アーキペラゴを探して

デニム、ヴィンテージ、旅、レビューのブログ

ヘブンリー・グリーン / 子どもの頃に欲しかったもの

子どもの頃、緑色のものが欲しかった。抽象的だけど、緑色のなにかが欲しかった。それはビー玉だったり、下敷きだったり、緑色の昆虫だったりした。緑色のビンを見に青島ビール工場に行ったこともある。緑色のなにかを見ていると、緑色の世界に吸い込まれるような気がした。

やがて緑のちからを吸収しようとした。緑のなかには消費されやすいものと消費されにくいものがあった。燃料としてのアルコールとコールタールの違いのように。普通の緑ではだめで、印象的でブリリアントでごく微量で宇宙の真理に達するような緑色でなくてはならなかった。つまりヘブンリー・グリーン。

 

その傾向は続いている。青の時代でも 

青の時代というのは、持ち物のほとんどを青色で揃えてしまい、特にひどい状態を自分でそう呼んでいる。有名な画家のそれとは関係がない。オール・ブルーは行き過ぎなので、ごく微量にグリーンを調合する。バランスを取るために、青い危機を回避するために、子どもの頃の傾向が顔を出す。青の時代に必要なのは、ほんの僅かな緑だった。やがて青の時代は終わりをつげた。 

 * 

ある時、少しの緑を求めた。それは今なんだけど、緑色のペンだ。緑軸のペンを集めている。緑軸のペンの収集家をミドラーと呼ぶことはあとで知った。幾つかの緑軸を紹介しようと思う。ヘブンリー・グリーンの一端が伝わるだろうか。天国と言えばブルーが相場だがぼくの場合はグリーンだった。

 

ミドラーとしてのコレクション

 

ペリカン「M205 DUO」のシャイニーグリーン

ペリカン「M205 DUO」のシャイニーグリーン。これはBB(極太字) ニブのハイライター。要するに蛍光ペン。専用インクが付いていてマーキングするのが楽しくなる。緑が少し薄いんだけども買わざるを得ないものがあった。ペリカンはスーベレーンなど魅力的な緑軸が多いけど持っているのはこれだけ。(ドイツ) 

 

 

 クロス「ソロ・トランスルーセント」のグリーン

クロス「ソロ・トランスルーセント」のグリーン。このシリーズは全色スケルトン。残念ながら2005年に廃番。普段使っていたのでスリ傷がついてしまった。クロスのボールペンは書きやすい。ぼくが求める標準的な緑だ。(アメリカ) 

 

アウロラ「マーレ・ティレニア」

アウロラ「マーレ・ティレニア」。ティレニア海という名前。アウロラはだいたいコテコテしたデザイン。このグリーン・マーブル・レジンを見ていたらたまらなくなり、気づいたら購入ボタンをクリックしていた。(イタリア) 

AURORA 〜 製品一覧

 

パーカー「ジョッター」125thスペシャルエディション

パーカー「ジョッター」125thスペシャルエディションのグリーン。なんやかや言ってもボールペンはジョッターが一番信頼性が高いのではないだろうか。定番ジョッターは800円ぐらいから買えるのでおすすめ。(アメリカ)  

 

 

エゴにまみれたミドラーとしての矜持

収集には結果的に嫌らしさがつきまとう。嫌らしさに染まらない矜持が必要だと思う。ミドラーの矜持とはなんだろうか。かなり悩んだすえにラミーサファリのグリーン軸は買わなかった。緑の色合いが微妙に違う。買えるのだけども買わない。カリカリするラミーサファリのハードな書き心地がたまらない。欲しいのだけれども買わない。それがミドラーの矜持。  

 2012年の限定色。いろんな文具屋さんを廻り、この蛍光グリーンがいまだに残っているのを見るのはうれしい。残っていてもうれしいし、売れてしまっていてもうれしい。で、普通の万年筆はM(中字)を買うんですけど、サファリはEF(極細字)かなあって思うんです。持っていないのにサファリ語りスレに参加。ありませんか? こんなしあわせな空洞感。

 

今も青の時代?

今は青色の持ち物を持つことはない。しかし、緑軸のペンを集めている。ということは、どこかが青に染まっている。外側でなければ内側。心の中がまったくのブルー。

引き出しの片隅からブルーのカランダッシュが見つかった。外側しか残っていないカランダッシュ849。グリーンの849は未使用。この扱いの違い。ブルーはどんな使い方をしたかも覚えていない。ブルーの849はハードに使い、リフィルもボタンもスプリングも消え失せた。ケースだけが残った。それが今のぼくだ。 

カランダッシュ849

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