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Googleのマインドフルネス実践法を理解する本8選 / サーチ・インサイド・ユアセルフ による能力開発

今年は、鎌倉でZEN2.0が開催されるなど、禅やマインドフルネスへの関心が高まっています。世界的なマインドフルネスへの関心の高まりに大きな影響を与えたのが、グーグルのマインドフルネスプログラムです。

そのグーグルのマインドフルネスに根差した能力開発メソッドが「サーチ・インサイド・ユアセルフ」です。

 このエントリーでは、「サーチ・インサイド・ユアセルフ」を理解し、Googleのマインドフルネス実践法が分かる本を8冊紹介しようと思います。

目次

 

サーチ・インサイド・ユアセルフとは

サーチ・インサイド・ユアセルフとは、マインドフルネスを実践するグーグル独自の研修プログラム。米国SIYLI(Search Inside Yourself Leadership Institute)のウェブサイトでの説明がシンプルで分かりやすいです。

Search Inside Yourself Leadership Institute-1

Search Inside Yourself Leadership Institute-1

出典:SIYLI | Mindfulness Training for Organizations & Individuals

(サーチ・インサイド・ユアセルフは、人々が彼等と彼等以外の人々のために世界をより良くクリエイトできるような、集中、気づき、レジリエンス(精神的回復力)の方法を指導するプログラムです。

サーチ・インサイド・ユアセルフは、神経科学やマインドフルネス、EQ(心の知能指数)を基礎に持ち、世界の100都市以上で、数千人の生活を変革してきました。)

 Search Inside Yourself Leadership Institute

SIYLI | Mindfulness Training for Organizations & Individuals

 

Googleのマインドフルネス実践法を理解する本8選

では、グーグルで最初にマインドフルネスをディレクションしたチャディー・メン・タン氏の著作からみてみましょう。

 

1.サーチ・インサイド・ユアセルフ ― 仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法

 

サーチ・インサイド・ユアセルフを理解する最も基本となる本です。サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)の方法や理念、背景が詳しく説明されています。著者は、SIYの開発者チャディー・メン・タン氏です。

Chade-Meng Tan

 出典:Chade Meng-Tan (Meng) cropped | AnubhutiRetreatCenter | Flickr

 現在は、グーグルのグッドフェローであり、米国SIYLI(Search Inside Yourself Leadership Institutes)の会長です。グーグルでは「陽気な善人」と呼ばれているそうです。 

 

SIYの中でおすすめのメソッドが「シベリア北鉄道(SBNRRワーク)」です。

SBNRRワーク

シベリア北鉄道は、Stop(停止する)、Breathe(呼吸する)、 Notice(気づく)、Reflect(よく考える)、 Respond(レスポンドする)の頭文字をつなげて、SBNRR(SiBerianNorthRailRoad)として、メソッドの一連の流れを覚えやすくしたものです。

ついカッと怒ってしまう時や落ち着きたい時などにかなり役立ちます。即座のアクションをレスポンドに変換する術ですね。

Noticeの段階から、対象を手放し(Letting go)すると解脱の方向になりますが、SIYは社会をよくするための能力開発メソッドですので、よく考えてレスポンスする方向に進みます。微妙な心の動きの一連の流れを客観視して正しい反応に導くんですね。

 

  本書は、サーチ・インサイド・ユアセルフを理解する基本書としておさえておきたい1冊です。

 

 2.グーグルのマインドフルネス革命―グーグル社員5万人の「10人に1人」が実践する最先端のプラクティス

チャディー・メン・タン氏とともに、現在、グーグルでマインドフルネスプログラムを実際に指導しているのがビル・ドウェイン氏。

グーグル人材開発部門のビル・ドウェイン氏の考えが詳しく書かれていますのが、「グーグルのマインドフルネス革命」です。

ビル・ドウェイン 氏Bill Duane

 出典:Bill Duane

内容的には、ビル・ドウェイン氏のインタビューをベースにしています。宗教色は排除し、瞑想の能力開発効果にプライオリティーが置かれています。

グーグル社内にはたくさんの瞑想室があり、実際のセッションでは、誰でも参加できるように仏教用語は使われないようです。実践面では、コンパッション(慈悲の心)が説かれるなど仏教のニュアンスは残っているように感じます。

