リーバイスは、近年、LGBTや銃規制へのコミットメントを深めるなどリベラル色を強めています。同時に、リーバイス・ビンテージ・クロージング2018AWのテーマがジャマイカだったように、多様性をより意識しています。
最近の話題では、カントリー出身のテイラー・スウィフトが、リベラル支持を表明しデビュー当時からのファン層であった保守層をびっくりさせたことなどが報じられています。
そうした中で、デニムウエスタンシャツは、アメリカでは、旧来の伝統を継承する多少の身振りを伴ってしまうアイテムではないかと思われますが、日本ではそうしたコンテキストとは切り離してひとつの製品として見ることができるのではないかと思います。実際、かなり魅力的なディテールを持ったシャツということができます。
このエントリーでは、LVCリーバイス・ビンテージ・クロージングのソートゥースシャツのセットアップと着てみた印象を紹介します。
目次
デニムウエスタン・ソートゥースシャツ
リーバイスLVC1955ソートゥースシャツです。
化粧箱に入っています。
このラベルがいいですね。ロングホーン、ショートホーンタグの後のサドルマンです。
ウエスタン・ウエアと書いています。よく見ますと、ブーツを履いてロールアップしてる感じも読み取れます。ジーンズにはパッチもついています。
平置きで見てみましょう。
後ろです。
背中の切り替えがバットウイング的なデザインになっています。
コム・デ・ギャルソンのシャツぐらいの価格がします。けっこういいお値段です。
LEVI'S(R) VINTAGE CLOTHING 1955ソートゥースシャツ/リジッド/8.7OZ
これはデニムウエスタンシャツですが、デニムシャツとは違います。
デニムウエスタンシャツとデニムシャツの違い
デニムウエスタンシャツは、カウボーイスタイルのシャツです。デニムシャツは、デニムでつくられたシャツです。他には、デニムワークシャツがあります。
デニムウエスタンシャツには様式があるんですね。ソートゥーススタイルには、リーバイス501のようにオリジナルのスタイルがあります。ロックマウントです。
デニムウエスタンシャツの原点であるロックマウントのデニムウエスタンシャツを見てみましょう。
ロックマウントのデニムウエスタンシャツ
ロックマウントのデニムウエスタンシャツの定番です。
デニムウエスタンシャツの特徴は、まずスナップボタンですね。そして、ヨークと呼ばれる肩あてがあります。そして、胸ポケットのフラップに特徴があります。1950年代に人気があったのは、ソートゥース(鋸歯)形状のフラップです。
ヨークのデザインやフラップのデザインは各社色々なものがあります。ラングラーですと、ポケットにWとステッチが入っていて、カッコいいです。
カウボーイ・クラシックスが得意なのは、ラングラーとかリーになります。
リーバイス501が東海岸で販売されたのは1954年で、このソートゥースシャツは1955モデルということですので、501XXや501ZXXと同時に東海岸で販売されたのではなかと思います。その当時はウエスタンブームだったんですね。
LVCのソートゥースとロックマウントのソートゥースを比べてみましょう。
左がリーバイスの復刻品で、右がロックマウントの現行品です。
リーバイスの方が生地もボタンも精巧につくられていますが、オリジナルのデザインはロックマウントになります。(リーバイスには、ロングホーンというモデルがあります。)
このデザイン自体は70年ほど変わっていないわけですので、当時から普遍的なデザインだったということになります。
LVCのバレンシア時代にショートホーンタグで復刻していた時は、ボタンのアウトラインがロックマウントと同じ菱形でしたが、今回は丸型に変えています。
ちなみに2つの大きさを重ねてみますとほぼ同じです。
リーバイスの方がアームホールが太いので、ロックマウントも当時は太目のアームホールだったのではないかと思います。
このLVCは、リジッドなので、リジッドのまま着るのか、水通しをして多少縮めて着るのかが問題となります。
これは考えどころであるため細かく検証してみたいと思います。
LVC1955ソートゥースシャツを水通しするかどうか
まずはサイズのチェックです。
サイズのチェック
注文前にサイズのチェックはしていてますが、あらためて、このシャツのサイズをチェックしてみましょう。
サイズ表です。
出典:リーバイス
まず、重要なのは、バスト(胸囲)、袖丈、肩幅ですね。個人的にまず見るのは肩幅と袖丈です。
どこの部分を測っているかの図があるようでしたらそれも見ます。
出典:リーバイス
個人的には、普段着ているシャツの寸法とも比較します。
参考までに、ユニクロと無印良品のオックスフォードシャツMサイズの寸法と比較してみましょう。このMサイズがだいたい普通にきているサイズです。
サイズとしては、XSかSが狙い目なんですが、XSですと身幅(身幅49㎝)が小さく、Sだと袖(63㎝)が長いという感じです。
XSを買った場合、このシャツはリジッドであり、洗って縮む可能性があり、身幅がこれ以上縮みますと、着れなくなる可能性があります。
Sを買った場合は、洗って袖丈が縮む可能性があり、こちらを選ぶ方が安全です。
どちらにしても、XSは売り切れていました。
このような感じでサイズ選びをして、Sサイズを注文しました。(現在は、SとMのみ)
ちなみに、このソートゥースシャツは、リーバイスのUSAのサイトでもUKのサイトでも売っていません。品切れになったのでしょうか。
次にリジッドのまま着てみましょう。
リジッドのまま着てみる
おや?
