ジョン・レノンは来日する度に軽井沢を訪れ、万平ホテルに泊まっていたという。ジョン・レノンの熱心なファンはたくさん
知っているが、僕はジョン・レノンをよく知らない。
ふとした機会にジョン・レノンの音楽に関心を持ち、ジョン・レノンをもっと知ってみたくなった。
目次
- ミニマリスト旅のルール
- 万平ホテルに到着
- ジョン・レノンが愛したロイヤルミルクティー
- ジョン・レノンが愛した部屋
- ジョン・レノンが愛した見晴台
- ジョン・レノンが愛したフランスパン
- ジョン・レノンが愛したコーヒー
- ジョン・レノンが語った持たない生き方
軽井沢の万平に向かいながら、僕はもう一度ミニマリストの旅のルールを思い返していた。
ミニマリスト旅のルール
- いろんなものを見て歩かない
- 滞在先から極力外出しない
- 旅のテーマは持ってもひとつ
大事なのはモノよりも時間だ。軽井沢駅からタクシーで万平ホテルに向かった。
万平ホテルに到着
万平ホテルはいつものたたずまいだった。フロントに入り記名した。ミニマリストのミニマルな荷物を部屋まで運んでもらうのは恥ずかしいのだが、運んでもらった。
部屋に荷物を置いて、クーラーを切り、自分の家かのごとく窓を開けて新鮮な空気を入れた。とりあえずテラスでロイヤルミルクティーを飲むことにした。
万平ホテルのロイヤルミルクティーはおいしい。ジョン・レノンがここに滞在すると決まってオーダーしたほどだ。
旅のワンテーマは、ジョン・レノン。といっても、ぼくは、ジョン・レノンが良くわかっていない。子どもの時から何の知識もないままにピンクフロイド漬けだったので、聞く機会を逸したのだ。いい機会だ。とりあえずiTunes Storeでジョン・レノンの知らない楽曲をダウンロードした。
ジョン・レノンが愛したロイヤルミルクティー
メニューにはこう書いてる。
万平ホテル伝統の紅茶と、まろやかなミルクのハーモニーをご堪能ください。ジョン・レノン直伝のロイヤルミルクティーです。
ジョン・レノン直伝なんだ。どうりでどこでも飲んだことのない味なわけ。上にのったクリームがウインナーコーヒーのように甘い。このロイヤルミルクティーは別格のおいしさである。へんな話なんだけどコーヒーを飲んでいるのか紅茶を飲んでいるのか分らなくなる。つまり言葉や分類が消えるようなおいしさ。
満足したので部屋に戻り昼寝をすることにした。昨日は夜遅くまで本を読んでいて睡眠不足だったのだ。
ジョン・レノンが愛した部屋
万平ホテルには旧式や新式の幾つかの部屋のタイプがあり、この部屋は旧式のタイプ。この部屋はジョン・レノンが滞在していた128号室の並びなので同じタイプの部屋だ。インテリアは和風と洋風の折衷様式でミニマリスト好みではないんだけど妙に落ち着く部屋である。
ジョン・レノンは1977年から亡くなる前年の1979年まで毎年、軽井沢にひと月ほど滞在した。小野家の別荘のほかは、万平ホテルのこの部屋に居たのではないかと推定している。ベッドに入りながらその理由を考えてみた。
万平ホテルの部屋のベッドルームは、半透明の障子やベージュのカーテンで柔らかく仕切られており、障子やカーテンを閉めることで光量を自由にコントロールできる。これが昼間いてもものすごく落着くのである。昼寝するのにぴったりである。
ガラス越しの半透明の緑の透過光が気持ちいいのかもしれない。
一時間半ほど眠り、窓際のソファで本を読むことにした。窓を解放すると森の中で読んでるみたいである。一日快適に過ごせるようにつくられている。
夕食は一番遅い回にしてもらったので本も読みきることができるだろう。ちなみに、万平ホテルでは、おひとりさまの洋食でもコーナーに二人席を用意してくれるのでメインダイニングで浮くことはないだろう。個人的にはメインダイニングの四人席にひとりで座ってもまったく気にならないんだけども、こうしたおひとりさまへの気づかいはうれしい。二人席が空いてない場合もあるので、こうしたリクエストを伝えておくと確実だろう。
夕食の後は、猫足のバスタブにつかってから1階のバーへ。ここのバーは気さくな雰囲気なので、飲み過ぎてしまうのが欠点だ。山崎1999年のシングルバレルがあった。ぼくが持っている山崎1994年のシングルバレルとは随分違う。雑味のないホワイトゴールドのような味だ。万平ホテル用によりすぐりのいい樽が選ばれたと推定される。
次の朝、朝食を食べて窓の外を見ていると、小さなボンネットバスがやってきた。バス停まで寄ってみると、見晴台行きと書いてある。案内が貼ってあり、ジョン・レノンが好きだった場所と書いてある。その見晴台に行ってみることにした。
