージ・クロージングの1955年型の501(55501)です。

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LVCの加工もののいいところは、履いているうちに味が出てきて、本物の古着になってしまうことです。実際このLVCは本物の古着というレベルまで履きつぶしています。履くたびにどこか破けます。

 

ボロボロになった裾をカットして、ユニオンスペシャルブラックで裾上げしました。

新しく裾上げした裾を拡大して見てみましょう。

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なんのアタリもないつるっとした状態になっています。かなりショッキングな状態と言えます。なんじゃこりゃあと叫びたい気分ですが、こうしかなりませんのでここはグッとがまんです。

 

内側も見てみましょう。(正確には全部で4面ありますが、同等の状態のため割愛しています。)

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内側もつるっとしています。ふくらはぎ下のあたりは、ジーンズでももっともアタリがつかない位置であり、80年代の501のようにのっぺりしています。

裾を長めに履いていましたので、ロールアップした部分や踏んだ部分が痛んでいます。踏んだ部分は生地が伸びきっていますので、それ以上の加工が難しい傾向があります。

 

 

 

では、実際にやってみましょう。ライトにアタリ出しを行うライト編とさらなるアタリ出しを行うハード編という構成になります。

 

裾アタリ出し(ライト編) 

では、裾の部分から5㎝ほど水に浸けて乾かしましょう。洗面器に浸して、ゆらしたり、裾部分を軽くもみしだく程度です。脱水機にかけずにそのまま天日で乾かします。 

水浸け後に乾燥(1回目)

乾きました。

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履きつぶして伸びきった生地なので反応はよろしくないですが、裾部分にパッカリングができはじめています。

伸びきったや激しくダメージを受けた生地では、ユニオンスペシャル43200Gでチェーンステッチしてもきれいなパッカリングを出すのは難しいです。もう色が抜けきっちゃってますからね。

それほどダメージを受けていなかったり、ある程度、色が残っている生地ですと、きれいにパッカリングが入っていきます。

 

内側を見てみましょう。

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内側から見ると明らかにパッカリングによるシワがよっていることがわかります。

 

もう1回、水に浸けて乾燥させてみましょう。

 

水浸け後に乾燥(2回目)

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水浸け2回目になりますと、明らかにパッカリングができはじめています。水のなかでパッカリングが入りやすいように適度にほぐすと入りやすい傾向はあります。

これは伸びきった生地なのできれいにパッカリングは入りませんが、新し目の生地ですと、きれいな歯並びのようにパッカリングが入ります。

 

内側です。

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きれいなパッカリングではありませんが、入りはじめています。

 

何回も水に浸けて乾燥を繰り返し、人工的に、履きこみを再現しています。この履きこみの再現のためには、こすれが必要なので、水浸けにあわせて、やすりで、シワの稜線をなでる程度にこすってあげます。

自らやすりでデニム生地をこするのは、禁断の技ではありますが、裾だけ真新しい場合は、いたしかたないと考えています。

 

ライトなアタリ出しなので、やすりはNTドレッサー程度にしています。 600円程度で買えます。紙やすりでも可能です。

NT(エヌティー) ドレッサー 中目 S?10P

NT(エヌティー) ドレッサー 中目 S?10P

 

先がとがったタイプもあります。細かい作業には便利です。

 

水浸け後に乾燥(3回目)

水浸け後に乾燥3回目の状態です。 

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 パッカリングができる部分にはかなり凹凸が入ってきています。

ユニオンスペシャルで裾上げしますと、このように、水浸け乾燥だけで、パッカリングが入っていきますので、ジーンズの寿命がまだ長い場合は、このまま履いてナチュラルなアタリを出していった方が望ましいです。 

 

内側です。 

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 内側は、かなり生地が傷んでおり、きれいなパッカリングはできていません。

裾の上には、不穏なブツが並らんでいます。

右側はネイビー色の染色材です。水に溶いてつかいます。

アマゾンで700円程度です。 

DYLON プレミアムダイ (繊維用染料) 50g col.41 ジーンズブルー [日本正規品]
 

 

