本を処分して部屋をすっきりさせよう! そう考えていませんか。実は捨てなくてもいい方法があるんです。蔦屋書店にその秘密がありました。
目次
1.蔦屋書店のインテリアに学べ
本を捨ててはいけない! だからミニマリスト2.0
ミニマリストであっても、本は捨ててはいけないと以前のエントリーで指摘したんですが、部屋のあちこちにうず高く積まれた本や雑誌はまったくもって目障りなもの。家のあちこちに本タワーが出現していますよね。高層マンションの建設現場のように日々確実に積み上がって行きます。
えいやっ!とタワーごと捨ててしまいたくなるところですが、捨ててはいけません。
部屋が散らかっているのを何とかしたいというのが、断捨離やミニマリズムに走るひとつの動機ですから、外見上すっきりきれいに見えれば捨てる必要はなくなります。
蔦屋書店のようにすべてきれいにディスプレイすればいいんです。そうすれば、本があってもミニマリストの生活空間は可能となります。ミニマリスト+本=ミニマリスト2.0です。
まずは、蔦屋書店のインテリアを見てみましょう。
なんと、大阪にも蔦屋書店が!
出典:http://real.tsite.jp/umeda/about/
閑古鳥がカーカー鳴いていた駅前百貨店が蔦屋書店を目玉に据えた大リニューアルによって大きく変わりました。まいどの掛け声もにぎやかに甘いソースの香りが漂う大阪駅も代官山のような文化とカルチャーのイケてるステーションに生まれかわりました。
たこ焼きからショコラへ。それが蔦屋書店が起こした文化的変動です。シャレオツなサードウェーブの若い衆がどんどん集まっています。
どんな店舗空間なんでしょうか?
ここでは、本だけでなく文具・雑貨、個性豊かなショップなど、あらゆるカルチャーがシームレスに繋がっており、お家のような居心地のよい時間と空間をお届けします。
コンセプトが「お家のような居心地のよい時間と空間」とありますので、自分の部屋のインテリアを蔦屋書店にすることはあながち間違いではないわけです。空間の要素を「シームレス」につなげることもポイントです。
家具や調度品も参考になりますが、主役であるブックシェルフ(本棚)を中心に見て行きましょう。
梅田 蔦屋書店の本棚から学ぶ
標準的な本棚です。ここは「ワークスタイル」のコーナーです。新しい働き方を見つける梅田 蔦屋書店の目玉コーナーです。
上下のLEDのライン照明によってディスプレイのメリハリをつけているのがポイントです。大型書店とかですと、通常書籍の扱いに序列はつけにくいので均質な照明しかできませんが、蔦屋書店ではそうしたセオリーを大胆に変えています。
ここは「変革者の本棚」です。左手に見えるのが、万年筆のディスプレイです。こうした本とは違う要素も同一インテリアで「シームレス(つなぎ目なし)」につなげているのが蔦屋書店のポイントです。ヴィレッジ・ヴァンガードはコラージュ的な面白さですが、こちらはミニマリスティックな統一感です。
写真を拡大してみましょう。
「変革者の本棚」ですので、ジョブス氏関連の書籍がたくさん並んでいます。自分の部屋にもこうした「変革者の本棚」をつくると楽しいのではないでしょうか。変革者に該当するのはひとそれぞれです。自分の写真を並べて見ても面白いのではないでしょうか。
本棚のベースは「フナモコ」のラチスシリーズのブラウン系統にすると蔦屋書店ぽくなります。頑丈ですし大きいのに値段が2万円代ととにかく安いんですね。ハンズにも置いてます。いい感じのブラウンが2色のほか、ホワイト、ライトブラウン、サイズも豊富にありますので興味がある方はハンズに行って確認しましょう。ネットでも買えます。
【本棚】幅110×高さ180cm / リアルウォールナット
サインやLED照明はお金をかけないで自作すると楽しいでしょう。
これは「女性の生き方」のコーナーです。アロマグッズとあわせてディスプレイされています。通常の本棚の照明は外づけなんですが、女性コーナーは棚板にLEDのスポット照明を仕込んでいます。このきめの細やかさが蔦屋書店なんですね。
椅子やソファがそこらに置いてあり、おねむの方も見受けられました。まさに「お家のような居心地」なんです。蔦屋書店のコンセプトそのもののようなシーンです。
この空間をデザインしたのは代官山 蔦屋書店を手がけたクライン ダイサム アーキテクツ(KDa)。1991年に東京に設立されたマルチリンガルの設計事務所です。アストリッド・クライン氏とマーク・ダイサム氏が代表です。二人とも現在、新国立競技場にエントリーしている伊東豊雄氏の建築事務所の出身です。
公式サイト
そしてこの空間を構想したのがTUTAYAの創業者であるCCC代表 増田宗昭氏です。
増田宗昭の企画力に学ぶ
1983年、TSUTAYAの1号店である「蔦屋書店枚方店」からスタートして、代官山の蔦屋書店でスタイルとしての完成を見せました。梅田店には、増田宗昭氏のコーナーも「変革者の本棚」にあります。
けっこうあります。この本棚から三冊ほどみてみましょう。
この本は蔦屋書店の企画やメイキング的な内容です。
この本はファミマに置いてあったので買って読みました。創業時からのストーリーでありディレクTVの失敗から立ち直る話が印象に残りました。手書きの企画書の写真なんかものっていて臨場感があります。
最近の著作です。考え方としては現在進行形のものです。
最近のCCCは蔦屋図書館が武雄に続き海老名、小牧と炎上気味のようです。朝日にも「ずさんな選書」と書かれていますので、選書力強化が期待されるところではないでしょうか。
「ずさんな選書」のCCC 愛知・小牧市の住民投票で炎上? 〈週刊朝日〉|dot.ドット 朝日新聞出版
まとめ