バスに乗って10分ほどで見晴台に着いた。
ジョン・レノンが愛した見晴台
残念ながら曇ってきたようだ。これは西側の方角。浅間山の裾野が少し見えるので良しとしよう。
近くにはジョン・レノンの訪れた熊野皇大神社もある。丁度、長野県と群馬県の県境のため左右両側に二つの神社が並んでいる。
境内には樹齢800年の御神木がある。あきらかにパワースポットの雰囲気。
帰りのバスの中で「ジョン・レノン 軽井沢」と検索し、ジョンが通った二つの店があることが分かった。そのまま旧軽井沢に出ることにした。
まずは、パン屋さん。
ジョン・レノンが愛したフランスパン
旧軽井沢の商店街中程にあるフランス・ベーカリー。
公式サイト(ジョン・レノンに関する記述はない)
「あの人」も買ったフランスパン。イートインできるので、ここで昼食にすることにした。
フランスパンのなかみはきっちりつまった生地。外側よりも内側の方がおいしい。
フランスパンだけでは食べにくいのでおみやげにして、実際に食べたのは、あんぱんとコロネ。だいたいいつもこのコンビしか食べない。フランス・ベーカリーのパンは絵に描いたようなパン。見る人が見ればわかるあんぱんとコロネ。もともとは万平ホテルのベーカリーチーフの方がはじめたお店。万平ホテルの朝食のトーストもおいしい。
店の奥には、あの人がママチャリに乗ってパンを買いに来た時の写真が貼ってある。1977年夏の写真。この写真を見ていると、僕は随分むかしから、ジョン・レノンのファンだったような気がしてきた。ジョン・レノンをiPhoneで聞きながら廻っているということもあるのだけれども。
最後に行くのはジョン・レノンが通った喫茶店。中軽井沢の近くなんだけども、ジョンのようにママチャリを借りて行くことにした。
1980年はアメリカでアルバムを制作していたので、軽井沢を訪れることはなかった。1979年が最後の夏だったということだ。1979年の写真を万平ホテルで幾つか見たことを思い出した。ジョン・レノンが歌った「スタンド・バイ・ミー」のカバーをダウンロードした。
前カゴにフレンチ・ベーカリーのフランスパンを入れて、スタンド・バイ・ミーを聴きながらママチャリをこいだ。子どもの頃からいつも頭のなかで鳴り響いているピンクフロイドのギターリフをジョンのだみ声が強く押し流していった。
ジョン・レノンが愛したコーヒー
ジョン・レノンが通った喫茶店に着いてみると、臨時休業だった。喫茶店は「離山房」という名前だった。
店が閉まっていて残念だったかと言うとそうでもなく、むしろホッとした。一度に全部味わう必要もないからだ。それにジョンが飲んだブレンドコーヒーがどのような味か想像する楽しみがあると思っておこう。
iPhoneから丁度「スターティング・オーバー(やり直し)」が流れてきた。
1980年制作。ジョンとヨーコの最後のアルバム。スターティング・オーバー収録。
1971年発表。イマジン収録。
ジョン・レノンが語った持たない生き方
ふと、イマジンの歌詞に、no possessions(無所有)のメッセージがあることを思い出した。Sharing all the world(分かち合う世界)というメッセージもある。この曲に関心を持った。
ミニマリストの主張するno possessionsとどう違うのか考えてみる必要があった。人のためか自分のためか明らかではあるけれども。このメッセージの理解がワンテーマの目的だったと思う。
ミニマリズムの「モノを持たない」が、ジョン・レノンのイマジンのように、自分のためだけではなく、人(自分と他人)のためにという意識を含んでいれば、ミニマリストがネガティブに捉えられることもなくなるだろう。ミニマリストという生き方がサステイナブルかどうかは、「持たないこと=Sharing all the world」に鍵があるのではないかと思う。
Imagine no possessions
I wonder if you can
No need for greed or hunger
A brotherhood of man
Imagine all the people
Sharing all the world
You may say I'm a dreamer
But I'm not the only one
I hope someday you'll join us
And the world will live as one
John Lennon , imagine , 1971
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