分かっていたことではありますが、袖が長いですね。
タックインして着てみましょう。
やはりそうです。袖が長いです。いわゆる萌え袖というやつですね。
上下ともリジッド状態です。
ジーンズは1947モデルですが、こちらの記事でセットアップの方法や縮み率を紹介しています。
しかし、同サイズのロックマウントはわりとジャストで着れます。なぜでしょうか?
カフスの大きさが違うんですね。リーバイスは、カフスが大き目につくられているため、余った生地が手首でひっかかからずに手のひらにかかってしまうのです。
リーバイスとロックマウントのカフスの長さを測ってみましょう。
上がロックマウントでカフスが22㎝、下がリーバイスでカフスが23㎝あります。
個人的には手首が細い方なので、22㎝ですと手首で止まりますが、23㎝だと止まりません。カフスが23㎝というのは読めませんでした。
ファーストでもセカンドの復刻でも言えることなんですが、今の感覚で言うとアームホールが太めなんですが、復刻なので、基本的には同サイズでつくらないとダメなんですね。1950年代はカフスも1㎝大きかったということになります。
ただ、カフスが大きい方がアームホールとのバランスはよく、個人的には22㎝が好みです。ブルックスブラザーズのオックスフォードシャツのカフスも22㎝です。(日本のシャツのカフスはボタンを2個づけにしたりして調整しています。)
袖の長さ自体が長めかというとそれ程でもなく、外国人は手が長いので、おそらく短めの袖で着るシャツではないかということになります。
結論的には、カフスが大きいために、萌え袖になってしまいますので、水通しして縮めて着ることにしました。
では、セットアップです。
LVC1955ソートゥースシャツのセットアップ
丁度この日に、1947モデルのセットアップもしていたために、はずみがついて、何のためらいもなく水通ししてしまいました。
高価なシャツが水に浸かっていきます。
脱水機にかけますとさすがにクシャクシャになりますので、そのままハンガー干しすることにしました。
乾きました。
では着てみましょう。
セットアップ後の着用
水通ししてブルーの輝きがでたような感じです。
しかし肝心の袖はそれほど縮んでいません。(今後、洗いを重ねたり、乾燥機を使用しますと縮む可能性はあります。)
タックインしてみましょう。
ニュアンスのあるシャツになっていますが、萌え袖です。
カフスが22㎝ならジャストで着れたと思います。1947モデルの501もセットアップしたばかりです。
これは袖を折って着るしかないですね。
カフスの部分で折りますと、ダブルカフスになりました。
これで短めのジャストです。
ダブルカフスにして着るなら、水通ししなくても良かったかなと思いますが、リジッドを水通しした後のシュッとした感じも捨てがたいかなと思います。
個人的には、LVC1955ソートゥースシャツは、カフスが少し大きめで、袖も少し長めですが、シャツとしてのクオリティは、これまで着たどのシャツよりも高いクオリティを感じます。かなりプレミアムなデニムウエスタンシャツです。
価格としては高めですが、サイズがあえば、おすすめのLVCになります。
LEVI'S(R) VINTAGE CLOTHING 1955ソートゥースシャツ/リジッド/8.7OZ
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