ひさしぶりにリジッド(生デニム)のジーンズの色落ち実験をしてみたいと思った。しかし、手元には育成中のジーンズがたくさんあり、新しいジーンズに手を出す余裕はなかった。
そこで、デニムシャツならいけるだろうと、GUのウエスタンシャツのリジッドに近い仕様を買って味出しすることにした。この考えがあまかった。
GUのウエスタンシャツの生地は厚く、つくりもしっかりしており、少し着たぐらいではびくともしなかったのだ。つまり、1990円という価格のわりによく出来ているのだ。
では、GUのデニムウエスタンシャツを見てみよう。
目次
GUのデニムウエスタンシャツ
GUのウエスタンシャツは、デニムの濃淡によって、3種類販売されている。濃色と色落ちしたブルーと淡色だ。
これはもっとも濃いタイプ。正確には、リジッド(未洗い生デニム)ではなく、各所にほんのりとビンテージ加工がされている。始めからビンテージ加工されたものを買えばいいのだが、濃い色から味出ししていく楽しみがあるのだ。
ディテールも確認してみよう。
Gジャンとみまごうばかりの質感である。定価は1990円(税別)。
一番上をのぞいてボタンはすべて人工パールの白いスナップボタンになっている。
ウエスタンシャツのボタンは基本的スナップボタンである。カウボーイが落馬した場合、手綱などの紐類がひっかかって馬にひきずられそうになった時、素早く脱ぐためのディテールである。バチバチバチっと豪快にボタンをはずして脱いで欲しい。(実際は、スナップボタンを壊してはいけないので丁寧に扱いましょう。)
一番上は普通のボタンになっている。これは、一番上までボタンを留めなければならないかしこまった状況の場合に備えて、ぷちんとボタンが簡単に外れないようにするためである。カウボーイはデニムが正装として認められているのでこうしたディテールになるのだろう。だから、馬に乗る時には一番上のボタンは閉めてはいけないんですね。なんとかっこいい。
ウエスタンシャツで特徴的なのは、肩(ヨーク)部分の切り返しである。普通のシャツと違って肩の前面まで、生地を2枚重ねにして補強しているのである。
このヨークのデザインや胸ポケットのデザインで、各メーカーは特徴を出すことになる。
袖も見てみよう。
GUの袖ボタンは2つ留めである。伝統的なメーカーの袖は3つ留め(3連カフス)が多いが、GUは2連とひかえめにしたのだろう。絶妙なバランスである。
バックも見てみよう。
背中部分もシンプルなデザインである。肩部分の色が薄くなっているのは最初からのビンテージ加工である。100%リジッドが欲しかったのだが、この値段で文句を言っていると、いい加減にしろと言われそうである。
最後に、太陽光での陰影も確認してみよう。
デニムは太陽光の陰影でもっとも立体的に見える。このGUのウエスタンシャツは自然光のグラデーションに耐えうるだけの十分な質感を持っていると言えるだろう。
GUのウェブサイトには、生地の重さは書いていないが7オンスはあるだろう。GUのライトデニムシャツは4.5オンスの生地なので、その差は歴然である。
GUの正確な商品名は、デニムウェスタンシャツということだ。ウエスタンシャツは、いろいろな素材でつくられるため、デニムをつける必要があるんですね。
濃色以外の色目も確認してみよう。
もっとも淡色のモデル。着てさわやかなのは、この淡色だ。これからの季節にいいだろう。厚手のダンガリーシャツといった感じにも見えるだろう。
もっとも人気があるのが中間のウォッシュ色だ。この画像ではわかりにくいのだが、味出しされているんですね。このウォッシュ色も多くに好感される色目だ。
ただ、このエントリーは、リジッドに近いものを入手して、チューンナップ(味出し)するという主旨なので、人気のあるビンテージ加工されたものはこのあたりで留めておこう。
そしてこれが、現在、味出しに挑戦中の濃色モデル。傾向的にはマニアックな色目といううことになる。
いずれ、色落ちと味出しに成功して、びっくりするようなコンディションを報告できるだろう(と思う)。
(わりと型番が変わるので最新版は「デニムウェスタンシャツ」で検索)
なぜ、GUのウエスタンシャツなのか?