持っている本を減らしたいと誰もが思うと思うんですが、蔦屋書店に行くと、ディスプレイや本の配置やまとめ方によって、一冊も捨てる必要がないことが分ります。それでも、絶対に読まない本はリサイクルに回して絶対量は減らすことは大事だと思います。
こうした本を中心にした空間は、蔦屋書店の他にもニューヨークなどのブックカフェにあります。こうしたブックカフェをめぐりながら、ミニマリストであっても本は捨てなくていいのではないかと思いました。
それではブックカフェや書店や図書館の事例も見てみましょう。
2.インテリアが参考になるブックカフェ&書店8選
キャッツクレイドル(早稲田)
出典:https://www.facebook.com/catscradle2007/photos_stream?ref=page_internal
早稲田にあるブックカフェです。本棚の縦仕切りをなくして仕上げをしていない水平の木板だけで本棚を構成しています。たくさんある本がひとつのまとまりとして感じられますのでミニマリスト好みの本棚ではないでしょうか。旅本中心。
公式ページ
気流舎(下北沢)
出典:http://www.kiryuusha.com/shop.html
下北沢のカウンターカルチャー専門古書店&カフェ。ウェブサイトは「カウンターカルチャーの思想を伝えるためにやっています」と書かれています。
公式サイト
店づくりの動画もあります。
BUNDAN(駒場)
駒場公園にある日本近代文学館の一角にある文学カフェ。ここのウェブサイトのトップページには最新の文学関係ニュースが面白くレイアウトされています。京都の一澤帆布に別注したトートバックや上の写真に写っている丸椅子やベンチも販売しています。
公式サイト
COW BOOKS 中目黒
出典:http://www.cowbooks.jp/newtop.html
元「暮しの手帖」編集長松浦弥太郎氏の古書店。ショップでも低い天井が意外と気持ちいいんだなということがわかります。現在はフロアに敷かれたアンティークのペルシャ絨毯でよりヒューマンスケールの空間になっています。
松浦氏によるカウブックスの説明。
松浦 弥太郎さん(『暮しの手帖』編集長・文筆家・書店店主)|神戸学校|フェリシモ
公式サイト
ペーパーバックカフェ (神保町)
老舗の事例。2012年、神保町の東京堂がブックカフェを併設。本を買ったらある程度読んで帰りたいのでこうしたカフェは便利です。色や形を統一していないインテリアです。ここは本棚というよりインテリアの参考ですね。というか神保町に行きましょう。
朝日のニュース。
老舗書店がカフェを始めたわけ――東京堂書店神田神保町店 - 本のニュース | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
東洋文庫ミュージアム
東洋文庫ミュージアムです。モリソン書庫の壁一面の蔵書が迫力あります。自宅をここまで改造するのは通常無理ですので、こうだったらいいなあという参考です。本は一冊も捨てれなくなるでしょう。おすすめスポットとしても良く紹介されています。
怒涛の24000冊!新デートスポット文京区「東洋文庫ミュージアム」 | 🚌✨ バスサガス blog
公式サイト
海外の事例も少し。
カフェ・ベネ(ニューヨーク)
カフェ・ベネのニューヨーク店です。ミニマリスト2.0のお手本のような空間です。韓国発のカフェですが本場ニューヨークでも人気のようなのでコンセプトがしっかりしているんでしょう。
韓国発コーヒーチェーン「カフェベネ」、人気に-タイムズスクエアに海外初出店 - ニューヨーク経済新聞
パリのブックカフェ
パリのブックカフェです。狭いスペースを有効活用しています。これもミニマリズムの空間です。
こうした本を中心にした空間づくりの究極と言えるのが、松丸本舗です。残念ながらなくなりました。松丸本舗はプライベート色の強い構成であり、本好きが本当に参考にすべき空間づくりだと思います。
3.ライブラリー界の至宝 松丸本舗
書棚を編集するとは、世界を編集することである
出典:「松岡正剛の書棚」
松丸本舗をつくったのが松岡正剛氏。内容、形式ともに最高峰の「本の空間」です。丸の内の丸善にありましたが、惜しまれつつ物質界からは消滅しました。
こんな棚、全国どこにもありません。それなのにクロージングするなんて。残念。 http://t.co/morFpJKM
— A Y A N A (@tw0lipswithfang) 2012, 9月 29
ツイートのリンク先の写真が感動です。ファンが本棚に思わず書きこんだんですね。
松岡編集術を駆使した横置き、組置き、重ね置きは他者の追随を許しませんでした。
どの本を生かし、どの本を殺すのか。畏れ多くも神の真似事をしてみよう。出典:「松岡正剛の書棚」
シーズン02のファサードです。球体関節人形「片足のマリア」。本と「赤い糸」でつながっています。*1
松岡氏のインタビュー記事です。
「松岡正剛の書棚」いい本です。これは持っていて損はない本です。この本を見ると自分は何も知らないんだなと思います。
記録本もあります。
松岡正剛氏の千夜千冊も続いています。
エクストリーム系ミニマリストはどうしても本を持ちたくない場合は「松岡正剛の書棚」と「千夜千冊」をマイ・ライブラリーとするのがおすすめです。古より2500年以上続く言われる本の世界には確かなガイドマップが「一冊一サイト」あればいいのだと思います。
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*1: 「片足のマリア」は清水真理氏作です。 公式サイト:清水真理 Mari Shimizu - 人形作家 清水真理 ~Mari Shimizu~