(前半からの続き)
桜島に渡る前に、仙巌園という島津家の別邸に寄っていた。仙巌園には薩摩切子のショップがあり、そこで切子のお猪口を買いたかったのだ。現在はバカラのタリランド(ショットグラス)をお猪口として使っているが違うものも使ってみたくなったのである。
目次
仙巌園:薩摩切子を買いに行った
仙巌園は天文館からバスで15分ぐらいの所で桜島の見える湾に面している。薩摩切子を買いに行ったのであるが、ここの景色が思いのほか良かった。今回、鹿児島に行ってみて一番良かった観光地かもしれない。
桜島。晴れたー
島津家の別邸だけあって桜島が良く見える。晴れたーと書いているのは、晴れた日に行った方が価値があるということである。
電車がー
湾沿いには電車が走っていた。熊本や宮崎方面に行ける。
茶室越しの桜島。民家と桜島のメタファー
この別邸では桜島の見え方をいろいろ工夫している。
曲水の庭から。桜島の見え方をいろいろと変えている
庭からの桜島。
水力発電用ダム跡。モダニズムのディテールと江戸と桜島が共存する不思議な島津家別邸
この仙巌園の面白いところは、近代のディテールと江戸の庭造りが融合しているラピュタ的な世界観である。併設して島津家の博物館や他の見どころもあるので、一日あててもいいぐらいである。
水神。土着的な神は日本人の歳時記と別れがたく結びついていた
また、土着的な信仰のしつらえもたくさんあって見逃せない。
当主たちが好んで歩いた温帯と亜熱帯の植物が自生する裏庭
裏庭には亜熱帯植物が。島津家のセンスはおおいに共感できる。
行った時には冬牡丹の庭もきれいだった。
冬牡丹は温度調整して早く咲かせもの。島津家初代が近衛家から牡丹紋を賜ったことから牡丹は島津家にゆかりの深い花となっている。まあ、これがきれいなんですわ。
わらがこいで寒さから冬牡丹を守る。
名物の両棒(ぢゃんぼ)餅を食べる。みそとみたらしでけっこうおいしい。
仙巌園内の建物の中に薩摩切子のショップはある。レストランやなんかもある。
緑の薩摩切子が欲しかったのだが、実際に見てみると、黄色の発色が素晴らしいので黄色にした。
これは復刻品ではなく新しいデザイン。限定品ということだった。薩摩切子の特徴であるぼかしのないすっきりしたデザイン。これで芋焼酎を飲むとうまい。切子復刻30周年のコースターをくれた。ちなみに薩摩切子はお湯で洗ってはいけない(らしい)。
これはバカラのタマリンド。バカラのいいところはクリスタルに色がほとんどついていないので、日本酒から色のついたお酒まで何でも使えるところである。
バカラはバカラできれいなんだけども薩摩切子の方が良くみえる。これは個人的な好みだろう。
仙巌園と桜島に行った次の日には知覧に行った。特攻隊の飛び立った飛行場があったところであり、武家屋敷も有名。知覧は鹿児島中央駅からバスで行った。1時間~2時間ぐらい。
知覧:特攻平和会館を見に行った
特攻像
知覧特攻平和会館の前の特攻像。飛行機は特攻に使った機種ではなく、自衛隊から贈られた機体。
特攻平和会館。すごい。鳥肌たった。館内撮影禁止
入った瞬間、見学者のものすごく真剣に展示資料を見る熱気に圧倒された。こうした施設で人がこれほど熱心に見ているのを見たことはない。
館内は撮影禁止なんだけども、フリッカーで一部見ることができる。
これは引き上げられた特攻機。しかし、この会館のメインの展示資料である特攻隊員の1036人ひとりひとりの遺影や遺書・手紙・辞世・絶筆などの写真はフリッカーにはなかった。
ここだけは実際に行かないと雰囲気が分らない場所である。友だちの遺骨を首から下げて特攻機に乗りこみ今から出撃しようというような写真もある。「いっぺん死んでみるか」といった絶筆もある。
いろんな見方あっていい だが忘れないでほしい / 戦後70年へ-証言をつなぐ- / 西日本新聞
知覧飛行場は今は茶畑になったり民家になったりグラウンドになっていたり
平和会館のまわりが知覧飛行場のあったところ。知覧飛行場は今は残っていない。ここから沖縄は向かい、開聞岳で別れをつげた。