 全体は2部構成になっており、1部は現代社会におけるマインドフルネスの効果や背景の紹介。2部はマインドフルネス実践方法の説明であり、付属CDと連動した内容になっています。

 ビル・ドウェイン氏のウェブサイト

Bill Duane

 ビル・ドウェイン氏の動画もあります。グーグル社員が受けているマインドフルネス指導の感じが分かります。

 

 グーグルの瞑想室でも使われている瞑想用アプリ「Headspace」(英語)についても紹介しています。 

Headspace: Guided Meditation & Mindfulness - Google Play の Android アプリ

 10日間後に購入できる瞑想プログラムです。英語ですが他にもたくさんの瞑想アプリがあります。

  

以上の2冊でグーグルのサーチ・インサイド・ユアセルフとマインドフルネス革命の概略は理解できると思います。

 

3.マンガでわかるグーグルのマインドフルネス革命

「グーグルのマインドフルネス革命」の漫画版です。グーグルのマインドフルネスを漫画で分かりやすく説明しています。説明+漫画という構成になっていて、重要となる「ジャーナリング」や「思いやりの瞑想」、「アンガーマネジメント」、「ジャストライクミー」にポイントに置いて、その部分が漫画になっています。

 

4.EQ-こころの知能指数

「サーチ・インサイド・ユアセルフ」の序文を「EQ-こころの知能指数」の著者ダニエル・ゴールマン氏が書いていますように、サーチ・インサイド・ユアセルフは成り立ちからEQと密接な関係があります。EQを高めることが特に重視されるわけです。

出版時はかなりの話題となりましたが、マインドフルネスとの関係でもう一度、読み返してみたい一冊です。

  

5.シリコンバレー式 頭と心を整えるレッスン 人生が豊かになるマインドフルライフ

スキルやノウハウを身に付けても、うまく成果を上げられない私たち。スキルやノウハウは、パソコンのアプリと同じ。いま私たちに必要なのは新しいアプリより、頭と心の「OS」のアップデート。マインドフルネスを実践することで、頭と心のOSがバージョンアップされ、自分を最適に整えることができる。

シリコンバレーでのマインドフルネスの展開や背景をSIY認定者である著者が、分かりやすく解説した本。より広い範囲からマインドフルネスを理解したい人向けのマインドフルネス入門書。

 

サーチ・インサイド・ユアセルフは、宗教性を排除したメソッドですが、仏教の影響を少なからず受けています。実際に、2011年、ティク・ナット・ハン師がグーグルに招聘され、講演や瞑想の実践的指導を行っています。

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出典:Thich Nhat Hanh Meditates with His Calligraphy as a Backdr… | Flickr

ティク・ナット・ハン師は、エンゲイジド・ブッディズム(行動する仏教)を提唱したベトナム出身の高僧で、現在は南フランスのプラム・ヴィレッジで活動されています。

 

ティク・ナット・ハン師の瞑想3部作

 ティク・ナット・ハン師が瞑想について書かれた3冊です。瞑想についてのバイブル的書物であり、手元に置いて内容が理解できても理解できなくても少しずつ読むような感じですね。一生かけて理解するぐらいの感じでもいいのではないかと思います。

キンドルで買うことが増えてきましたが、こうした本は書籍で購入しています。(

この本については、キンドル版はありません。)

 

6.ブッダの〈気づき〉の瞑想

瞑想の基本となる経典サティパッターナ・スッタ(四念処経)の現代語訳です。四念処とは、「身体、感覚、心、心の対象」に気づくことです。四念処経を実践することで解脱します。ブッダが説かれたいわゆる悟りに至る方法です。

