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【脱ミソジニー】英国フェミニストが弱者男性にも言及? / エマ・ワトソン 国連スピーチのフェミニズム

先日、ビック・イシューを買ったところ、表紙はハリポタでハーマイオニーを演じたエマ・ワトソン( Emma Watson)でした。見開き2ページの特集があり、昨年エマ・ワトソンが国連で行ったHeforSheのスピーチをめぐるふり返り的な内容でした。 

 

UN Women launches HeForShe IMPACT 10x10x10 Initiative

(ビッグイシューの紹介ページ)

「性別による差別を終わらせたい」。エマ・ワトソンの国連スピーチに対するさまざまな反響 : BIG ISSUE ONLINE 

 

エマ・ワトソンの演説は、国連のHeforSheのキャンペーンで行われたものですが、結局、このキャンペーンは現在どうなったんだろうという疑問が浮かびました。

まずは、エマ・ワトソンの演説がどういう内容だったか、そしてこのキャンペーンがどういうものであったかふり返ってみたいと思います。

 

A.エマ・ワトソンの国連演説と"He for She"

 

見た方も多いと思いますが、字幕付きの動画です。 

youtu.be

もし、私たちが私たちではないもので、お互いを定義するのを止め、ありのままの私たちとして定義しはじめたら――全ての人々がもっと自由になります。そしてこれこそが「HeForShe」の核心なのです。これは自由に関することなのです。

男性に性差別をなくす行動への参加を呼びかけ、フェミニズムについて踏み込んだスピーチが話題になりました。

 

全文を紹介した記事も幾つかあります。

私たちは性の不平等を終わらせたいのです。そのためには、一人一人の参加が不可欠なのです | Emma Watson

【全文】「今こそフェミニズムを見直すべき」 女優エマ・ワトソンが国連で“男女平等”を訴えたスピーチ - ログミー

 heforsheの公式サイトです。

Home - HeForShe

 

このスピーチが一部では反感を買い、彼女のヌードをネットにばらまくといった脅迫めいた脅しもありました。ビッグ・イシューでは、エマ・ワトソンの演説に対するその後の反響などが書かれています。

ビッグ・イシューの記事には著名人のフェミニズムについての意見も少し出ています。。著名人の意見を見るとグローバルでフェミニズムがどのように扱われているか少し分かるかもしれません。

 

B.ビッグ・イシューに掲載されたエマの演説に対する反響

 

1.賛成派の意見  

 ケイト・ブランシェット/ Cate Blanchett

Cate Blanchett - The Hobbit Panel Comic-Con 2014

 国連でのエマ・ワトソンのスピーチはとんでもなく誇らしかった 

 
テイラー・スウィフト/ TAYLOR SWIFT

Taylor Swift

 できれば自分が12歳の時に、お気に入りの女優がフェミニズムについてこれほど知的で美しく感動的に語る姿を見たかった

 

記事によれば、エマ・ワトソンの国連スピーチをきっかけとして、著名人へのフェミニズムについてのアンケートが行われたそうです。そこにはフェミニズムに否定的な意見もあったようです。 

 

2.反対派の意見  

 レディー・ガガ / Lady GaGa

Lady Gaga

私はフェミニストじゃない。男性万歳、男性大好きよ 

 
ジェリ・ハリウェル(元スパイスガール)/ Geri Halliwell

Geri Halliwell

 私にとってのフェミニズムは、ブラを焼くレズビアンみたいなもの。つまり魅力がないってこと

元スパイスガールではヴィクトリアが取りざたされることが多いですが、スパイスガールの時に一番目立っていたのはこの人だったような気がします。悪気はないとは思うんですが。

 
リリー・アレン / Lily Allen

Lily Allen @ Shepherd's Bush Empire

 私がフェミニズムという言葉が嫌いなのは、もうそんな時代じゃないから

これが世の中の主流の意見でしょうか。しかしリリー・アレンのヴィジュアルは強烈ですね。

 

3.オルタナティブな意見

マドンナ/ Madonna

Madonna with Mercy [04.2009]

私はフェミニストじゃなくて、ヒューマニスト。

 以上出典元:ビッグイシュー日本版 VOL.267

 

マドンナはデビュー当時からフェミニズムとの関係が良く議論されていました。マドンナが抱いている女の子はマラウィから養女にもらったマーシーちゃんですね。左の少年にどうしても目がいってしまいます。

 

著名人のコメントだけ引用しましたが、興味がある方はバックナンバーもたいてい売ってますので、ぜひ買ってみてください。*1

 ビッグイシュー販売場所

ビッグイシュー日本版|販売場所

 

 

C.Heforsheの現在/ HeForShe地図をチェック

HeForShe地図

 

