アーキペラゴを探して

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仁寺洞の美しいツリーサークル

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あるイベントの案内文に、最近の韓国文化への幅広い関心の高まりを受けてという一文があり、 違和感を感じた。 最近では雑誌の特集を見ても、むしろ「嫌韓」が目立ってきているのである。この問題の根幹と思われる慰安婦問題をかなり簡単に整理してみよう。

 1992年1月8日、水曜デモと呼ばれる、慰安婦問題解決のためのデモが、ソウルの日本大使館の前で始まった。1993年、慰安婦の強制性を認めた河野談話が発表された。水曜デモの1000回目を記念して、2011年12月、慰安婦少女像がソウルの日本大使館前に設置された。歩道上への違法設置であるが、韓国政府は事実上容認している。

2014年8月5日、朝日新聞で慰安婦問題の特集があり、一部証言の事実関係が確認できないという内容が掲載され、この問題が再燃した。 国内で慰安婦問題に対して事実関係の認識が揺らいでいる。

この問題に対する政府間の意見だけ見ても、大きな隔たりがあり、両国間の関係を改善する特効薬は見つからないだろう。相互理解はもうないかも知れない。しかし、メディアが使う「嫌韓」という表現は行き過ぎではないのか。

2003年、仁寺洞(インサドン)に行った。仁寺洞は、美術品や骨董品が並ぶ韓国の伝統芸術が感じられる街である。路地を一本入ると、古い韓屋を利用した食堂があったりして、歩くだけで楽しい。 

仁寺洞のどこだったか、正確には覚えていないが、街路樹のツリーサークルのデザインに目が魅かれた。普通のツリーサークルは、水を通すために、メッシュ状になっているが、これは、メッシュの代わりに、ハングルの文字が精緻に打ち抜かれていた。何が書いているか分からなかったが、デザイン的に美しいと思った。 

秋から冬にかけてのソウルの抜け感のある澄んだ空気。真冬に牛骨スープをすすりながら食べる冷麺の旨さ。クヌギの炭火で焼くカルビの甘さと柔らかさ。この風景を対立的な状況を思いながら歩くというのは、やはり、惜しくないだろうか。