ジャングルファティーグについて、個人的に関心があるテーマについて書いた考察集です。
ジャングルファティーグは、かなり高騰していましたが、最近は、かなり落ち着いてきた感じもするので、狙っていた方は、そろそろチェックしていってもいいのではないかと思います。(2023年6月時点)
目次
ジャングルファティーグの色落ち
ジャングルファティーグはスレン染料による染めなので、ジーンズと同じで、色落ちして、いい具合にエイジングする。
ダブルエックスでものっぺり色落ちした個体があるように、ファティーグにものっぺりした色落ちがある。
ファティーグには、M42エアボーン(ジャンプジャケット)というベースはあるが、デザインとしてはスペシャルなので、エイジングを排除したのっぺりも好まれるのかもしれない。
ジャングルファティーグ ジャケットのサイズ感
(身長170㎝程度、体重70㎏程度が着た場合のサイズ感)
ファーストは、デニムジャケットの上からハーフコートのように着るので、M-Rを買っている。
ファティーグはファーストだと思うが、たまに艶ボタン付きサードがあって、そのS-Rのプロポーションが絶妙というか、真夜中に見ていて、くそーっ! と叫ぶぐらいカッコいいのは否定できない。
S-Sは、お尻が少し出てしまうので、個人的な体型ではファニーな感じになるが、わりと気に入っている。
ノンリップとリップストップでは、袖の太さが違うので、リップストップだと、正統的なS-Rでない方が着た感じは面白いかもしれない。
リップストップは、ノンリップのファーストと比べると新しい感じがするが、それでも60年代なので、着こまれた個体を着ていると、強烈なヴィンテージ感を感じる時がある。
ショート丈を着る場合は、S-Sだと裄丈が足りないので、身幅もあるM-Sの方がいいかなと思ったが、シルエット的に、M-Sが好まれる理由もよく分かる。
下ポケットがベルトの下にくるオリジナルの着丈設定を意識したわけではないが、個人的には、ファースト以外はS-Rを標準にして、春夏はS-Sという感じ。
パルミラ通りからゲート通りに移転したが、コザのヒストリート(戦後文化資料展示館)に、今でもサードパターンのS-Sが展示してあって、ミリタリーの中でも特にTPOが必要な服だと感じる。
M-65パーカとジャングルファティーグはミリタリーでありながら、将来的に501のような定番になる可能性もあると思うが、審美眼が鍛えられた人間が増えていたということなのかもしれない。
ジャングルファティーグパンツ
最近、街中でM-65パンツの実物を履いている人をよく見かけて、驚いた。
M-65パンツはオールコットンでないが、製品としての完成度の高さや立体的なシルエットから、エイジング云々を突き抜けていることに気づいたのかもしれない。
夏はM-65のレーヨンモデルを例年履いているが、今年は街中でM-65を見て感動してしまったので、ジャングルファティーグのパンツを履いている。
ファティーグパンツは、ワンサイズあげてMedium Shortにしているが、それでも、M-65より細いので、シルエット的にはジーンズやチノパンに近いと考えている。
これも、製造会社や年代によって、ディテールやシルエットが違い、1967会計ぐらいまでの細目の個体は、ウエストとレングスをジャストで履くと、501に匹敵するようなシルエットになる。
パンツとしては生地は薄く、貴重な割には、真夏に適しているということがあり、日常的に履かれてしまうので、ゴールデンサイズの残存数は年々少なくなっている。
生地的には、ノンリップかリップストップがあるが、ノンリップを履いて破くとショックなので、リップストップを履いている。
ディテール的に、ボタンフライかジッパーか、アウトシームとインシームが巻き縫いかインターロックぐらいを見ている。
ジャケットの方は、それほどダメージを受けないのと、丁寧に着られる傾向があるので、これからも残ると思う。
サープラスは、昔からセットアップにならないように買ってきたが、ファティーグは、結果的にセットアップで持つことになってしまった。
日常的に着ることはないが、ピーチスキンにエイジングしたセットアップのカッコよさは、別次元なので、誘惑に負けてしまったということがある。
M-65パンツは、こちらの記事で紹介しています。
ジャングルファティーグと映画
地獄の黙示録(1979)
地獄の黙示録(1979)のラストシーンで、カーツ大佐のファティーグジャケットが、1~2秒ほどチラッと映るが、茶艶ボタンのファーストだった。
キルゴア中佐は、ガスフラップ付きの移行期サードで、テンガロハットや首元にスカーフを巻いているので、ガスフラップとリンクして、ノーマルのサードパターンより雰囲気が出たのかもしれない。
ウイラード大尉は、肩のステッチが巻縫い(製造会社ごとかもしれない)ではないので、3rdの後期以降になるが、登場人物によって、かなり細かいところまで、役柄にあわせたファティーグの時代設定を考えていて驚いた。(エンドロールのクレジットも、カーツ大佐、キルゴア中佐、ウイラード大尉の役者の順)
プラトーン(1986)
地獄の黙示録にセカンドは登場しないが、プラトーン(1986)では、映画の中でセカンドに象徴的な意味を持たせている。
古参のエリアス軍曹は、ジャングルで走りやすいように、セカンドの上ポケット2つのフラップを切り取り、ジッパーをつけて改造して着ている。
最初はサードを着ていたクリス・テイラーは、ラストシーンで、エリアス軍曹をイメージしたのか、エポレットをサードにつけて登場する。
なぜ、セカンドではなく、カスタマイズしたサードパターンなのかというと、後ろから見た時に、バックヨークがあるからで、この映画でもおそろしい程に細かく、ジャングルファティーグを使い分けている。
テイラーがサードにエポレットを取り付けた時点で、(テイラーとウイラードの役者が親子ということもあり)、結末が何となく分かってしまうのだが、最後のテイラーの独白が理解しやすい演出になっている。
と、思いこんでひとり感動していたら、実際には、バックヨーク付きのセカンドはあるので、テイラーはエリアス軍曹の予備のセカンドか、セカンドを探し出して着たという設定だと思う。
これらの映画を見てしまうと、アメリカの映画製作者によるジャングルファティーグに対する異常なまでの理解とこだわりがあって、難しい服だと感じたことがある。
ただ、このジャンルの映画としては、観た後に嫌悪感で一杯になるフルメタルジャケット(1987)が優れているのだろう。
80年代初頭、リーバイスの古着は一部の日本人以外には価値がなかったようなので、アメリカ人は自分たちがつくる物の価値にうといのではないかと、意味不明にやきもきしていだが、2つの映画を見て疑念は完全に払拭された。
プライベートライアン(1998)の公開後、M42エアボーンに注目が集まったことからも、いずれ、彼らが自分達のつくるプロダクトを正当に評価するのは明らかだったと思う。
ミリタリーから転用された日常品は多いが、この服は、2023年になっても、まだ、そのまんまという感じがする。