リーバイスの復刻モデルが最初に発売されたのは、1980年代後半なので、その頃から含めると、30年以上、色々なモデルのLVC(リーバイス・ビンテージ・クロージング)を履いているということになります。
と言いましても、多くのモデルを本格的に履き始めたのは、最終のホワイトオーク生地から、現在のカイハラ生地にかけてになります。
理由としては、復刻としての完成度がかなり高まったと考えたからです。
このエントリーでは、LVCを日常的に着用していて、気づいた幾つかの点を共通の覚書(おぼえがき)として紹介したいと思います。(見方としては、ちょっと厳しめのものもあります。)
目次
- 1.リジッドのウエストはジャストで履く
- 2.履きはじめは生地が薄く感じるかもしれない
- 3.ジャストレングスだけが正解ではない
- 4.裾のパッカリングの入り方は個体差がある
- 5.リジッドのセットアップには色々な方法がある
- 6.LVC1本で最低10~30年以上は楽しめる
- 7.ジャケットの完成度が高まった
1.リジッドのウエストはジャストで履く
リジッドから履く場合は、ウエストは1インチ大きめを買うわけですが、2インチあげてしまうと、難しくなります。
ウエストを2インチアップで履いた1966モデル(ダブルネーム)です。
2インチアップで履いても、ふともものヒゲは入りますが、フロント、腰まわりのシワがきれいに入らないんですね。
サイズに余裕があるために、特にフロントまわりは、シワが固定せず、ランダムで入る傾向があります。
そのため、この66モデルは、後ろでウエストをつめていますが、それでもシワは固定していないですね。
ただ、個性的な色落ちになっていく傾向はあります。
古着ですと、2インチアップを買ってもいいと思うんですが、リジッドの場合は、水通し後のジャストが基本になるかと思います。
こちらの記事で、こちらの1966モデルのセットアップ方法を紹介しています。
途中で、糊付けしていますが、それでも難しい感じです。
ただ、いろいろ試すことができるため、エイジングの進みも早く、わりと気になる一本になっています。
現在は、6ヶ月履いてワンウォッシュした状態になっています。
47モデルと44モデルは小さめ
LVCでは、47モデルと44モデルが小さめにつくられています。
サイズ感としては、米国流通モデルのリジッドで32インチであれば、47モデルと44モデルのリジッドは、33インチになります。
同じ33インチの47モデルと55モデルを並べた写真です。
左が47モデルのW32×L32で、右が55モデルのW32×L32ですが、同じサイズでもこれだけ違うんですね。
最初の47モデルと同サイズの55モデルを履いた状態です。
47モデルとは、シルエットが全然かわります。
こちらも現行モデルのメインサイズはカイハラ生地になっています。
LEVI'SR VINTAGE CLOTHING 1955モデル 501R JEANS RIGID
リジッド状態からレングスの縮み
リジッドを水通しした時のレングスの縮みは、セットアップ方法にもよりますが、ウエスト32インチ程度で、44モデルや47モデルは、3インチ(7.5㎝)程度、55モデルや66モデルは、2~3インチ(5~7.5㎝)程度となります。
2.履きはじめは生地が薄く感じるかもしれない
LVCのジーンズ(特に44モデルや47モデル)は、履きはじめは生地が、思ったより薄く感じるかもしれませんが、日々、履きこんでいきますと、生地がほぐれてきて、厚みを感じられるようになります。
風合いが出てくるんですね。
これは、4ヵ月ほど履いたホワイトオーク生地の1947モデルですが、現在はしっかりとした厚みが感じられます。
現行モデルは、一部のサイズはホワイトオークも残っていますが、メインはカイハラ生地になっています。
LEVI'S® VINTAGE CLOTHING 1947モデル 501® JEANS RIGID
この47モデルを履いた状態です。
写真で見ても、なんとなく質感が感じられます。
こちらの記事で、この47モデルのセットアップ方法を紹介しています。
ダブルエックスの古着の生地を見ても、厚くは感じられますが、実際には、生地にそれほど厚みはないと思うんですね。(中には厚くて硬い生地もあります。)
それと、ジーンズは元は作業着なので、ある程度、目に見えないレベルの汚れを含まないと風合いが出てこないということもあります。
現在は、カイハラ生地の1944モデルを履き始めていますが、履きこみ日数で、3ヶ月は根気よく履かないと、その生地がどうなのかは分からないと考えています。
こちらの記事でカイハラ生地の1944モデルをレビューしています。
カイハラ生地の1966モデルは厚く感じる?
