久しぶりにユニクロに行ったら、ひとつの店内広告に目が止まった。
「完璧なダメージをつくった。それは完璧よりも気分がいいから。」
このコピーに反応したのは、ダメージジーンズには一家言あったからだ。
ジーンズと言えばリーバイス501。つまり、僕の中では、ジーンズと言えばリーバイス501とそれ以外のジーンズの2つのカテゴリーに分けられていた。
リーバイス501の中でも、ヴィンテージと呼ばれるオールドタイプは、製造されてから50年以上経過しているため、履かれていたものは殆どがダメージジーンズとなっている。
「完璧なダメージ? 本当なんだろうか?」早速、試着してみた。
うん? 生地に加工がしてあるのか履きやすいな。裾もジャストレングスだ。短く設定しているため切らずに履ける。ダメージジーンズで裾を切ってしまうとそこだけ新しくなり台無しになるのだ。
もう少しじっくりとこの「ユニクロのダメージジーンズ」を検証したくなった。ダメージが「ハードなタイプ」と「ソフトなタイプ」の2種類を持ってレジへと向かった。
家に持ち帰り詳細にチェックしてみた。まずはダメージ加工がハードなタイプから
ユニクロのダメージジーンズ(ハード)
レギュラーフィットのシルエット。「501の古着じゃないか!」と思った人もいるだろう。
ワンサイズ大きめを購入。501では「腰で履く」という履き方があるため、ワンサイズもしくはツーサイズ大きめをベルトでしばって履かれることがある。ズラすのではなく、腰骨に引っ掛けるという感じですね。
バックスタイル。バックポケットは小さめ。ステッチなしの仕様はいいが、パッチもなしなのでややシンプルか。ただ、股上は501に比べると2cmほど浅くしており、シルエットは現代風である。
オープントップボタンにジッパーという仕様である。501はボタンフライなので、502を意識したのかもしれない。
これはリーバイスジャパンが一番最初につくったヴィンテージレプリカの502。ジッパーにはTARONというメーカーのものが使われている。ユニクロのは信頼のYKK製。
しかし、この膝に開いた大穴、日常着をメインとするユニクロの「商品」としてはどうなのかと不安に思う人もいるだろう。安心して欲しい。
現行品では「あて布」という、ヴィンテージのリペアでも使われる技術が裏地から施されており、実際に穴が開いていない仕様に改善されているのだ。
「穴」が開いていた方がいいというマニアは、一部の店舗(大阪店等)に残っているし、「あて布」を加工することもできるだろう。
次にダメージ加工がソフトなタイプ。
ユニクロのダメージジーンズ(ソフト)
こちらはジャストサイズを購入。ところどころダメージが施されている。穴も小さめだ。ポケット下のヒゲもばっちりだ。ダメージジーンズがはじめての場合はソフトなタイプの方が履きやすいだろう。サイズもベルトが不要なジャストサイズがおすすめだ。
ひざ裏の加工もぬかりない。裾のパッカリングもきれいに出ている。
ソフトタイプの方がハードタイプに比べてデニムのブルーが残っている。
ハードタイプに比べると穴は大分小さくなる。ダメージジーンズのデニムは、赤耳のセルビッチデニムではないが、ジャストレングスで履くのであまり気にならないだろう。
生地は、「世界的に有名なデニムメーカーであるカイハラ社のストレッチデニムを使用」しているということだ。確かに履いた時の第一印象は「履きやすさ」だった。
次にモデルとされたリーバイス501を見てみよう。
リーバイス501のダメージジーンズ
501Sタイプ。製造されてから50年以上経過しているエイジングの違いがあるものの、パッと見てユニクロのダメージジーンズが似たニュアンスを再現しようとしてると言えないだろうか。
革パッチは剥がれ、バックポケットにはアーキュエイトステッチ痕がわずかに残っている。
501のフロントフライは今も昔もボタンフライである。
赤耳と呼ばれるセルビッチデニム。このサイドシームの「アタリ」がオールドジーンズの魅力であるが、写真のものはそれほどきれいに出ているわけではない。捩れが見られる。しかし、ブルーの残り方に独特の透明感がある。ひとつひとつの個体が微妙に違うところに501の本当の魅力はあるのかもしれない。
スリムフィットのダメージジーンズ
このエントリーで紹介したのは、レギュラーフィット。リーバイス501をベースにしているのがこちらのタイプだったからだ。ただ、リーバイス501をベースとしているだけに、コーディネートの幅は狭まる。501の魅力に「粗野さ」とか「野暮ったさ」があるからだ。(レギュラーフィットタイプも現在であれば一部店舗に残っていると思う。大阪店。)
現行のダメージジーンズは、レギュラーーフィットより洗練されたスリムフィットである。今は全体的にスリムなシルエットが好まれているので、他のアイテムとのコーディネートの幅は拡がると思う。その他にも幾つか改善点がある。
シルエットはレギュラーフィットに比べて細身。リーバイス501も時代ごとにシルエットを変えており、人気の66タイプは細身である。レングスもレギュラーフィットに比べて数センチ長くなっている。それでもジャストレングスで履くことができるだろう。
「あて布」処理により実際に穴が開いていない仕様になったのも実用品として改善された点だ。これが最も大きな変更点。
各部のディテール。バックポケットが大きくなり、前シーズンのモデルのシンプルさが解消されている。
生地は「バングラディッシュ製」から「中国製」へ。好みはあるが、ヴィンテージらしい「より深みのある青」が出てると言えるだろう。「バングラディッシュ製」の個体差の違い地の感じも501と似たテイストを感じた。
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ダメージジーンズのコーディネート
前述したようにレギュラーフィットなのでコーディネートはやや幅が狭いものになる。
基本は、シンプルなシャツとTシャツの2種類のコーデだ。
ユニクロ ルメールの白シャツとダメージジーンズ
シャツは白シャツなどのシンプルなシャツの方がダメージ感が際立つだろう。
ユニクロユーのブロードシャツとダメージジーンズ
薄いブルーとの組合せもコントラストが強くなりすぎず渋い印象になる。
Tシャツとダメージジーンズ
Tシャツは、ハードな生地のTシャツがいいのではないだろうか。写真は、沖縄のHUBBOXというメーカーのもの。
ユニクロのダメージジーンズを買ってからは、オールドの501よりも履くことが多い。リーバイス501とは完全に別物であるが、なぜか似たニュアンスを感じるのである。ストレッチ素材なので履きやすいということはあるかもしれない。
「完璧なダメージをつくった。それは完璧よりも気分がいいから。」
まだ一回も洗っていないので、洗濯後どうなるのかも含めてしばらく履いた結果を改めて報告したい。
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