ラコステのポロシャツは、基本的には、肌に直接着るものだけに、リーバイス以上に、ひとつひとつの個体と向き合わざるを得ないことがあります。
フレラコと呼ばれるフランス製ラコステのポロシャツの中でも、ヴィンテージ フレラコL1212は、主にサイズなど、個体差が大きいため、入手前によくチェックすることが必要となっています。
この記事では、現在持っている70年代から90年代のヴィンテージ フレラコL1212の各個体の寸法や特徴をとりまとめてみました。
目次
よいヴィンテージ フレラコ L1212の見分け方
個人的なよいヴィンテージ フレラコ L1212の見分け方です。
生地の毛羽立ちが少なく、光沢があり、鹿の子模様がはっきりしている。毛羽立ちは取れてくる場合もありますが、繊維の長いコットンは、毛羽立ちが少ない傾向があります。
L1212の特徴であるちょうちん袖やボックスシルエットがキープされている。
色の濃いボディは、多少変色していても、味になる場合がありますが、白ボディの変色は、外で着れないことが留意点です。
個人的には、80年代前半の個体が質が高いように思われます。
身幅、着丈の寸法が適切。パンツによってあわせる着丈は変わるので、様々なバリエーションのサイズを持っておくと、便利です。
目安ですが、裾だしする場合、次の方程式で、適正な着丈寸法が分かります。
- 身長×0.42-7.5=着丈の目安
身長170㎝の場合、63.9㎝になります。
また、身幅が小さい個体の場合は、体にフィットして止まるため、もう少し長めでもいけると思います。
ミリタリーパンツの場合は、ヴォリュームがあるため、68~70㎝程度の着丈まであわせられると思います。
(ヴィンテージのフレラコでは、同じサイズでも、細身で着丈が長い個体と幅広で着丈が短い個体があることから、2種類あった可能性があると推測しています。ヴィンテージのチャンピオンのTシャツでは、同じサイズでも、通常の着丈と長い着丈の2種類があります。)
身幅については、ぴったり着るのが正統といった傾向もありますが、実際の胸囲よりも、余裕を持たせて着る方が好まれます。
個人的には、デニムにあわせてジャストで着る場合は、紺か黒で、カーゴパンツにあわせる場合はワンサイズあげています。
白を着る場合は、ワンサイズあげて、透けエチケットで、白のインナーを着ています。
ヴィンテージ フレラコのサイズ感
「ラコステ その伝説」(Lacoste: The Legend)という本に使われているイメージ写真です。
この写真を見ると、ヴィンテージ フレラコのサイズ感の基本が分かります。
左の人を見ると、気持ち大きめのジャストで着ていますが、このサイズ感がおすすめです。
写真の右の人は、ど真ん中のジャストですが、スタイルがいい方は、このサイズ感がはまります。
個人的には、ややメタボな体型のため、ど真ん中のジャストで着ると、人から見て不快に感じることもあるだろうと思い、人目のある飲食店等では、大きめのジャストかワンサイズ上げるようにしています。
そのため、ジャストでサイズ3、ワンサイズ上げてサイズ4を着ています。
下町の立ち飲み屋さんに行く場合は、迷わずサイズ3を着ています。
現行モデル L1212 LJ-99のサイズ表
サイズ | 身巾 | 着丈 | 肩巾 | 袖丈 |
---|---|---|---|---|
1(XS) | 43.5cm | 65.5cm | 40cm | 19cm |
2(S) | 47cm | 69cm | 42cm | 20cm |
3(M) | 50.5cm | 70.5cm | 44cm | 21cm |
4(L) | 54cm | 72cm | 46cm | 22cm |
5(XL) | 57.5cm | 73.5cm | 48cm | 23cm |
6(XXL) | 61cm | 75.5cm | 50cm | 24cm |
7(XXXL) | 64.5cm | 77.5cm | 52cm | 25cm |
8(XXXXL) | 70cm | 81.5cm | 53cm | 26cm |
参考までに、日本製の現行モデルのサイズ表です。( )は日本サイズ
2023年8月時点の現行モデルの型番は、L1212 LJ-99で、前型番のL1212ALと同一商品です。
↓L1212LJ-99(エル・トウェルブ・トウェルブ)日本製