出典元:http://www.heforshe.org/


このキャンペーンの目玉は、ウェブサイトに掲載されたHeForSheの地図です。これはリアルタイム地図で、1年にわたって世界各国の男性参加者数が表示されるそうです。

国連事務総長の潘基文さんがとりあえず10万人を動かすという目標を宣言し、藩さん自身が「最初の男性」としてこの地図にカウントされました。

参考記事

UNウィメンのHeForSheキャンペーン | 国連ウィメン日本協会はUN Womenに承認された民間団体。皆さまからのご寄付とご支援を世界の女性に届けます

 

HeForSheの現在はどういう状況か

上の地図は2015年8月4日現在の状況です。参加者は世界で36万4千86人です。日本からは1203人です。ちなみにわりとなじみのある国の参加人数を調べて見ると以下のような感じです。

 

アメリカ 78,788 人

UK 35,746人

インド 27,132人

ブラジル 13,335人

オーストラリア 13,083人

フランス 11,464人

トルコ 10,117人

中国 9,937人

ドイツ 6,683人

イタリア 3,595人

フィリピン 2,591人

ニュージーランド 2,294人

南アフリカ 1,825人

マレーシア 1,444人

ベトナム 1,388人

日本 1,203人

韓国 777人

北朝鮮 293人

 

比べてみますと日本は思ったほど多くありませんでした。サイトに日本語はないからでしょうか。それとも違う理由があるのでしょうか。この参加人数が少ないほど住みにくい国だとは思いませんが……。
登録は同意チェックと名前と国籍とメールアドレスの入力だけなので10秒ほどでできます。主旨に賛同された方はぜひ申し込んでみましょう。 

Home - HeForShe

  

また、エマ・ワトソンの演説には男性というジェンダーについての示唆のある内容も含まれています。今後重要な問題になると思います。


 

D.エマ・ワトソンはキモくて金のないおっさんにもやさしかった

UN Women launches HeForShe IMPACT 10x10x10 Initiative

  男らしくないと見られるのを恐れ、助けを求められずにいて精神的に病んでしまう若い男性たちを見てきました。実際に、イギリスでは自殺が20歳から40歳までの男性の間で最大の死亡原因となっています。これは交通事故、がん、そして心臓疾患も上回ります。男性として成功に必要なものはこれだ、という歪んだ概念によって男性が自信を失い、不安に陥る姿を見たこともあります。男性もまた、平等の恩恵を受けてはいないのです。 

出典元:http://www.huffingtonpost.jp/emma-watson/we-want-to-end-gender-_b_5871850.html

 

日本でも、少し前に「キモくて金のないおっさん」が話題になりました。その時は問題の射程を良く理解できなかったんですが、エマ・ワトソンさんの演説で多少理解できました。

キモくて金のないおっさんも男はかくあるべしといったジェンダーの問題を含んでいるのだと思います。エマさんのスピーチは即効性のある思想ではありませんが、こうした考えが根づいていけば弱者男性を社会的に日陰もの扱いすることは少なくなるだろうと思います。

 

(元記事)

決して救われない社会的弱者「キモくて金のないおっさん」について語る - Togetterまとめ

「キモくて金のないオッサン」について。 - Togetterまとめ

(関連記事)

「キモくて金のないおっさん」が増加中? 彼ら「弱者男性」に居場所はないのか | キャリコネニュース

「キモくて金のないオッサン」は自己責任? どうしたら「救済」されるのか | キャリコネニュース

Togetter大注目の地獄「キモくて金のないおっさん」はどのようにつらいのか - エキレビ!(1/2)

 

ビヨンド・ミソジニー

結局、HeforSheに取組むことは、男性にとっても生きやすい社会をつくることなんだと言ってるんですね。脱ミソジニーが無理のない社会をつくるのではないかと思います。

 今日も中年フリーターが激増しているというニュースがありました。またいずれキモくて金のないおっさんの話題があがってくるのだろうとは思います。しかし、自己責任に帰結するのはもう人数的にも無理があるのではないかと思います。*2 

中年フリーター:氷河期の非正社員ら、歯止めかからず273万人に - 毎日新聞

  

参考書籍 
女ぎらい――ニッポンのミソジニー

女ぎらい――ニッポンのミソジニー

 

  

男性漂流 男たちは何におびえているか (講談社+α新書)

男性漂流 男たちは何におびえているか (講談社+α新書)

 

  

*1: 元記事はオーストラリア版の編集者による記事のようです。  http://www.thebigissue.org.au/ 

*2: 中年フリーターは現在273万人もいるのですから、アドバンスフリーターとかマスターフリーターとかもう少し呼び方を考えた方が良さそうです。