知覧飛行場の給水塔。ほとんど残っていない
知覧飛行場跡としてわずかに給水塔などが残されている。
平和会館から少し離れた場所に特攻の母と呼ばれる島濱トメさんの富屋食堂が復元されている。
中は資料館になっている。並びには旅館もある。
この富屋食堂が描かれた映画は幾つかある。
この映画の中で朝鮮出身で特攻した金山少尉によりアリランが歌われる。富屋食堂の中にはアリランの話についても説明がある。 金山少尉の遺品もここにある。
この映画でもアリランのシーンがあった。富屋食堂には知覧を訪れた作者の石原慎太郎氏の写真もあった。
知覧のもうひとつの見どころは武家屋敷群と枯山水。関西人でもあまり見たことのない史跡。
この道沿いにずらっと武家屋敷が並ぶ。
枯山水もいろいろなタイプがある。ほっこりしていていい雰囲気である。ここから特攻機が飛び立ったギャップがすごい。
鹿児島市内に帰るとすっかり日が暮れていた。
これは山形屋という鹿児島で有名なデパート。ここの食堂の支店が空港にある。
これは帰りの空港の山形屋食堂で食べた皿うどん。それほど甘くなくさっぱりしていておいしい。酒飲みには丸秘情報なのかもしれないが、森伊蔵も魔王も750円(ロック800円)で飲める。残念ながら伊蔵は売り切れだった。いつものように三岳を飲んだ。
鹿児島には四泊五日で行った。空港は霧島方面なので最終日に霧島に寄った。
霧島神宮:逆鉾九面を買いに行った
霧島には電車で行った。
車窓から桜島が見える。鹿児島に行くとやはり桜島を見てしまうわけなのだが、これで最後だろうと思っていると、けっこう遠く離れた駅からでも見えた。
まずは、逆鉾九面という縁起物を買いに霧島神宮へ。
明らかにここだろうという駅で降りる。
駅から霧島神宮へはバスもあるが便数が少ないこともありタクシーで。近くはない。タクシーの運転手さんがこの辺りが噴火した話や007の撮影地だった話をしてくれた。
霧島神宮は山の中にある。
年末だったので初詣の準備をしていた。この参道を抜けて境内へ。
境内には巨大杉が。御神木である。
初詣のしつらえをしている。
お参りを済ませ晴れて逆鉾九面の購入。
これが逆鉾九面。何事にも工面がつくという有難い縁起物である。何かで見て欲しかったのである。土着信仰がけっこう好きなのである。
逆鉾九面を頂戴して、帰りの飛行機まで時間があったので温泉に入って帰ることにした。
外湯が一軒あった。カジロが湯。主に近辺の方の利用ではないかと思う。
霧島温泉はところどころ湯気が立っているだけあって素晴らしい泉質だった。今回入った温泉の個人的に気に入ったランキング。
1位:指宿の砂むし温泉の小さな浴槽(遠い方)
2位:霧島温泉のカジロが湯(特に泉質)
3位:指宿のたまて箱温泉(景色)
4位:桜島マグマ温泉
5位:城山観光ホテルの大浴場(桜島が見える)
6位:指宿の砂むし会館の大浴場
鹿児島は温泉が多い土地でもあって、市内の銭湯も全部温泉なので行ってみたかったが時間がなかった。
バスで空港へと向かう。
日がとっぷりと暮れてしまったが、霧島高原はかなりきれいなところではないかと思った。
西郷さんや大久保さんには触れなかったが、ゆかりの史跡も鹿児島には多い。そうした博物館や史跡にも行ってみたが、地域性と結びついた重みのある歴史なので、2回目以降にじっくり廻ってもいいのではないかと思った。
全体的な旅の印象としては、鹿児島は遠い所だなと思った。やはり縁遠いというか。心理的な距離では、沖縄やフィリピンやベトナムよりも、インドや香港や中国よりも遠く感じた。
西郷さんの実家と大久保さんの実家は目と鼻の距離だった。二人の生誕地の近くに維新ふるさと館がある。
大阪人が鹿児島を遠く感じたのは、初日に維新ふるさと館で見た鹿児島の近代史がうまく理解できなかったからかもしれない。ここでの人形劇をうまく消化できなかった。現地で酒をあまり深く飲まなかったということもあるかもしれない。
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