最初に読むのであれば、次の「呼吸の瞑想」から入った方が分かりやすいと思います。

  

7.ブッダの〈呼吸〉の瞑想

この3冊の中から1冊選べと言われましたら、この「呼吸の瞑想」です。呼吸の瞑想により、物事が絶えず変化していることが見えてきます。正確には呼吸するごとに物事が変化しているのが見えてきます。呼吸に意識することで事実が見えてくるんですね。

「ブッダは、私たちに呼吸するということと、その呼吸を深く味わうことを忘れないように教えています。この経典は瞑想に不可欠な基礎であり、もっとも優れた教えです。」──ティク・ナット・ハン

 

8.ブッダの〈今を生きる〉瞑想

この3冊についてのティク・ナット・ハン氏のコメントです。

「本書で取り上げた三つの経典は、「四種の〈気づき〉を確立する経典」「呼吸による完全な〈気づき〉の経典」(『ブッダの〈気づき〉の瞑想』『ブッダの〈呼吸〉の瞑想』野草社刊所収)と並んで、私たちすべてにとっての基本になるものです。つねに手もとに置いて、読み込むようにしてください。これらの経典は、ブッダが直接説いた言葉であり、目覚めた生き方の真髄を照らし出す光です。これらの教えによって、今この瞬間に存在するすべてのものの本質が見えてくるはずです。」──ティク・ナット・ハン

 

 *

サーチ・インサイド・ユアセルフは、科学的メソッドをベースに持ちながら、ひじょうに深い瞑想法のオリジンもルーツに持っていることが理解できます。

 

 

 

サーチ・インサイド・ユアセルフ関連情報 

チャディー・メン・タン氏のインタビュー

インタビューの中で、チャディー・メン・タン氏は、日本と日本人についてもコメントを寄せています。日本人が、サーチ・インサイド・ユアセルフを学ぶ意味をも示唆しています。

アジア全般にも言えますが、日本は特に禅がずっと前から花開いていました。そして、世界的に見ても素晴らしい禅のマスターがいまだに多くいるのも日本です。よりピュアなダルマ(仏教の教義)が日本にはあるのに、それに気づかず使われていない。日本の皆さんには、SIYやマインドフルネスが注目されたことをきっかけにピュアな禅やマインドフルネスの本質を再びどんどん汲み上げて、実践し役立ててもらいたい、と思っています。

出典:第一人者チャディー・メン・タンが語る グーグルが本気でマインドフルネスに取り組む理由

 

マインドフルネスの効果

マインドフルネス効果の原理は、人間の心というのは無明*1から生じる渇愛(タンハー)という根源的な欠如感・飢餓感によって駆動する仕組みであるため、いま、ここへの気づきに集中することで心を満たし(マインドフルネス、「吾、唯、足ることを知る」)、外界への情動的反応を制御するように見えます。
情動的反応は怒りであったり、破壊的な行動であったりします。情動的反応をおさえることで思いやりや他者に対する洞察や共感が生まれ、人間関係でも良い結果をもたらします。理性的、冷静な反応となりますのでビジネス面へも良い結果をもたらします。

 

マインドフルネスの方法

マインドフルネスは心を満たす方法ということになりますので、坐禅も含めた瞑想全般ということになります。サーチ・インサイド・ユアセルフで紹介されている瞑想方法には、椅子禅に近い方法もあります。グーグルの瞑想室は坐禅形式ですが、マインドフルネスは、あらゆる場面、行動で実践されるのが目標とされます。

 

日本で学べるサーチ・インサイド・ユアセルフ

日本でもSIYの実践的なプログラムが学べます。

マインドフルリーダーシップインスティチュート

MiLi | 一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート

 

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*1:無明とは、無常、苦、非我を知らないことであり、無常、苦、非我を知ることが悟りです。