LVCの中で、カイハラの1966モデルは最初から生地が厚く感じられます。
確かに、ホワイトオークの1966モデルもそれほど薄くは感じませんでしたが、カイハラはこんなに厚かったっけというぐらいの厚みを感じます。
カイハラの1976モデルも最近履き始めましたが、これも生地が厚く感じます。履き始めは脱ぎにくいぐらいです。
この辺は、ちょっと履きこんで実際はどうなのかを試してみたいと思います。
3.ジャストレングスだけが正解ではない
リーバイス501は、ジャストレングスで履きたいと考えていましたが、最近は、ジャストレングスだけが正解ではないと考えています。
その人によっては、ロールアップして履いた方がリッチに見える場合もありますし、当時の古い写真を見ても、レングスの履き方はまちまちで、ロールアップして履いていた人もけっこう多いです。
1960年代のアメリカの写真ですが、こまめに洗濯して履いてる感じですね。
裾の長さやロールアップは、人それぞれで自分に似合った感じがあるんだと思います。
4.裾のパッカリングの入り方は個体差がある
1度、水通ししただけで判断するのは早計ですが、LVCは裾のパッカリングはモデルによって違う印象があります。
リジッド状態から1回だけ水通しして、2ヶ月程度履いた1955モデルの裾です。
1回の水通しで入ったパッカリングが擦れて、多少色落ちしています。
パッカリングは、洗濯回数を重ねると、グリグリになってきますので、この状態では判断できないんですが、このモデルは、肌感覚として、なんとなく弱いかなという気がしています。
(※3分程度、水に浸けた1回の水通しだけの状態なので、今後、洗濯回数を重ねることで、パッカリングがきつく入ってくることも考えられます。)
リジッド状態から1回だけ水通しして、4ヶ月程度履いた1947モデルの裾です。
これも、1回3分程度、水に浸けた状態なので、現在の段階での判断は早計ですが、洗濯をするとパッカリングが入ってきそうな感じがします。
リジッド状態から3回水通しして、4ヶ月程度履いた1966モデルの裾です。
この1966モデルは、裾を折り返して履いていますので、パッカリングは擦れていませんが、3回水通ししていますので、他のモデルより、パッカリングが入っています。
全体としてみた場合も、斜めに入っています。これが洗濯を重ねると、一番きれいに入りそうな感じがします。
古着の裾のパッカリング
古着のダブルエックス最終型の裾部分です。
50年以上前の古着と比べてどうなんだということはありますが、このダブルエックスは、かなり洗濯されているため、パッカリングがグリグリに入っています。
ただ、LVCでリジッドから履いて、濃色が大部分残っている段階では、裾のパッカリングやアウトシームのキャタピラの状態は、それほど目立つ要素ではないため、特に気にしていないということはあります。
実際に、古着でもかなり個体差があります。
(生地や色落ち傾向が完全に変わる66後期以後のモデル(1978年頃以降)は、裾のパッカリングとキャタピラがしっかりついていた方がかっこいいとは考えています。)
個人的には、規格サイズのままをレビューするため、裾上げはしないで自分に近いサイズを買っていますが、裾上げする場合は、長めのレングスを買って、ユニオンスペシャルで裾上げした方が、パッカリングは入る可能性があるかもしれません。
ユニオンスペシャルでの裾上げ
裾上げする場合の参考として、以前の記事になりますが、ネットで見つかるユニオンスペシャルで裾上げできる店のリストです。
ユニオンスペシャルで裾上げができるジーンズ・デニムショップリスト【全国対応版】
(ネットで「ユニオンスペシャル 地域名」で探すと、でてくると思います。)
裏技になりますが、長年履きこんだジーンズで、裾のダメージがひどくて、裾上げして履く場合、ダメージ状態をあわせる方法をこちらの記事で紹介しています。
5.リジッドのセットアップには色々な方法がある
リジッドからの履き方は、色々な方法があります。
リーバイスが伝統的に紹介してきた3つのセットアップ方法です。
出典:リーバイス
リーバイスの推奨方法でも、バスタブと洗濯と洗わないという3つの方法があるんですね。
一度、糊を落として、サイズをある程度縮ませてから、裾上げする方法が日本では通常かと思います。ヒゲを入れたい場合は、後で糊付けしたりします。
個人的には、LVCのリジッドは生もの感が強いので、水通しだけして、糊は残す方法を採用しています。
ほとんどの記事で、実際のセットアップ方法を紹介しています。
ただ、こういう方法でリジッドをセットアップしたらこうなったという主旨で書いています。
こちらの記事で、水通しだけでセットアップした501のエイジングレポートを紹介しています。
ジーンズはカルチャーなので多様性がある
レングスのベストも、その人によって違うように、リジッドからのセットアップ方法もベストの方法はその人によって違うと思います。
のっぺりした色落ちが好きでない場合は、水通しだけか後で糊付けというセットアップ方法になりますし、デニム生地の自然な風合いを楽しむためには、糊は落として履いた方がいいといった具合です。
ジーンズは、文明でもテクノロジーでもなく、カルチャーなので、多様性があると思うんですね。
6.LVC1本で最低10~30年以上は楽しめる
70年近く経過した1950年代の501やジャケット類の古着は気をつけながらですが、時々着ています。
60年近く経過した1960年代の501の古着は、最近までわりと普通に履いてました。
1960年代の501の古着です。
現在は、気をつけて履いた方がいいコンディションになってきています。
これは30年以上前に買った古着ですので、履き方やメンテナンスの仕方にもよりますが、デニムの実質的は寿命は、少なくとも10~30年はあるのではないかと考えられます。
そう考えますと、LVC1本で、10~30年は履けて、その期間のエイジングも楽しめるため、LVCそのものは安くはありませんが、長期的にみた場合は、かなりパフォーマンスのよい楽しみ方ではないかと考えています。
7.ジャケットの完成度が高まった
LVCは、ジーンズだけでなくジャケットの完成度も高まっています。
バレンシア時代のファーストは後期タイプのシンチバックがついていますが、シンチバックの金物のイメージが本物とちょっと違っているんですね。
ホワイトーオーク時期からのファーストは前期タイプのシンチバックで、安全対策のため自分で加工して、針を出す必要(そのままでもよい)がありますが、金物は本物のイメージになっています。
個人的には、LVCのジャケット類を実際に着だしたのは、最近で、こちらの記事で、エイジングをレポートし始めています。
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