桶作元次のつくる「桶作の塩」
朝ドラ「まれ」の塩職人 桶作元次。田中泯が元次を怪演中。この桶作元次がつくる「桶作の塩」を少し考えてみたい。去年買ってきて、少し使ってみた。もうひとつ良さが分からなかったので、使わなくなったままだった。正確には「桶作の塩」ではなくて「揚げ浜塩」という呼び方。
個人的に好きな塩は、ゲランドと粟国。ゲランドは鳥の胸肉のソテーに良く合うし、粟国はトマトに良く合う。ゲラントの塩は、軽く湿っていて、塩以外の海の成分を多く含んでいそうな気がする。この不純物が複雑で芳醇な味わいをつくりだす。粟国は成分の種類はゲラントより少なく感じるけれども、いわゆる濃厚なうまみがある。生野菜につけすぎてもうまい塩。酒のアテでもいいような感じ。
つまり、ひとつの塩はオールラウンダーとして使っているのではなく、食材によって使い分けている。だから「桶作の塩」にもふさわしい使い方があると思って研究してみた。
結論としては、目玉焼きとか卵焼きにベストなんである。「桶作の塩」は荒い海を感じさせるような辛い塩。この厳しい辛さが、卵の柔らかな味わいにくっきりとした輪郭を与える。卵と荒海のであい。マイ・キッチンの目玉焼きの味がきまった。
試してはいないが、海苔を使ったおりぎりなんかも旨いであろう。鉄腕ダッシュではラーメンのスープに使ったという。
桶作の塩で目玉焼きを作ってみた
桶作の塩を使って、作ってみた。なんだこれはと思うかもしれない。アメ玉を舐めつづけることができず、ガリっと噛んでしまったあの夏のように、弾力のある黄色いキャノピーを見ているとどうしてもがまんできなくなり結局つぶしてしまうので、目玉焼きを作っているつもりであるが目玉焼きではない。スクランブル・エッグでもない。卵焼きの亜種と思う。自分が食べてうまく感じるように調理するので見た目は二の次になる場合がある。一個の卵を丁寧に焼いて、ひとつの命をおいしくいただくことを重視している。
誰も知りたくはないだろうと思うけれど、作り方。使い込んだ中華鍋にエクストラ・バージンのオリーブオイルをひいて、卵を一個落として、塩、コショーで焼くだけ。ヘラで卵を軽く混ぜたり返したりしながら、塩は手でふる。最後は焼きすぎないように、余熱で焼くぐらいの感じ。その日の気分で焼き具合は変えるんだけども。ワッフルのような形に焼けたならテンションはあがる。黄身と白身の命の混沌に散りばめられた日本海の粗塩がダイヤモンドのように煌めく。ギャラクシー焼きと呼びたい。厳しい指導を仰ぎたい分野ではある。
桶作の塩をつくる揚げ浜塩田の場所
その桶作の塩は、この写真の「揚げ浜塩田」で作っている。
塩田の横に「桶作の塩」と書いた建物があって、その右側の建物の中で一人一個限定で「桶作の塩」が買える。(2015年8月現在)
【奥能登塩田村(道の駅):能登に残る日本唯一の揚浜塩田】
この揚げ浜塩田の少し先に、道の駅があり、そこにも塩田村がある。ホームページがあり、ここで作った塩が買える。ネットでも買えたみたいだが、出来る量が少ないので、いまは現地販売のみだそうだ。
揚げ浜式のつくりかたもかいてある。
もう一か所、揚げ浜式で作っているところがある。ぼうっと塩田を見ていたらおじさんが海水を撒かせてくれた。まったくうまくできなかったんで、田中泯の撒く所作に驚いたというわけなんです。
【輪島市大川の揚げ浜式製塩でつくる輪島塩 :輪島製塩】
参考までに個人的におすすめの塩を紹介。
おすすめの塩 マイベスト4
ゲランドの塩。いろんなメーカーのがある。お肉とか魚向き。キャベツ主体の野菜炒めにもおいしい。これぞといった食材はゲラント。
粟国の塩。これで塩に目覚めた。一番最初に出たのはこのパッケージだった。トマトとかキュウリとか酒のアテ向き。
桶作の塩ではないが、揚げ浜式が充分に味わえる。卵焼きとかおにぎり向き。日本の塩。
ぼくが一番良く使うのは、このシチリアの岩塩。これをミルでひいて使っている。
このように海水塩がけっこう好きなんですが、すべてを海水塩にしているわけではありません。人によってはミネラル分が強すぎるということがあるかもしれない。純度の高い岩塩とのバランスを考えてポイントに使うのが健康的かと思います。
この4種類があれば、同じ食材でも、日々バリエーションを感じながら新鮮な気持ちで調理できます。粟国とシチリアの2種からスタートして、ゲラント、輪島に進むのもおすすめ。
シチリアの岩塩にはミルが絶対必要。これは白いプラスチックとガラスだけでミニマルなデザイン。削り具合は5年以上使ってもなんともない。ギャバンのグルメミルと基本性能は同じ。一回一回ひきたての塩をつかうのが気持ちいい。
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