A&Wの1号店でモッツァバーガーをルートビアで流しこんで、国道330号線のロードサイドをコザ十字路をめざして歩いていました。ライカムの交差点の右手にイオンモールが出来ています。みるからに巨大です。
4月25日にオープンしたイオンモール沖縄ライカム。施設的には大盛況となっています。しかし、デザイン的には少し違和感を感じました。それはライカムが琉米文化の象徴のような場所だと思うからなのです。
ミッドセンチュリーのアメリカンデザインが印象的だった場所に、沖縄風アジアンリゾート風デザインがどうなんだろうということですね。
出典 http://okinawarycom-aeonmall.com/static/detail/outline
観光型ショッピングモールのデザインとしては正解でしょうし、沖縄固有の景観を取り戻すんだという言い方もできるかもしれません。オールドオキナワの赤瓦屋根の連なりですね。
琉米文化(1945-1972)のデザインをどう考えるかという問題もあるかもしれません。マニアックだけどかなり重要な課題だと思いましたので、ミッドセンチュリーモダンの琉米文化からイオンモール沖縄ライカムまでを検証してみました。
目次
- 1.ライカム交差点から見た横綱級ロードサイド建築
- 2.琉米文化の発信地ライカム
- 3.ロードサイド文化から考えるイオンモール沖縄
- 4.観光型リゾートモールの内部空間とは
- 5.ライカムヴィレッジという外部モール
- 6.海の見える屋上テラスへ
- 7.駐車場とイオンショッピングセンター
- 8.イオンモール沖縄とライカムという琉米文化の行方
- ライカムからコザ、嘉手納を抜けて西海岸へ
1.ライカム交差点から見た横綱級ロードサイド建築
ライカム交差点から見たイオンモールです。横綱級ロードサイド建築の誕生です。力士にたとえると小錦クラスです。規模的には沖縄で最も大きいショッピングモールです。ライカムの交差点から見るとやはりそこはかとなくイオンなんですね。
左奥に見えますのが「王宮」とも称されるイオンモールです。立派な建物です。
ライカム (RyCom)というのは、かつてこの場所にあった琉球米軍司令部 (Ryukyu Command headquarters)の通称で、今でもこの辺りをライカムと呼んでるんですね。
今後、このライカムという言葉が重要な意味を持つような感じもしますので、もう少しライカムのロードサイド的な側面を見てみましょう。
2.琉米文化の発信地ライカム
ライカム周辺のロードサイドには、冒頭で触れましたA&Wの1号店(屋宜原店)やローズガーデンというオールディーズな雰囲気のレストランやプラザハウスという今年で60周年になる元祖ショッピングモールがあります。コザまで歩いて1~2キロの距離です。
A&W屋宜原店(1963年~)
A&Wの1号店です。この建物が好きでライカムに普天間から歩いて来たんです。地元では屋宜原エンダーですね。少しミッドセンチュリーモダンのディテールを見てみましょう。
両ウイングにあるドライブスルーのコーナーです。アメリカの設計をそのまま持ってきているという話です。
正面からの全景です。1963年に建てられた国内ファーストフード1号店でもありますので、ある意味、聖地です。ミッドセンチュリーモダンの雰囲気がなんとなく伝わったのではないでしょうか。また、もう少し詳しく書きたいと思います。 A&W沖縄
The Rose Garden
これはローズガーデン。いつ通っても人が並んでいます。ミッドセンチュリーモダンではありませんが古き良きアメリカン。店のなかは完全にアメリカですね。アメリカー御用達イタリアンということですが。イオンモールが出来てもまったく関係ないようです。
プラザハウスショッピングセンター(1954年~)
プラザハウスです。1954年完成。長く琉米文化の発信拠点として続いている場所です。琉米文化のシンボルのような建築です。
1954年7月4日、アメリカ合衆国独立記念日に、沖縄に在住する米軍関係者やその家族の生活を充足させる商業施設として、アメリカ統治下のコザ市(後の沖縄市)に開店した。ライカムと通称された近傍の地域には、米軍の司令部があった。
有名なのがファッションを扱うロージャースですね。まさにミッドセンチュリーモダンといった感じです。イオンモールが出来てプラザハウスは大丈夫なのかという意見もあるかもしれませんが、もともとターゲットが違うので大丈夫ではないでしょうか(と思いたい)。プラザハウスにはステータスや憧れがあると聞きます。
こうしたオールドテイストな味のある地区に、超ド級イオンモールが出来てしまったという訳なんです。
新しく転校生がやってきたら、ちょっとガタイが良すぎた感じなんですね。
ライカムの名札をつけて馴染もうとしてるんですが、みんな洋服着てるのに、琉球王朝風の民族衣装を着てきちゃたんですね。
いいじゃないか? ものすごく難しい問題だと思います。
3.ロードサイド文化から考えるイオンモール沖縄
330号線のロードサイドをバックパッカーの格好でよく歩きこんでいます。沖縄のひとからすれば、珍しいかもしれません。ウチナーンチュは基本歩かないんですね。
ただ、車の移動ではなく、歩くことでロードサイド文化の細かいところが見えてくる場合もあるわけです。