【楽天市場】『L.12.12』定番半袖ポロシャツ LACOSTE ラコステ ポロシャツ
現在、フランスで売られている流通モデルは、90年後半以降、フランス製ではありませんが、現行の日本モデルとほぼ変わらない仕様になっています。
ともに、70年代から80年代のヴィンテージフレラコと比べると、着丈は長めですが、ヴォリュームのあるパンツを履く場合は、着丈が長くても、ある程度カバーできると思います。
ジャストサイズで履いたジーンズにあわせる場合は、ヴィンテージ フレラコの方があわせやすいと感じています。
こちらの記事で、身長にあったポロシャツの着丈の長さを検証しています。
以降は、ヴィンテージ フレラコの個体ごとのレビューです。
フレラコ 白ボディ
白のフレラコです。ラコステのポロシャツは、白が基本となります。
というのも、ラコステが当初、商品を売り出した時、数年程、白しかなかったということです。それは当時のテニスの試合では、白を着ることが慣例となっていたためでした。
そうした事実の他にも、白は人気色なので、相場も高めになります。
個人的には、紺、黒、白を集めていました。他のカラーも買ってみましたが、結局、似合わないことが分かったので、紺、黒、白になりました。
白は、それほど似合わないので、部屋で着ていますが、白はいいなと思うことが多々あります。
ただ、70年代の白の個体には、生地がやや変色したものがあることが留意点です。
薄いカラーや青や緑など、他のカラーが似合う場合は、似合うカラーを集めるのがよいと思います。
70年代後期 サイズ3
- サイズ:3
- 身幅:50.5㎝
- 着丈:62.5㎝
- 肩幅:43.8㎝
- 生地:強いザラ感
70年代らしいザラ感の強い生地です。生地はやや変色しているため、純白という感じではなくなっています。
この生地の薄さのサイズ3は、着るとピタピタになって透けるため、上に何か羽織るか、ワンサイズ上げた方が無難です。
袖のアップです。
- 袖長(外側):19.2㎝
- 袖巾(先端):14.1㎝
タグです。
洗濯回数を重ねることで、柔らかい生地の部分が落ちて、ザラ感になる可能性も考えられます。
タグをめくった状態です。
70年代のタグは、サイズ表記がないため、タグをめくるとサイズのタグがあります。完全に取れている個体もあります。
鹿の子の格子がはっきりと分かります。かなり繊維の長いコットンを使っています。
この個体は、小穴もなく、この薄さまで着ているため、ほぼ、限界レベルではないかと思います。
80年代前期 サイズ3
- サイズ:3
- 身幅:53.5㎝
- 着丈:65.5㎝
- 肩幅:47.5㎝
- 生地:ややソフトなザラ感
70年代に近いシルエットですが、シェイプが弱まり、ボックス型となっています。
縮みきっていませんが、身幅が現行モデルのサイズ4以上あります。
タグと生地のアップです。
鹿の子模様もはっきりと出ています。
袖のアップです。
- 袖長(外側):23.3㎝
- 袖巾(先端):16.5㎝
袖長が23㎝もあります。袖巾が16㎝以上あるため、ちょうちん感は少なくなります。
80年代中期 サイズ3
- サイズ:3
- 身幅:49.5㎝
- 着丈:61.5㎝
- 肩幅:42.5㎝
- 生地:ややソフトなザラ感
80年代中期から、シルエットがスリムになりはじめ、80年代後期から着丈が長くなります。
80年代後期から90年代前期のシルエットに、身幅がアップすると、現行モデルのシルエットになります。
タグと生地のアップです。
80年代前期と比べると、鹿の子模様に毛羽立ちが見られます。
袖のアップです。
- 袖長(外側):19.3㎝
- 袖巾(先端):16.5㎝
通常より袖巾が太いため、特徴あるシルエットの個体です。
80年代後期 サイズ3
- サイズ:3
- 身幅:49㎝
- 着丈:68㎝
- 肩幅:43.5㎝
- 生地:ソフト
2枚タグでも、80年代と見た目が変わらない個体は、暫定的に80年代後期としています。かたちはよいのですが、着てみると、生地がソフトでふにゃっとしています。
製法よりも、使われる綿自体の性質が変わったと思われます。
袖のアップです。
- 袖長(外側):20.8㎝
- 袖巾(先端):13.8㎝
通常のいわゆるちょうちん袖になっています。
タグと生地のアップです。