実際のジーンズは合成インディゴ染ですが、色の落ちる部分につける場合はインディゴの方がナチュラルな感じがします。

本格的にやると大変ですが、体験キットのインディゴ染料を利用すると簡単そうな感じもします。

藍染め染料体験キット『紺屋藍パック』Tシャツ タオル インディゴ 絞り染め 入門セット

全体的に染めてしまいますと、ステッチや白い糸までインディゴ色に染まってしまい、訳の分からないものができあがりますので、綿棒で色をのせていく程度にした方がよいです。日本の藍(インディゴ)が、LVCのインディゴに調和するかということはありますが、パッカリングの凹んだ部分に色をのせるぐらいは大丈夫ではないかと思います。

 

履きこんだジーンズなどは、自然な経年変化は期待しにくいこともあり、この先のステップになります。この先は、後戻りのきかない工程となります。

では、進めましょう。

 

パッカリングで凹んだ部分を染色

このジーンズのように裾部分の色が抜けきっている場合には、染料で部分染色を行います。色の濃いジーンズは必要のない工程になります。

対象となる部分の考え方は、ヴィンテージジーンズなどで、いくら洗っても色が残っている部分です。それが、パッカリングで凹んだ部分です。

この凹んだ部分に、紺色の染色剤を薄めに溶いて、綿棒などで、染料をつけていきます。 

パッカリングで凹んだ部分を染色

綿棒で少しずつ丁寧に、凹んだ部分に染料をのせていきます。

 

一通りやりましたら乾かして色ののり具合を確認します。

パッカリングで凹んだ部分を染色

やっているとどんどん塗ってしまいますが、やりすぎは禁物です。また、色が落ちる部分にやってしまいますと、今後どのような色の落ち方をするか予測できませんので、控えた方がよいです。

 

内側です。

パッカリングで凹んだ部分を染色

内側は生地が傷んでおり、うまく染料がのらない感じですね。

 

外側を拡大してみましょう。こんな感じです。

パッカリングで凹んだ部分を染色

凹んだ部分に綿棒で染料をつけていってます。時間が経つとにじんでいきます。 

普通に売っているジーンズのパッカリングのようになっていますが、ハリウッドの特殊技術のように色付けしています。

 

作業に集中してしまいますが、やりすぎは禁物です。また、色が落ちる部分にやってしまいますと、今後どのような色の落ち方をするか予測できませんので、控えた方がよいです。本物のインディゴなら問題ないでしょう。

 

少し色をのせすぎた部分があったりしますので、少し色を抜きましょう。 

ブリーチで色抜き

台所に置いてあるキッチンハイターやブリーチなどを薄めて、綿棒で色をつけすぎた部分やエッジの部分の色を抜いてあげます。にじみますので、色が抜けているのかいないのかぐらいでよいかと思います。薄目でやっても目が痛くなりますので、目のガードがあった方がいいです。

乾かして、ドレッサーで軽くこすって完成です。 

ブリーチで色抜き

つくった感はありますが、最初の状態と比べますとかなりましになったと言えます。

 

ブリーチで色抜き

内側は、相当、生地が傷んでおり、パッカリングもきれいにでませんし、苦戦しています。生地がそれほど傷んでいなければパッカリングはきれいにでるかと思います。

 

だいぶ見れるレベルにはなってきましたので、また、しばらくは、これらの工程を繰り返したり、ドレッサーでこすったりをして、自分が満足できるレベルに仕上げます。

まだ履けるジーンズの場合は、この状態から履き続けて、ナチュラルなアタリ出しを行うのがいいと思います。

 

かなり手間がかかる作業なので、このアタリだしをやってくれるショップもあります。

黄葉舎楽天市場店【ユニオンスペシャルで裾上げ後、裾あたり加工(ユーズド加工)】

 チェーンステッチの幅は、ミシンの設定を通常8㎜で設定しているため通常は8㎜ですが、このショップは、10㎜にも対応しているようです。再現する場合は、10㎜ぐらいでやると、荒々しいうねりになって面白いということはあります。

 

それ以上の履きこみが難しい場合や傷みきった生地で、パッカリングがでにくい場合は、ハード編に進むことになります。工具を使います。

裾アタリ出し(ハード編) 