ウエスタンシャツは他にもあるのだが、なぜ、GUなのか?
店舗でなんとなくチェックしていて、GUのウエスタンシャツはぜんぜん悪くないと思ったのだ。ノットバッド。7オンス近くあるデニムシャツが1990円(税別)ということもある。コスパも最高だ。
もちろん、ラングラーのウエスタンシャツもいいし、リーバイスだっていい。リーだっていいし、ラルフのもいい。レミレリーフのビンテージ加工されたモデルは最高だ。しかし、GUのデニムウエスタンシャツがよく見えてしまったのである。生地の厚さとウエスタンシャツのつくりの基本がおさえられていることが大きい。
といつつ、他のメーカーのウエスタンシャツが気になってしょうがない。他のメーカーのウエスタンシャツもチェックしてみよう。
いろいろなメーカーのデニムウエスタンシャツ
リーバイスのウエスタンシャツ
リーバイスから入ると、ジーンズのようにハマりこんでしまいなかなか出てこれなくなってしまうというリスクがある。アホのように色落ちするという旧ドゥニームの初期モデルを色落ちさせていても、リーバイスのビンテージレプリカの新しいのが出ればフラフラっと買ってドゥニームの存在を忘れてしまう。それほどリーバイスの引力は強い。
ウエスタンシャツは、ジーンズほど磁場は強くないだろうと思うのだがそれがあまい考えなんですよね。
まずは、ウエスタンシャツの代表的モデルから見てみよう。
リーバイス ソートゥースシャツ
日本リーバイスがレプリカでつくったリーバイスの昔のウエスタンシャツ。胸ポケットフラップのぎざぎざしたデザインに特徴があり、その形状からソートゥース(のこぎりの歯)と呼ばれている。
レッドタブを見なくてもひとめでリーバイスと分かるディテール。
このモデルは、古着も高価であり、レプリカも価格がそれなりにするので、「いつかはソートゥース」という感じなんだが、資金に余裕がある人は「いきなりソートゥース」でもいいんではないんだろうか。38880円(税込)。
しかも、生地はパーフェクトなリジッドなので5%縮むと書かれている。縮むということは、ステッチ部分でぐにぐにしたパッカリングがでやすく、味が出やすいということでもある。生地の重さは8.7オンスもある。最も厚いレベルの生地だ。
LEVI'S(R) VINTAGE CLOTHING 1955 ソートゥースシャツ / リジッド/ 8.7oz - リーバイスオンラインストア
アマゾンでデッドストックの日本製リーバイスのソートゥースを発見。上のモデルほど本格的ではないと思いますが価格は手頃だ。サイズはSしかないが10584 円(税込)。
リーバイス ヴィンテージ デッドストック ウエスタンシャツ リジッド ショートホーン 3連カフスボタン 日本製 - Amazon
バーストゥーというのはカリフォルニア南東部の町の名前ですね。レッドキャスト(赤味のインディゴ)デニムを使用したモデル。ダークリンスの濃色。8640円(税込)。
このあたりも狙い目だろう。
バーストゥーウエスタンシャツ/6.8oz デニム - リーバイスオンラインストア
リーバイスのもっとも、標準的なウエスタンシャツ。6480円(税込)。襟を見ると、やわらかいデザインになっていることが分かると思う。 ウォッシュのかかったモデル。7.8オンスのモデルもあったが、6.8オンスで落ち着いたようだ。デニムの場合、生地が厚くて、タイトなものを着ると、けっこうつっぱり感がある。そのかわり、ジーンズやシャツにもしわや力がかかるのでアタリも出やすくなる。
7オンスでもタイトなものを着るとけっこうつっぱるので、7オンス程度の生地は、リラックス感を求める場合は、ジャストサイズがいいのだろう。濃色の場合は、ストイックさを求めて、つっぱるけれどタイトなサイズを選んでもいいかもしれない。
ラングラーのデニムウエスタンシャツ
カウボーイがもっとも好むデニムがラングラーだ。ラングラーがもっともかっこいいジーンズメーカーとも思える。なので、ラングラーのウエスタンシャツの正当性は半端ないだろう。