この時代でも、鹿の子模様に立体感がある個体がありますが、シャリ感やザラ感は弱まっています。
90年代前期 サイズ3
- サイズ:3
- 身幅:50㎝
- 着丈:72㎝
- 肩幅:42.5㎝
- 生地:ソフトなザラ感
前のモデルと、サイズもタグも一緒ですが、ふにゃ感からの反省か、生地が少し厚いです。
襟の素材も厚い感じで、着ていると、下品なほどねじれて、いい感じになります。
また、パターンも変わって、サイズ3で着丈が70㎝以上あります。
また、イレギュラーですが、袖のディテールが違う個体が時々あります。
袖のアップです。
袖長(外側):20.7㎝
袖巾(先端):15㎝
通常は、袖リブが生地より面落ちして、ちょうちん袖となりますが、この個体では、生地と袖リブが面一となり、開いたようなかたちになっています。
個人的には、これをラッパ袖と呼んでいます。
ちょうちん袖が、L1212のトレードマークのひとつとなっていますが、着てみると、意外と着やすかったりします。
タグと生地のアップです。
70年代とは、鹿の子の模様が少し変わった感じがします。
80年代初期 サイズ4(1)
- サイズ:4
- 身幅:52.5㎝
- 着丈:69.5㎝
- 生地:シャリ感ある薄め、やや変色
生地が薄くなっているので、真夏に着ていると、最高に気持ちいいです。
タグです。
タグのエイジングから、かなり着られた個体であることが分かります。
生地が見るからに、薄く、風通しもよいです。
こちらも鹿の子の格子がはっきりと出ています。強くてしなやかな極上のコットンでないと、こうはなりません。
鹿の子模様の光沢と美しさから、今のところ、70年から80年代初期が、ヴィンテージ・フレラコのピーク期と考えています。
80年代初期 サイズ4(2)
- サイズ:4
- 身幅:52.5㎝
- 着丈:63.5㎝
- 生地:白生地のイメージをキープ
前の個体と同タグ、同サイズですが、着丈が短めため、身長に関わらず着やすい個体です。
タグです。
前の個体と比べても、それほど着られていないことが分かります。
生地も多少、厚みを残していますが、80年代前期なので、鹿の子模様もしっかり出ています。
フレラコ 紺ボディ
一般的には、白ボディがフレラコの基本だと思いますが、個人的には、紺のジャストサイズ(3)を基本としています。(身長171㎝、体重68㎏)
紺のサイズ3をジーンズにあわせ、黒のサイズ4をミリタリーパンツにあわせるという感じです。
70年代中期 サイズ3
- サイズ:3
- 身幅:48.5㎝
- 着丈:62㎝
- 生地:ソフトなザラ感
70年代中期の紺ボディです。
袖です。
典型的なちょうちん袖です。
タグと生地のアップです。
70年代中期の生地にしては、毛羽立ちが目立ちます。洗濯で取れていく可能もあります。
ワニのワッペンです。
基本的に、ワニの尻尾は寝ていますが、ヴィンテージの中には、尻尾が立った個体があり、一部で好まれています。
タグなんかもそうですが、オリジナルのワニの尻尾は、立っていたということがあります。ただ、寝ていた方がおとなしい印象があります。
80年代初期 サイズ3(1)
- サイズ:3
- 身幅:47.5㎝
- 着丈:71㎝
- 生地:ザラ感
この時代で、サイズ3で着丈が71㎝ある個体です。
タグと生地のアップです。
毛羽立ち少な目で、鹿の子模様が出ています。
ワニのワッペンです。
80年代初期の個体でも、尻尾が立ったものがあります。
80年代初期 サイズ3(2)
- サイズ:3
- 身幅:48.5㎝
- 着丈:65㎝
- 生地:ソフト
タグと生地のアップです。
80年代初期 サイズ3(3)
- サイズ:3
- 身幅:49.5㎝
- 着丈:63㎝
- 生地:ソフトなザラ感
タグと生地のアップです。
ワニのワッペンです。
同じ時代のタグでも、現行モデルと同じように、尻尾が寝た個体があります。
70年代中期 サイズ4(1)
- サイズ:4
- 身幅:52.5㎝
- 着丈:69.5㎝
- 生地:ソフトなザラ感
70年代中期のフレラコなので、かなりねじれています。
タグと生地のアップです。
この年代だと、もう少しザラっとした感じでもいいかなと思いますが、やや毛羽だっています。
70年代中期 サイズ4(2)
- サイズ:4
- 身幅:47㎝
- 着丈:71㎝
