アーキペラゴを探して

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ガンガラーの谷へ女と男と命の根源を見に行った

パワースポットのイメージ

 生体のエネルギーが低下した場合、何らかの方法で補充しなければならない。

パワースポットは力を回復させるひとつの手段である。

 

タコスを食べながらパワースポットの話を聞いた

その日はゲストハウスで知りあったS君と牧志公設市場裏でタコスを食べていた。S君相手に沖縄タコスの傾向を語ろうと考えていた。

「すんごい、パワースポットがあるらしいんですよ」

油で曇った眼鏡をひとさし指で持ち上げて、S君は言った。ぼくは口に入れようとしていたタコスをそっと皿に置いた。沖縄のパワースポットには興味がある。

「ガンガラーの谷っていうらしいんですよ」

それって定番観光スポットではと思ったが言うのはやめにした。S君は自分の知っている情報をひと通り話し終わると最後に言った。

「自分に足りない力を得てこようと思うんです」

S君は力を得るためにガンガラーの谷に向かった。夜になっても戻らなかった。

 

S君は疲れてみえた。本人によれば東京で消耗したのだという。その回復のため休みを利用して沖縄に来た。ジャングルに消えたジム・トンプソンとS君のうしろ姿が重なる。

次の朝、S君を追ってぼくはガンガラーの谷に向かった。自分の目で確認する必要があるーー

 

路線バスでガンガラーの谷に行った

那覇バスターミナルから小一時間ほどでガンガラーの谷に着いた。ガンガラーの谷はおきなわワールドの道を挟んで向かいの敷地にある。ハブvsマングースや玉泉洞で有名なおきなわワールドのひとつの施設であるようにも見えた。

完備された駐車場を通り、入口に向かう。入口と思われる所には、ガンガラーの谷が紹介された新聞記事が貼ってある。

ガンガラーの谷の紹介記事

 

国内最古の貝器出土 南城サキタリ洞、旧石器初 - 琉球新報

<社説>サキタリ洞人骨 祖先像の解明を期待する - 琉球新報

埋葬人骨、国内最古か サキタリ洞遺跡 9千年以上前 - 琉球新報

 

 新聞には「国内最古」とか「9千年前」とかスケールが大きい見出しが踊る。パワースポットというより遺跡のような感じだろうか。矢印の示す方向に階段があり、ゆっくりと降りて行った。

 

ケイブカフェから谷沿いを歩く

ガンガラーの谷の入口

 階段を下りると受付があった。予約した名前をつげる。ここはガイドによるツアー形式ということもあり、事前の予約が必要である。エントランスは洞窟空間を利用したカフェとなっている。ケイブカフェというそうだ。

 

ケイブカフェの様子

 ケイブカフェの様子。あまり見たことのない雰囲気のカフェ。奥のブルーシートは遺跡をを保護している部分とのこと。カフェでは、最近おなじみの35(サンゴ)コーヒーが飲める。35コーヒーのパウダーは、珊瑚で焙煎しているのでサラサラしている。

カフェのすぐ近くには実際に遺跡を発掘している部分が見えたりする。発掘がリアルタイムであることが感じられる。ツアーの1グループは20名ぐらい。ガイドさんから説明を受け、ガンガラーの谷に出発進行。

 

ケイブカフェを出た小川沿いf:id:nobujirou:20150128232642j:plain

 ケイブカフェの洞窟を出て小川沿いを歩く。歩道が整備されていて歩きやすい。過去に一度手を入れたことがあるため部分的に整備されているという。大きな竹や谷の地層の説明を受けながら歩いた。ぼくは見れなかったが、ルリカケスがいたらしい。

 

ほどなくして最初のパワースポットである種之子御嶽(サニヌシーウタキ)に到着。種之子御嶽はイナグ洞とイキガ洞の二つの洞窟の一帯からなる。琉球時代から地元で信仰された御願所(ウガンジュ)ということだ。イナグは女性を意味し、イキガは男性を意味するという。S君は力を得ることができただろうか。

  

イナグ洞 : 女

イナグ洞 母神の標

 中央の凹んだ場所が垂直の洞窟となっており、そこがイナグ洞ということだ。イナグ洞は入れないが上から覗かせてもらえる。母神と書かれた標は、ある日、ユタの方が置いていかれたそうだ。

 

イナグ洞 上から覗いた様子

 上から覗いた写真。ガイドさんによると、洞窟のなかには、乳房のかたちをした鍾乳石がいくつもぶらさがっており、臀部のかたちをした鍾乳石もあるそうだ。御嶽自体は本来はみだらに立ち入ってはならない場所であることは肝に命じておきたい。いずれは何らかの制限がかかるのではないかと思う。

 イナグ洞の近くにイキガ洞窟の入口が見える。

 

 イキガ洞: 男 

イキガ洞窟の入口

イキガ洞は横に延びた洞窟である。写真右手には川が流れており、その川の侵食により、この洞窟や谷が出来たということだ。

  

イキガ洞窟の拝所

拝所でランプをもらい、洞窟の中へ進む。ランプの灯りを頼りに、50メートルほど進むとイナグ洞のご神体の場所に着いた。

   

