新国立競技場関連の記事が最近増えていますが、問題の核心を突く重要な記事が1月22日に発信されました。
タイトルは「国立競技場、B案も工期短縮は可能だった――建築家・伊東豊雄氏に聞く」です。
Photo by Toshiaki Usami
国立競技場、B案も工期短縮は可能だった――建築家・伊東豊雄氏に聞く|『週刊ダイヤモンド』特別レポート|ダイヤモンド・オンライン
内容は伊東氏へのインタビュー記事です。Bチームの総大将語るです。読んでもらえれば一目量然なんですが、重要な記事だと思いましたので、気になるポイントをピックアップしてみました。
ポイント1:審査過程と審査員がつけた得点を公表せよ!
伊東氏は、審査において工期の得点に大差がついたことに「疑問が解けない」との思いを述べ、審査の議事録や、各審査委員がつけた得点の公表を求めている。出典:国立競技場、B案も工期短縮は可能だった――建築家・伊東豊雄氏に聞く|『週刊ダイヤモンド』特別レポート|ダイヤモンド・オンライン
BチームがJSCに審査議事録と得点の公表を求めているという噂はありましたが、
これで確定しました。JSCとしては、何らかの返事をする必要があるのではないかと思います。
得点差27点の謎とは?
今回公表された得点の内訳で、A案、B案とも同じ2019年11月に竣工する計画であるのに、「工期短縮」の項目の評価で117点に対して150点と、27点もの差がついたのは、最大の謎、疑問です。
これが国民から見ても最大の謎でした。
この27点もの差がついた理由として、伊東氏は思い当たる節を話しています。
それは、地中に残った旧競技場の杭の扱いになります。
正式な着工前に、既存杭が撤去できるかは最終的には行政判断になりますが、Bチームが最初に提出した提案書では、確認申請が下りる正式な着工前に、既存杭を撤去するという条件で、竣工をAチームと同じ2019年11月としていました。
提出後、審査員から正式な着工後に既存杭を撤去しても2019年11月竣工でいけるかという質問があり、それに対してBチームは2カ月遅れますと答えたそうです。
その後Bチームが検討を重ねた結果、正式着工後、既存杭を抜いても、2019年11月竣工が可能であることがわかり、後日、公式ヒアリングでその旨を答えたそうです。
そう答えましたところ、JSC職員が高圧的にこう言ったそうです。
「回答を、変えるんですかあーー?」(原文ママ)
伊東氏によりますと、このやりとりで27点の差がついたのではないかということです。
「工期」はA案の方が高得点ではという疑惑
ちなみにA案は、既存杭の撤去の扱いについて提案書で触れていません。これは審査サイドの仕切りに完全に問題があり、条件を揃えてジャッジすべき内容だったのです。
事前質問に対して回答を変えたにせよ、最終的な公式ヒアリングでは、正式着工後の既存杭撤去でも、11月竣工は可能だと答えていますので、工期という点で27点もの差が
つくのはおかしいのです。
本当ならば、既存杭の扱いについては提案書に記載していないA案の方が、工程計画では不確定要素が入っていることになり、点数が低いはずなんですね。
詳細はこちらのページです。
国立競技場、B案も工期短縮は可能だった――建築家・伊東豊雄氏に聞く|『週刊ダイヤモンド』特別レポート|ダイヤモンド・オンライン
ポイント2:Bチームはあきらめていない!
我々のチームで作業をしてくれたスタッフがみんな、解せない。疑問が解けない。あきらめきれないという気持ちが強くあります。
出典:国立競技場、B案も工期短縮は可能だった――建築家・伊東豊雄氏に聞く|『週刊ダイヤモンド』特別レポート|ダイヤモンド・オンライン
Bチームの声というのは、A案決定後から何も出ていませんでしたので、SMAPの4人のように、あきらめてしまったんだろうなと勝手に思っていましたが、そうではなかったようです。
竹中工務店さんの設計部のみなさんも非常に優秀で、コンペでこれ程がんばることができたチームの経験はありません。日本設計さんも、特にユニバーサルデザインの取り組みに力を入れてくれました。パース(鳥瞰)図を1枚描くのにも何度もヘリコプターを飛ばして、力を入れたつもりなんですが、残念ですね。出典:国立競技場、B案も工期短縮は可能だった――建築家・伊東豊雄氏に聞く|『週刊ダイヤモンド』特別レポート|ダイヤモンド・オンライン
Bチームのメンバーにも最大限の賛辞を贈っています。
以前のエントリーでも少し書きましたが、B案のユニバーサルデザインの提案は、コピペ感のないオリジナルに練り上げられた最新の内容でした。
具体的なアクションとしては、まず、伊東豊雄氏を中心としたメンバーがB案についてのシンポジウムを行うそうです。このシンポジウムには、審査員の一人、建築家の香山寿夫氏が参加されますので、審査について何か語られるかもしれません。
シンポジウムのチラシ(クリックで拡大します。)
シンポジウム「B案の主旨 新国立競技場コンペティションを振り返る」
申込・問合せ先:伊東豊雄建築設計事務所 ( 担当 木下 ) tel.03-3409-5822(平日 10:00-18:00) sympo@toyo-ito.co.jp
ポイント3:A案にはB案より優れた点はない!
記者の方が伊東氏にこう聞きます。
――今回のA案について、逆にB案より優れていると思われる面はありますか??
それがねえ、本当にないんですよ。A案の競技場の周りの樹木はプラントボックスですから、メンテナンスにとんでもないコストがかかる。
出典:国立競技場、B案も工期短縮は可能だった――建築家・伊東豊雄氏に聞く|『週刊ダイヤモンド』特別レポート|ダイヤモンド・オンライン
伊東氏によれば、A案にはB案より優れた点は「本当にない」そうです。
普通は「この部分は良かったんですけども」みたいな言い方をしますが、世界的建築家なので違います。A案の外側には、外部階段がついていて、当ブログでは、それはいいねみたいなことを書いていますが、デザイン的にはおかしかったのかもしれません。
特にメンテナンスは、白紙後、官邸主導で行われたヤフー意識調査で、コスト面では国民が最も重要視する項目でした。審査員の目はフシ穴なのでしょうか? それとも国民の意見など参考にするに足りんというのでしょうか?
新国立競技場、コスト抑制のために何をすべき? - Yahoo!ニュース 意識調査
コレジャナイ建築を審査するのは誰?
この発言、A案が本当にダメだったのか、伊東氏が今回の事態に相当ご立腹でこうしたことを言われているのか気になるところです。
本当にダメなものを建てるのもつらいので、伊東氏レベルではダメだけど、通常レベルでは80点ということでどうでしょうか。
完成してから「コレジャナイ」と言ってもはじまらないのです。
結局、審査員はいったい何を審査していたんだという思いがつのるばかりです。
詳細はこちらのページです。
国立競技場、B案も工期短縮は可能だった――建築家・伊東豊雄氏に聞く|『週刊ダイヤモンド』特別レポート|ダイヤモンド・オンライン
まだまだ読みどころたくさんの内容となっていますので、ぜひ全体を読んでみましょう。
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