これは330号線に面したバス停用の入口です。*1 ウォーカーにもこれはうれしいですね。見えているのはウイング部分のイオンのショッピングセンターです。
この階段の途中から反対側を見た写真です。330号線の向うがライカム米軍住宅です。古いですけども、平屋のフラットルーフでいい味を出しています。
沖縄の個人住宅は多くが鉄筋コンクリート住宅ですが、外国人住宅の建設が技術的拡散のベースになったとも言われているんですね。
せっかくなので、この入口から入らずに、正面にまわりましょう。
正面は、ライカム交差点から引き込んだ位置にあります。ヤシの木の並木があったりして、リゾート施設のようです。東京ドーム3.5個分の敷地です。もとは米軍専用のゴルフ場だった場所なんですね。*2
もっと近づいて見ましょう。
ロードサイド側は従来型のイオンモールのような感じですが、正面側は幕張のリゾートホテルのような外観です。大量のバスがどんどん発着しています。
正面にあるのはデザイン的なゲートで、奥行感や高級感を演出しています。アライバルゲートと呼ぶようです。立派なシーサーもあります。アライバルゲートをくぐってみましょう。
やはりデカイですね。首里城より大きいかもしれません。正面部分はシンメトリーです。イオニストの聖地といった感じです。
ちょっと中に入ってみましょう。
4.観光型リゾートモールの内部空間とは
でかいエントランスホールです。人、人、人です。バズりまくりです。ライカムグランドスクエアというそうです。
別の角度から見ても人がたくさんいます。正面のホールには水槽もあります。近づいてみましょう。
ライカムアトリウムというそうです。
ナポレオンフィッシュが泳いでいました。たしかにリゾートモールです。
アイスクリームのコールド・ストーンに人が殺到しています。この熱気はガチ。ほんとにアイスクリームが好きですよね。ブルー・シールとどっちがおいしいのか聞いてみたいところ。
Welcome to Rycom ! のオーナメントがあちこちで踊っています。ライカムの意味もいずれ変容していくのかもしれません。
とても全貌を把握しきれません。 いったん外を出て、ライカムビレッジという外部モールを見てみましょう。
5.ライカムヴィレッジという外部モール
イオンショッピングセンターの反対のウイングにライカムヴィレッジはあります。オープンエアのモールですね。
オリオンビアテラスがありました。那覇のオリオンビアテラスよりかなり大きいです。ビアホールやレストランが入っています。
パンケーキのラナイカフェです。イオンモール御用達です。
ハワイのクア・アイナですね。
オリオンビールは入っているものの、さすがにA&Wは入っていませんでした。プラザハウスにもA&Wのカフェがありますので。
6.海の見える屋上テラスへ
屋上テラスから海が見えます。子どもも休んでいます。子どもは気持ちいい場所を見つけるのがうまいです。
ここはおススメポイントですね。ステージもあって、毎日イベントがあるそうです。たしかにリゾートモールです。
屋上からの写真です。とても全部まわりきれませんでしたが、屋上に立つと施設を全部まわったような気になるのでお得です。
7.駐車場とイオンショッピングセンター
最後は、車とショッピングセンターというロードサイド建築お約束のショットです。
書いても書いても終りません。それだけ大きいんですね。
8.イオンモール沖縄とライカムという琉米文化の行方
ちょっと見るつもりだけでしたが、歩きまわってけっこう疲れました。もうイオンモール沖縄で消耗しました。実際にまわってみたところ、施設のコンセプト通り、ここで一日過ごすようなつくられ方です。
ただ、繰返しになりますが、ライカムという言葉は、ロードサイドで展開した琉米文化も意味していると思いますので、イオンモール沖縄ライカムに行かれた時は、A&W1号店やプラザハウス、そして、コザまで足をのばされることをおすすめします。
これはプラザハウスのフェアモール3階の壁面に貼られている昔の航空写真です。手前にプラザハウス、その向うに現在イオンモール沖縄ライカムが建っているゴルフ場があって、その向うに海がひろがっています。
同じ3階に、ライカム・アンソロポロジーというギャラリーのような空間ができています。ライカムや古い琉米時代の写真が展示されていますので、興味のある方は見られると面白いです。
ミッドセンチュリーモダンと琉米文化を考える空間でもあるようです。
RYCOM ANTHROPOLOGY – PLAZA HOUSE SHOPPING CENTER
ライカム周辺マップ
ライカムからコザ、嘉手納を抜けて西海岸へ
この坂を越えるとコザです。
むかし、普天間から歩いてライカムにさしかかった時、すごく晴れているのに、丘の上の空から雨が降ってきたことを思い出しました。水のようにキラキラした透明な雨がまっすぐに降ってきました。
コザのオールドホテルで一泊して、ここは知花のあたりです。このまま嘉手納を抜けて西海岸を目指したいと思います。
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*1:正面玄関までアクセスする路線バスもあります。