台北には50ミリをつけたライカを持ってきた。
香港では丁度いい画角が台北では狭すぎる。43ミリをつけたペンタックスを持ってくれば良かったと思うも後の祭り。
台北に一週間近くいたのだけれども、シャッターをきったのは20回にも満たない。台北は18年ぶりなので、街を見るのに気をとられたということはある。
台北の路地を歩いて路面の店を見た。建物は無機的、食物は有機的と言うけれど、台湾ではその境界がナチュラルだ。
台湾に行く場合は石垣島から台南で船で行くというのがお決まりのルートで、台北は帰りの飛行機に乗るために寄るぐらいのイメージだった。それでも20年前の台北は、日本語を話せる人たちがたくさんいて、お互いに恥ずかしくなるぐらい親日的だった。
それに甘えたわけではないのだが、この20年台北に行くことはなかった。その後ろめたさもあり、5月の初めに台北の路地を少し丁寧に歩いてみた。
顔をほころばすように輝かせて日本語を話すおじいさんに会うことはできなかった。たくさんいたはずなんだけど、もう天国に旅立ってしまったのだろう。
赤峰街
赤峰街は台湾の若者のトレンディーなスポットということらしい。古い通りにポツポツとカフェやショップが集まってきている。
この界隈を歩いているとうまそうな麺屋さんを発見した。店に雰囲気がある。
店先で注文して、中で食べる意思を伝えるようだ。
煮玉子と肉はトッピングのようなので、指さしでトッピングしてと伝えると、おばちゃんが「ニク、タマゴ?」と確認してくれるので助かった。肉と煮玉子を入れて160円ぐらい。
出てきたのは日本人好みのあっさりした味のラーメン。後で調べると陽春麺というらしい。煮玉子はあひるの卵。観光客は少なかったけど有名な店のようだ。完全地元向けの店。店の名前は阿田麺。
阿田麺についての記事
阿田麺 (陽春麺、油麺など) - 台湾で食べまくり peko
赤峰街の終りというか入口の方。ここから、かなり距離はあるけれど、有名店の豆乳と揚げパンを食べに行くのだ。ガイドブックを見て気になっていた。揚げパンをパンではさんだパンの味が想像できなかったからだ。
阜杭豆漿(フーハン・ドゥジャン)。店はフードコードのような場所だ。台湾のロコや香港、中国からのツーリストで盛り上がっている。味を極めるとここになるのかも知れないが、たぶん日本人ではそこまで判別できないだろう。日本人にはもう少しベタな店の方がいいかもしれない。
これだ。豆乳は確かにコクがある。日本でも毎日、紀文(キッコーマン)の調整豆乳を飲んでいるのでわかる。当然ではあるが余計な香料も何も入っていない。少し甘みがある。
右がお目当ての揚げパンを挟んだパン。これがどうしても想像がつかなかったので食べてみたかったのだ。
食べてみた。さっぱりわからない。
向かいの女子高生の3人連れがたいせつな物を扱うようにおいしそうに食べている。B級グルメでも食べ物は慈しむように食べなくてはいけない。
再び豆乳に浸して食べてみる。うーん、分らない。豆乳の甘さや揚げパンの塩かげんなど、味つけはかなりレベルは高いんだろう。
この味が分らないのか!とまわりから叱咤が聞こえてきそうだ。
他にもいろいろメニューがあって、日本語が通じないのであらかじめ食べたいものをメモして行くといいでしょう。
雰囲気よりも味を追求する上級者向けの店ですね。
1階に人が集まっている滷味(煮込み料理)屋さんがあって、ここは気になった。
手とか舌とかホルモンとかいろいろ。台湾の本当のソウルフードですね。沖縄の煮つけを思いだす。
迪化街
迪化街は19世紀中頃からの問屋街で、観光客が多く訪れる場所。漢方薬や乾物がたくさん売っている。そうした匂いで満たされていてけっこういい気に満たされている。
レトロなビルをリノベした若者向けのショップやカフェもちらほらとある。
コーヒーには、聞香杯がついてくる。はじめに聞香杯に注いでコーヒーの香りを嗅ぐわけだ。スペシャルティーコーヒーにはかなりうるさいのだが、遜色のないレベルだった。台湾はお茶の文化が発達しているのでコーヒーの味覚にもたけているということらしい。
それよりも台湾のカフェがなごめるという利点の方が大きい。猫空という鉄観音茶の観光スポットでお茶をしたがかなりなごんだ。台湾でお茶をするとなごめるというのは大きな発見だった。
コーヒーを飲みながら、ガイドブックに目を通す。少し先に、杏仁豆腐のうまい店があると書いてある。行って見た。
夏樹甜品の杏仁豆腐。 うまい! うますぎる。
素朴な杏仁豆腐!台北迪化街「夏樹甜品」トラベルjp<たびねす>
夏樹甜品[SummerTree Sweet] | 台湾グルメ・レストラン-台北ナビ
迪化街では、どのガイドブックにも載っている超有名な麺も食べたい。
それがこの店。民楽旗魚米粉湯。日本人旅行者がけっこう多い。マストなのかもしれない。
米粉湯。右は豚のから揚げ。米粉湯はカジキのだし。地元のおばちゃんもおいしそうに飲んでいた。関西で言うところの「あんさんにこのダシがわかるんか」の世界。
テーブルに置いてあった豆板醤を少し入れると味がひきしまったように感じた。邪道なのかも知れない。 から揚げにも豆板醤をつけた。
迪化街で特筆すべきは豚まんである。迪化街に入る角で売っている豚まんが次元違いにおいしい。これは掛け値なしにおいしい。
左が肉まん。右は四神湯。漢方とホルモンのスープですね。これもおいしい。
これよりおいしい豚まんはないんじゃないかと思う。味の系統は井村屋とか中村屋の肉まん。 台北で肉まんめぐりをしたかったのだけれども、一軒目で終ってしまった。
台湾人が絶賛する肉まん / 妙口四神湯 | 世界を旅するガイド Photrip フォトリップ
肉まんが美味しい台湾の名店20選 - Find Travel
迪化街まとめ
スイカジュースをたくさん飲んだ
B級グルメばかり食べてやばいんじゃないかと思うことだろう。
アルカリ性を補うために、スイカジュースを頻繁に飲んだ。台湾の下町はどこでも新鮮なフルーツジュースが飲めるのでありがたい。
雙連駅の近くにあるおばあさん二人がやっているジュース屋さんで毎日買った。この日本人はまたスイカ(シーグワ)ジュースを飲むのかと思ったことだろう。
通い出して、三日目ぐらいに、おばあさんから西瓜(シーグワ)を正確に発音できるように強制された。それは意外と難しいことだった。
スイカジュースをホテルに持ち帰り、冷蔵庫に入れて好きな時に飲んだ。
時々、夜市にも出掛けた。夜市ではあっさりしたものを食べた。
これは、なつめと白きくらげの冷シロップ。ヘルシーなスイーツ。
こんな店。お客さんはいなかったが、僕がうまそうに食べていると次々と客がきた。
仙草ゼリー。これは漢方系スイーツ。
こんな店。ここも客がいなかったが、僕がうまそうに食べていると次々と客がきた。たまたまだったかも知れない。実際どちらの店もうまかった。
台湾の場合、本当はガイドブックはいらない。
アルコールはあまり飲まなかった。ビールを3本ぐらい。香港と違ってかなりヘルシーだった。体重も減ったような気がする。
ときどき台北は京都に似ていると思った。
あるいは台北は祖父母が亡くなった後にふと訪れた町や田舎のように感じる。
また台湾に行こうと思う。
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