Wrangler US ORIGINAL WESTERN SHIRTS
ラングラーのウエスタンシャツは胸ポケットにラングラーステッチがはいっているところに特徴がある。胸ポケットフラップもセンターからズラして機能性とデザイン性を統合している。
Wrangler US ORIGINAL WESTERN SHIRTS - Amazon
ラングラー 27MW ウエスタンシャツ
ラングラーの定番27MWデニムウエスタンシャツ。これはワンウォッシュ。
ディテールも味わい深いだ。三連カフス。
エドウィンのデニムウエスタンシャツ
日本が誇るジーンズメーカー。エドウィン。街場で目を引くジーンズはエドウィンであることが多い。なにかデニムのコツをつかんだみたいなことは感じる。
EDWIN STANDARD ウエスタン シャツ
裾の形状がフラットに近く、裾出しを考えたデザインにしている。生地は7オンス。しっかりしたつくりであることがわかる。
裾のデザインを裾出しで出してくるあたり、デニム製品づくりに対する自信がうかがわれる。大胆にウエスタンシャツをアレンジしているのである。
後ろの裾もフラットに近く、 背中はエドウィンのステッチになっている。後姿がかっこよく見えるウエスタンシャツと言えるだろう。袖も3連カフス。
着こんでいくとかなりよくなる可能性がありますね。
EDWIN E STANDARD ウエスタン シャツ - Amazon
次も日本のメーカーのウエスタンシャツ。
レミレリーフのウエスタンシャツ
レミレリーフのウエスタンシャツはビームスなどのセレクトショップによく置いている。
これはビンテージ加工された仕様。リジッドを味出ししてこういう感じにならないかと考えてるわけですね。レミレリーフは素材の段階から味出しを考えいるので、GUのデニムではなかなかこうはならない。しかし挑戦することに意義があるのだろうと思う。
個人的にレミレリーフのウエスタンシャツで着目しているのは、ヨーク(肩部分)のステッチだ。他のメーカーはみんなシングルなんだが、レミレリーフはダブルになっている。つまりヨーク部分をダブルステッチにすることで、生地の縮みとアタリで強い味出しを出るようにしていると考えられるのだ。
洋服のお直し屋さんで、GUのヨーク部分をダブルステッチにしてもらってもいいのだが、そうやってデニムをどんどん改造していると、最終的にはけっこうな金額がかかってしまうので、今回はやめておこうと思う。要するに、味出しするために、すべてのシングル部分を全部ダブルでステッチ補強していくことが考えられるわけだ。ダブルステッチ、トリプルステッチでガンガンに補強していくと、地球上に一枚しかないデニムウエスタンシャツになるだろう。
レミレリーフ デニムウエスタン(ノーマル)
ウォッシュされてビンテージ加工されたタイプ。24624円(税込)
裾も後ろを少し長くしたフラット形状で計算されつくしているディテールだ。
レミ レリーフ デニムウエスタンノーマル -ワンウォッシュ
ワンウォッシュの仕様もある。ビンテージ加工されていない分、価格も19440円(税込)と安くなっている。
素材的には、ジンバブエコットンをインディゴでロープ染色し、旧式のシャトル織機で織り上げられたという8オンスデニム。味出しのベースとするのであれば、最も結果が約束されたアイテムと言えるだろう。
*
このように各メーカーがデニムウエスタンシャツの仕上がりを競っている。それが素晴らしい。
リーバイスもよかったし、ラングラーもよかったし、エドウィンもすてがたい。やはりレミレリーフもよかった。
しかし、僕はGUのウエスタンシャツを選んだ。しばらくしたらリーバイスも買ってしまうかもしれない。
たぶん、ひとそれぞれ、自分が最高だと思うウエスタンシャツが最高なんだろうと思う。
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