- 生地:ソフトなザラ感
これも前の個体と同サイズ、同タグですが、身幅がかなり縮んでいます。
70年代から80年代初期の生地は、縮む生地のため、リーバイス501のシュリンク・トゥ・フィットのように、元の持ち主の体型による可能性があります。
タグと生地のアップです。
かなり着られた個体にも関わらず、毛羽立ちが多いことから、70年代の生地でも、紺ボディは、毛羽立ちが多い可能性があります。
フレラコ 黒ボディ
個人的には、M-51、M-65、ジャングルファティーグのパンツにあわせて、黒を着ます。
ある程度、着丈があっても、ミリタリーパンツの場合、カバーしやすいです。
70年代後期 サイズ3(1)
- サイズ:3
- 身幅:45.5㎝
- 着丈:65㎝
- 生地:ソフトなザラ感
タグと生地のアップです。
毛羽立ちが見られます。
ボタンです。
標準よりも、黒いボタンがついています。
ワニのワッペンです。
尻尾が完全にボディと並行です。
70年代後期 サイズ3(2)
- サイズ:3
- 身幅:50㎝
- 着丈:63.5㎝
- 生地:ソフト
前の個体と同タグですが、生地としてはソフトです。
タグと生地のアップです。
かなり毛羽立っています。70年代後期の黒ボディは、洗っても、なかなか毛羽が取れない可能性があります。
80年代初期 サイズ3
- サイズ:3
- 身幅:50.5㎝
- 着丈:62.5㎝
- 生地:シャリ感
タグと生地のアップです。
完全に毛羽立ちが取れて、ヴィンテージ・フレラコらしいしなやかでシャリ感のある生地となっています。鹿の子生地の格子もきれいに出ています。
80年代後期 サイズ3
- サイズ:3
- 身幅:49㎝
- 着丈:71㎝
- 生地:ザラ感
2枚袖の中にも、いい個体があります。着丈は長くなっています。
袖です。
この時代のちょうちん袖は弱めになりますが、リブは生地より面落ちしています。
タグと生地のアップです。
この時代にしては、毛羽少な目でザラ感あるいい生地です。
反りが強く見えるワニのワッペンです。
70年代後期 サイズ4
- サイズ:4
- 身幅:47㎝
- 着丈:69.5㎝
- 生地:シャリ感ある薄め
タグと生地のアップです。
70年代後期でも、毛羽がきれいに取れている個体があります。
80年代初期 サイズ4
- サイズ:4
- 身幅:50.5㎝
- 着丈:67㎝
- 生地:シャリ感
タグと生地のアップです。
少し毛羽は残っていますが、着続けていくと毛羽は取れていく生地だと思います。
80年代中期 サイズ4
- サイズ:4
- 身幅:52㎝
- 着丈:70㎝
- 生地:シャリ感ある薄め
70年代の黒はザラ感が出ますが、80年代初期頃は、ザラ感までいかなくて、シャリ感になり、中期になると、シャリ感にソフト感が加わってきます。
タグと生地のアップです。
80年代初期のシャリ感よりも、やや毛羽だった感じです。
なぜヴィンテージ フレラコなのか
かなり寒い環境で働かないといけない時があって、しのげるかなと思いましたが、リバースウィーブを着ると、この寒さはしのげると確信し、手放せない服となりました。
フレラコも同様に、年々、熱くなる日本の夏では、なしではすませられない服になってきています。
着古されて、生地が薄くなったヴィンテージのフレラコほど、日本の夏には快適に感じます。
着て快適ということはありますが、そもそも、フレラコを着始めた理由は、ジャストで履いた古着のリーバイス501には、ヤレ感が出て、着丈の短いヴィンテージ フレラコを着た方が圧倒的にカッコいいということがありました。
リーバイスやチャンピオンの古着は、今では高くなってしまいましたが、ボロいフレラコは、一般にはボロなので、2023年の8月時点でも、3000円~5000円台程度で買える場合があります。(適正は6000円~10000円程度)
個人的観測では、2022年ぐらいから、だんだんと、1万円以上の値がつく場合もあり、ボロいフレラコを集める人が増えている感じもします。
ボロいフレラコと言っても、生地は極上のコットンでつくられているため、コンディションのいい個体は、2万円近いプライスがつくこともあります。
フレラコの年代別タグの見方は、こちらの記事で紹介。
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