ハーイ、FMハンコク。
今日は、先日NHKで放送された「判事マツケン」に注目してみるよ。じゃあ、番組の内容を簡単に振り返ってみるね。
歴史に名を残す“天才”たちは、どんな人生を送り、どのようにして偉大な思想を生み出したのか? 天才の「破天荒な人生」を辿ることで、現代の閉塞感を打ち破るためのヒントを探る、異色の法廷ドラマ!
ザ・プレミアム 判事マツケン ~一刀両断!?天才たちの“破天荒人生”~ - NHK
デカルト、ルソー、ニーチェが騒乱罪として告発され、裁判のなかでおもしろおかしく真相を追究し、マツケン判事がサンバを踊りながら一刀両断するっていう内容だね。
「判事マツケン」のスベリ具合いを検証する
まずは番組のスベリ具合から。見てるうちにメラメラと対抗心が湧きあがってきたね。アサタロウもスベリのプロだからね。いかに離れ技的にスベルかを絶えず研究しているよ。スベリっていうのはエクストリームスポーツの感覚に近いかな。Xコンテンツだね。
この番組、アサタロウから見ると見事なスベリなんだけども、ちょっと心配なのは、NHKが気にするような視聴者層からするとユーモアーだったかもしれないんだ。自分たちが良く見ている番組のパロディーを発見して、膝をたたいて大喜びしたんじゃないかな。かなり視聴者層を絞ってきてなーって思ったよ。すでに格差社会の視聴者層を想定してるんだね。
見どころはニーチェ。アサタロウが一番びっくりしたのは、ニーチェのアフォリズムを紹介した部分だね。これが特筆すべきことかなあなんて思うよ。ちょっと見てみましょうか。
番組のニーチェの表現はどうなんだ
まず、最初のタイトルバック。「超麻薬 ニーチェの言葉」。「超訳 ニーチェの言葉」のパロディーだね。
力への意志
超人目指して立ち上がれ
人生を危険にさらせ
一切の道徳は弱者のねつ造だ
真理といえるものはない
事実など存在しないただ解釈だけがある
勧めるのは官能の無邪気さだ
愛それは人が欲情することさえ許す
超人:日本ボディビル・フィットネス連盟
ボディビルの決めポーズとともに次々とニーチェの言葉が繰り出されるんですね。個人的には好きですね。釘づけになりました。ニーチェの超人が力強いものだということは伝わってきました。
つづいてバレエ編
さすらう 生きる
超人が生まれることを願う
意志もまたそこにある
バレエ:井澤駿 振付:日原永美子
すごいバレエダンサーなんでびっくり。ニーチェの悲劇性が表現されている。満点。超人とは絶えず自らを超えていこうとする在り方のことだから、バレエの方が「永劫回帰」的な「運命愛」を表現しているかもしれませんね。
岡本太郎はかく語りき ザ・永劫回帰。
ニーチェの思想って難解ですよね。ニーチェが『ツァラストラはかく語りき』で言うには、超人の精神は重荷に耐える「ラクダ」から、義務を否定する「ライオン」に転生し、自由を獲得した最終形の「チャイルド」が新しい価値を創造するというんだ。
番組では触れていなかったけども、ニーチェの最大思想「永劫回帰」は外せなかったんじゃないかな。
この同じ生、同一の生へ、最大のことにおいても最小のことにおいても同一の生へ、わたしは永遠に回帰するのだ。『ツァラストラはかく語りき』
ニーチェを学んだ 岡本太郎が「永劫回帰」についてこう言ってるよ。「永劫」という言葉も「回帰」という言葉もそんなものは相対的な説明表現すぎず、瞬間がすべてなんだと。瞬間瞬間に全生命をスパークさせるしかなく、ニーチェが永劫回帰という言葉で言いたいのはこの絶対的瞬間のことなんだと。
絶望的な人間の運命を神の手に委ねるのではなく、人間の手に運命を激烈に取り戻してるような感じがしますよね。ニーチェは過去の哲学者なんかじゃなくて、現代になまなましく問題をつきつけているんだね。
音楽家で超人っていったら誰だろう? たくさんいるけど真っ先に思い浮かんだのはフレディ・マーキュリーだね。クイーンで「ボヘミアン・ラプソディー」。人類必聴の一曲。
Bohemian Rhapsody by Queen FULL HD - YouTube
(意識高い系の一條君登場)
超人と意識高い系の相関関係は?
DJ:どう?一條くん。いきなりなんだけども「超人」と「意識高い系」の相関関係ってあるのかな?
一條:なんでもかんでもひっつけないほうが。「我欲」を優先し、高みを目指すという点では共通してますね。
DJ:いいね! 厳しい格差社会をあら巻きジャケのように超えていこうというわけだ。ニーチェは「畜群」なんて言い方をしてるよね。これは現代の「社畜」と一緒なのかなあ?
一條:社畜の方がより悪い感じですね。だけど実際は現実に流されて社畜なっちゃうんだろな。
DJ:なにいってんの! じゃあ、面接会場に「ツァラトゥストラ」を持参してアフォリズムを大声で語ってみようよ。 さあ、一緒に! 超人!超人!超人! 超人は高みを目指す! 超人!超人!超人!
一條:哲学と自己啓発を一緒にしちゃだめですよ。
DJ:そういう本もあったよね。
一條:でも「判事マツケン」の続編は見てみたいですね。
DJ:続編あるある?
お送りしたのはDJアサタロウ。
まあ、いいってことよ。
ニーチェ著作
ツァラトゥストラはこう言った 上 (岩波文庫 青 639-2)
- 作者: ニーチェ,Friedrich Nietzsche,氷上英廣
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1967/04/16
- メディア: 文庫
- 購入: 19人 クリック: 166回
- この商品を含むブログ (155件) を見る
ツァラトゥストラはこう言った 下 (岩波文庫 青639-3)
- 作者: ニーチェ,Friedrich Nietzsche,氷上英廣
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1970/05/16
- メディア: 文庫
- 購入: 13人 クリック: 39回
- この商品を含むブログ (60件) を見る
内容が理解できるかに関わらず本棚に並べておきたい一冊。
ニーチェ関連書物
比較的わかりやすいとされる入門書。
ニーチェ (FOR BEGINNERSシリーズ イラスト版オリジナル 47)
- 作者: 竹田青嗣,田島董美
- 出版社/メーカー: 現代書館
- 発売日: 1988/06
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
ニーチェ入門と同じ作者の書物。永劫回帰の解釈がいろいろあっておもしろい。
- 作者: 白取春彦
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2010/01/12
- メディア: ペーパーバック
- 購入: 26人 クリック: 557回
- この商品を含むブログ (167件) を見る
哲学と自己啓発の一体化。ベストセラーになった賛否両論ある本。 意見としては「否」が多い。帯の言葉もかっこいいけどね。