まず下準備です。

スプレー糊でパッカリングを固定

ダメージが進んだ生地はふにゃふにゃしてますので、まず、スプレー糊である程度かためます。

裾アタリ出し(ハード編) スプレー糊

スプレー糊でパッカリングのうねうねをある程度固定して加工しやすくします。

スプレー糊は、内側から吹いてアタリを出やすくしたり、デニムものの扱いにはたびたび登場するアイテムです。 

アイロン用キーピング 衣料用のり剤 ハンディスプレー 400ml

アイロン用キーピング 衣料用のり剤 ハンディスプレー 400ml

 

 

 

キーピングが乾きましたら、本格的なハード編です

ミニルーターでアタリ出し

工具を用意します。 

ミニルーターでアタリ出し

プロキソンのミニルーターです。小型のグラインダーですね。

軸先が色々あって、手始めに、砥石のついてタイプをセットします。

ミニルーターでアタリ出し

球状の軸先ですと、生地にもぐりこんでいきやすいため、なるべく生地にもぐりにくそうな形状を選びます。

 

ここで、どの程度、表面を削るか確認します。

基本は、このジーンズのダメージ具合にあわせると自然です。

アタリ出し見本 1955モデル

このLVC1955モデルはウォッシュがかかった程度の加工品でしたが、ここまで履きこんでいます。裏地が見えるほど破けています。

 

裾については、オリジナルの裾はボロボロのため、参考にならないので、同時代の古着の裾を参考にします。

アタリ出し見本 ダブルエックス

1954年のダブルエックスの裾です。全体的な色はおちていますが、パッカリングの溝には深いブルーが残っていることを確認できるかと思います。

 

こういうイメージで表面をルーターで削っていきます。カッターの刃で表面をこすったりして仕上げていきます。

少しやって、出来具合を確認します。

ミニルーターでアタリ出し ブリーチ

 ルーターで4列ほどけずって、下端をブリーチで少し脱色したものです。

もとのジーンズの状態にあわせるため、これは横糸を出していますが、横糸がうっすらと見えるぐらいでとめるのがおすすめです。

全部やるとたいへんなので、ところどころ削ることでもいいかと思います。

強力なグラインダーだと一瞬でできますが、失敗するとリカバリーがききません。ホビー用のミニルーターで気長にやるのが安全です。

ルーターのモーターに負担をかけないよう15分ほど作業をしたら15分やすめる必要があります。

これは、アマゾンで6000円ぐらいのセットですが、もう少し小さいものでもいけるのではないかと思います。けっこう時間がかかりますので、電池ではなくコンセントから電源がとれるタイプの方がよいですね。  

プロクソン(PROXXON) ミニルーターセット No.28512-SK

プロクソン(PROXXON) ミニルーターセット No.28512-SK

 

 

時間がある時に少しずつやって完成させて、写真を更新したいと思います。ステッチの色も退色させたりエイジングさせたりしていますと、いつまで経っても終わりません。

現在売られているジーンズの加工は、レーザー照射やパワーのあるグラインダーを使って一瞬で仕上げますが、セルフの場合は、手作業でホビーのように気長にやります。時間をかければかけるほどそれっぽくなります。

 

かなり時間がかかる作業のため、楽天のショップでもユニオンスペシャルの裾上げとアタリ出しを受けているショップもあります。 

仕上がりのイメージはショップのおまかせになります。プロがやりますのでどちらかと言いますとバシッとしたイメージに仕上がる傾向になります。 

ユニオンスペシャルでチェーンステッチ裾上げ後【裾あたり加工】します 

 

ルーター作業開始目3日目の状態

ルーター作業を開始して3日目ぐらいの状況です。

ルーター作業開始目3日目の状態

現在はラフに仕上げていってる段階です。

ルーターは15分使ったら休ませる必要があるため、1日30分ほどの作業量です。気長にやるという感じです。

1日30分ほどの作業量で、1週間続けますと、表裏すべてラフに仕上げることができます。全体をざっと仕上げましたら、とりあえず完成でいいのではないかと思います。

その状態で、しばらく履いてみますと、ここをほつれさせようとか分かってきますので、足りない所に手を加えるぐらいでいいのではないかと思います。

 人為的な作業になりますので、やりすぎは禁物かと思います。

 

 

 

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