アーキペラゴを探して

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高浜駅と玻璃ヶ浦駅のあいだ / 『真夏の方程式』

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大阪までの飛行機に時間があるので、伊予鉄高浜駅を見に行った。映画『真夏の方程式』の始めと終りのシーンに、高浜駅が『玻璃ヶ浦駅』として登場する。映画のようなイメージの駅だったろうかと思い、時間つぶしに再確認しておこうと思った。

駅の造りは、多少古めではあるが、全体として見た感じもディテールも、特筆するような何かがある訳ではない。海沿い町の絵に描いたような小さな駅である。しかし、映画の制作班は、全国1万件以上の駅から探し出したという。

映画の冒頭で、海底資源の調査を行う開発会社が行う説明会で、手つかずの海を守る市民グループが対立シーンがある。遅れてやってきた湯川が住民側に「すべてを知った上で開発か保全かを決めるべきだ」と発言する。

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高浜駅に向かう日に、「防潮堤はいらない」という記事を読んだ。東北の津波対策で計画された巨大防潮堤に対して、住民側で勉強会を重ね結論を出したということだ。

 防潮堤の建設をめぐり、住民と行政で考え方の相違が生じている。総予算1兆円弱。総延長370㎞。最も高い防潮堤は15.5m。防潮堤が命や資産を守る一方、景観悪化や危機意識が薄れることが懸念されている。何より、これまでの海と生きるという考え方から、防潮堤による海との分断に住民の反対意見も多い。特に、巨大防潮堤には、多くの疑問が呈され、住民からも計画見直しを求める切実な声が上がっている。

Think Seawall 防潮堤を考える | Facebook

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映画の最後のシーンで、湯川は、「僕達自身が成長していけば、きっと、その答えにたどり着けるはずだ」と少年に語る。いつもの湯川教授であれば、何故結論が出ないのだ、結論を出すだけではないかと言うかも知れない。少年には、答えを出すことを焦るなと語る。問いと答えの間に、夏という季節が重なっている。答えに至ることのない少年は夏の中にあり、湯川も夏の中にいる。原作者や映画のつくり手の夏へのノスタルジーが伝わってくる。この問いと答えについての最後のシーンがに印象に残った。この駅で語られる必要があったんだろうと思う。

だが現実は映画とは違う。日本でも山積する問題に、答えを待つ余裕は数年前から失われている。問いと答えの間へのノスタルジー。夏の日のフラッシュバック。
駅を再確認した印象はというと、映画を見た後では、映画の内容が駅と強く結びついてしまい、当初の印象が変容している。映画や小説もそうかも知れないが、不思議なもので、それは、鑑賞だけに留まらずに、思ったよりも物事の考え方に重ね合わされている。

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