イキガ洞窟のご神体1

ガイドさんから男性のシンボルであるといった説明を受ける。思ったより大きい。みんなの感想が一致した瞬間。

 

イキガ洞窟のご神体2

 ご神体に触れて拝むと子宝に恵まれるという。沖縄の御嶽に共通する根源的な迫力。入口付近が拝所なのも良く分る。

 

それぞれ満々洞、珍々洞と呼ばれた時期があった。種之子御嶽の次は、トンネルを通って、ガンガラーの谷の一番人気の大ガジュマルへと向かった。

 

トンネルの様子

ガンガラーというのは、昔、この辺りの人が、洞窟に石を落とすと、ガンガラー、ガンガラーと響きながら落ちていったことに由来するという。洞窟の反響音は高く、その実験もしてくれる。トンネルを抜けるとウフジュガジュマルが見えた。 

 

大主(ウフジュ)ガジュマル : 生 

大主(ウフジュ)ガジュマル

 谷の底から地上に突き出ている。高さ20メートルの大カジュマル。ウフジュカジュマルとの記念撮影タイムが終わると、侵食された谷を抜けて、施設の人が手づくりしたというテラスに上がった。

 

テラスからの景色

 フィッシャー遺跡の方向を見た。約2万年前に生きていた港川人の人骨が発見された場所。最後に武芸洞と呼ばれる発掘現場に行った。

 

武芸洞 : 死 

武芸洞の中の様子

 両側が抜けた風通しの良いトンネル状の洞窟。 

 武芸洞の石棺

約2500年前の石棺墓。10cmか20cmか掘ったところに、石棺に納められた人骨が原型を留めて残っていたという。繰り返し利用された重層構造の棺。沖縄という島は珊瑚で出来ている。珊瑚から出来た石灰岩はアルカリ性のため、本土では考えられないような状態で人骨が残っているのだという。しかし、未来永劫いつかは土に還るだろう。

 

ツアーが終り、バス停に行った。那覇行きは一時間に一本で出たばかりだ。ぼっーと待っていると、薄いグリーンのジャンパーを着たおじぃが近づいてきた。那覇までタクシーで安く行ってくれるという。有難く乗せてもらった。牧志に着くまでずっとおじぃの話を聞いていた。*1

   

ガンガラーの谷に行くベストシーズンを考えてみると、夏は虫が多そうなのと、近くに乳牛がいるらしく糞のにおいが若干するので、秋、冬から春がいいんじゃないかと思う。冬休みや春休みはガンガラーの谷に行くチャンスである。*2 

公式サイト

ガンガラーの谷  

ガンガラーの谷へのアクセスのページ。バスでの行き方も詳しく書かれています。

アクセス | ガンガラーの谷

 

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* 

那覇に戻ると、久茂地付近でS君を見掛けたという話を聞いた。女子を含むグループに混じっていたという。年相応の出会いを求めて違うゲストハウスに行ったのである。ガンガラーの谷は、女と男と生と死のコントラストがはっきりしていた。S君は曇ったレンズを何度も拭ったのだろう。もうタコスを食べに戻ることはないようにと願う。

 

ぼくにとって力とは何であろうか。お腹がすいてきた。ガンガラーの谷でパワーを得たのか食欲が戻ってきたようだ。ジャッキー・ステーキハウスに向かった。いつも混んでいて入れない。辻から旭橋に移り、もう5、6年入れたためしがない。 

 

ジャッキー・ステーキハウスの外観

 入れた。おお。これが超常の力か。 

  

ジャッキー・ステーキハウスのテンダーロイン

 野菜以外はあまり飲んでも食べてもいけないので、瓶ビールとSサイズのテンダーロインを頼む。命に感謝して今日は禁を破ろう。ラベルの桜がういういしい。春よこい。  

 ジャッキー公式サイト

★ジャッキー ステーキハウス★

 

冬に沖縄に行く場合の服装

ちなみに、冬に沖縄に行くときの服装は、春の寒い日ぐらいを想定しておくといいかもしれない。最低気温は15℃ぐらいだけど、風が意外と冷たいので、屋外だと体温が奪われる。

上は、エアリズムぐらいのインナーと長袖シャツ、アウターに、ナイロンの風を通さないブルゾン、下は、ユニクロの防風チノパン1枚ぐらいにしている。普通のチノパンだと、海を見に行ったり、長時間外にいる場合は寒い場合がある。次の記事で少し触れています。  

archipelago.mayuhama.com 

 

*1:ひとつのエピソード。おじぃが子どもの頃、うちなーぐち(沖縄の方言)をつかって使ってはいけない時代があった。小学校では方言を使うと罰として掃除をさせられた。おじぃは何かというといつも先生にたたかれたそうだ。先生にたたかれるたび、思わず方言で「あがー(痛い)」と言ってしまい、おじぃはいつも掃除をさせられたそうだ。昔も、いじめはあったよという話。

*2:夏は夏でジャングルみたいでいいかもしれない。

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