フィレンツェで見るべき絵画4選を紹介します。(前置きが長くなってしまったので、目次から本題にショートカットできます。)
目次
アジアに行くとB級グルメばかり食べていますが、イスタンブールを越えたあたりで、食べ物が口にあわなくなり、かわりに、ヨーロッパでは、絵を見たり、教会を見たりしています。
B級グルメは口を楽しませるものであり、絵画や教会は目や耳を楽しませるものです。情報を受け取る感覚器官の違いだけで、それらは同一線上にあります。
ヨーロッパで興味のある食べ物はほとんどなく、唯一あるのがスパゲティミートソースのオリジナルであるタリアッテレ・ア・ラグーです。
ジェラートなんかもおいしいんですが、タリアッテレ・ア・ラグーを食べる時以外は、ほとんど、絵や教会をただただ、だらしなく見ています。
ヨーロッパでは絵画や教会を見ている
教会があると、ふらふらーっと入って行って、一向に目的地につけなくなります。ヨーロッパは至るところに教会があるからです。
小さい教会がたくさんあるのならそれも理解できるんですが、何百年も何世代もかけてつくったような大聖堂の近くに、同じぐらいでかい教会があったりします。内部はだいたい似ています。しかし、その度にあーっという感動につつまれます。
クリスチャンでもないのに、なんでだろうと理由を考えてみますと、通っていた幼稚園がカトリック系の幼稚園であったことに思い至りました。
保母さんはすべて修道院のような恰好をしたシスターだけであり、そこでマリア様信仰をしっかりと植えつけられていたのです。
だからヨーロッパの食べ物に興味はなくても、キリスト教文化にまったく違和感はないのです。
仏教やマインドフルネスを相当深く研究しているので、インドに仏跡を訪ねて行っても、カルカッタでシスターが歩いているのを見るとふらふらーっとついて行ってしまい、マザー・テレサの家についてしまったことがあります。三つ子の魂百までというやつです。
このエントリーは、レオナルドの絵は完璧だという主旨なんですが、なかなか本題に辿りつかないですね。
まずは、ボッティチェリを語ろうと思います。
日本では雪州、ヨーロッパではボッティチェリとセザンヌが好きな画家です。
ボッティチェリの前に、フラ・アンジェリコの受胎告知を見てみましょう。どんどん脱線しますね。だが、これは個人的に考えるヨーロッパ文明の至高のラインだと思うんです。
後で補足するかもしれませんが、細かいうんちく抜きで絵を見てみましょう。
フィレンツェで見るべき絵画4選
フラ・アンジェリコ「受胎告知」(サン・マルコ美術館)
フラ・アンジェリコの受胎告知です。
大天使の虹色の羽と告知をそっと受けたときのマリア様の「えっ…」という表情が印象的です。静逸の極みです。
現在は、サン・マルコ修道院に美術館が併設されているかたちになっています。
この修道院をメディチ家が内部に図書館を併設させたりして改装したわけなんですが、ヨーロッパで最初の公共図書館となりました。
語り尽くせなくなるので、先に行きましょう。
フィリッポ・リッピ「聖母子と二天使」 (ウフィツィ美術館)
リッピの「聖母子と二天使」 です。
写真の色が悪いですが、実物はもっと濃厚な色です。リッピは女の人が大好きでわりと奔放なところがあったと言われていますが、このマリア様は実際の人物をモデルにしていると言われています。
構図を見ても、レオナルドはリッピの絵画から影響を受けていると思われます。
見どころは、天使です。
幼な子キリストはものすごく重いんですね。すべての人間の原罪や業を背負っているため地球よりも重いと言われています。
天使二人だとわりと軽くかつげるんですね。
幼な子キリストをかついだらメチャクチャ重かったというテーマはかなり人気だったようで、ヒエロニムス・ボス が「聖クリストフォロス」で描いています。
聖クリストフォロスはものすごい力持ちなんですが、杖をついて腰がひんまがるほど幼な子が重いんですね。
ブリューゲルの「バベル展」が日本に着た時に、この絵も一緒にきました。
聖クリストフォロスも旅の神様として人気があります。
リッピが描いた天使が笑っているのは、幼な子が重いことと関係あるのかもしれませんね。天使は軽々とかついでますので。(天使がいかにパワーがあるかということになります。)
で、ボッティチェリなんですが、このリッピの絵画のテーマと構図を若い頃、自分でも描いています。
ボッティチェリ「聖母子と二天使」 (捨て子養育院美術館)
構図は先生であるリッピと同じですが、ボッティチェリは、明らかに、天使にかなり力を入れて描いています。
この天使の表情や目線がなんとも現代的なんですね。遠くから見ても、あっ、ボッティチェリだとわかります。
ボッティチェリのこうした表現がメディチ家の好みにはまったのか、庇護を受けギリシア神話の神々を描くようになります。ルネサンスですね。
ボッティチェリの代表作の「プリマヴェーラ」です。
ボッティチェリはギリシアの方向に行ってしまうのですが、レオナルド・ダ・ヴィンチはキリスト教のテーマに踏みとどまります。
最後はフィレンツェで絶対に見るべき絵画になります。
レオナルド・ダ・ヴィンチ「受胎告知」(ウフィツィ美術館)
レオナルドの受胎告知です。
レオナルドの描くマリア様は大天使ガブリエルに告知されるまでもなくすでに受胎を知っているかのようです。
大天使も役目なので一応告知に来るのですが、マリア様の威光の力が大天使には強すぎるようにも見えます。
威光の強さを大天使の右手と羽の呼応で表現しています。大天使ガブリエルとしての立場もあるので、左手は力を抜いてます。ほんとは大天使のパワーは幼な子キリストをかつげるほどあるんですね。
しかし、マリア様の威光が強すぎて画面の左側が水平に歪みながら流れるような感じなんです。大天使が近づけないぐらい圧倒されています。
完璧だ。
そんなに絵に詳しいわけではないんですが、レオナルドの絵を見ますと、完璧という言葉しか浮かばないんですね。
これを見ているヨーロッパの人たちも、パーフェクトだと口々につぶやいていました。
ヨーロッパのおじさんやおばさんばかりではなく、子どもまでが、この絵はパーフェクトだと言ってるように聞こえました。
レオナルドが若いときの作品なんですが、レオナルドの受胎告知に誰もがパーフェクトだと言ってるように聞こえたんですね。
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